抑うつ症状は、神経性過食症(BN)の重要なリスクファクターであり、過食や排出行動に影響を及ぼす。精神療法は、短期および長期間のBN症状軽減に有効であるが、BNの抑うつ症状の軽減にも有効であるかは不明である。オーストラリア・カトリック大学のJake Linardon氏らは、短期および長期間のBN患者の抑うつ症状に対する精神療法の有効性を調査した。The International journal of eating disorders誌オンライン版2017年8月14日号の報告。
BN患者の抑うつ症状をアウトカムとして評価した無作為化比較試験(RCT)より、26研究が抽出された。
主な結果は以下のとおり。
・精神療法治療群では、待機群よりも、治療後に抑うつ症状の軽減が認められた(g=0.47)。
・この効果は、指導された自己治療よりも、セラピストの主導による治療を行った際に最も大きかった。
・精神療法と抗うつ薬の間に、有意な差は認められなかった。
・治療後の抑うつ症状軽減について、認知行動療法(CBT)と他の精神療法との間に有意な差は認められなかった。
・しかし、セラピストの主導によるCBTのみを分析した場合、セラピストの主導によるCBTは、他の精神療法と比較し、抑うつ症状軽減について有意に良好であった(g=0.25)。
・抑うつ症状の改善値は、BN症状の改善値により予測された。
著者らは「これらの知見より、BN患者の抑うつ症状を短期間で軽減させるために、精神療法は有効であることが示唆された。この効果が長期間持続するかは、フォローアップ評価が実施された研究があまりにも少ないため、確定されていない。さらに本所見は、BN症状の先駆け的な治療であることに加え、CBTが、BN患者で一般的に認められる抑うつ症状を改善するための最も効果的な精神療法であることを示唆するものでもある」としている。
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(鷹野 敦夫)