ドネペジルの治療反応、投与前に予測可能か

アルツハイマー型認知症(AD)に対するドネペジルの治療反応は、患者により異なり、治療前に潜在的な治療反応者を特定することが重要である。脳白質の変化(WMC)は、高齢患者で頻繁に認められ、治療反応に対するWMCの影響については議論の余地がある。台湾・高雄医科大学のMeng-Ni Wu氏らは、WMCの場所や重症度とドネペジルの治療反応との関連を調査するため検討を行った。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年8月29日号の報告。
ドネペジルを投与されているAD患者418例のうち、196例を分析の適格とした。5つの脳領域それぞれにおいて、治療前にCTスキャンおよびAge-Related White Matter Changes Rating Scaleを用いて分析を行った。認知障害検討のため、Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)を毎年実施した。ベースライン時からフォローアップ時のCASIスコアの差が0以下であった場合を、治療反応者と定義した。
主な結果は以下のとおり。
・治療反応群と非治療反応群との間に、人口統計学的データでの有意な差は認められなかった。
・治療反応群は、前頭側頭領域におけるWMCの関与が有意に少なく(p=0.0213)、大脳基底核領域におけるWMCへの関与がほとんど認められなかった(p=0.1103)。
・年齢、性別、教育、アポリポ蛋白E多型、高血圧、糖尿病で調整した後、前頭側頭領域(OR:0.446、p=0.0139)および大脳基底核領域(OR:0.243、p=0.0380)におけるWMCは、治療反応の低下との有意な関連が認められた。
著者らは「前頭側頭領域および大脳基底核領域にWMCを有する患者では、ドネペジルに対する治療反応の有意な低下が認められた。WMCの場所が、重症度とは関係なく、AD患者におけるドネペジルの治療反応と関連している可能性があることが示唆された」としている。
(鷹野敦夫)
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(鷹野 敦夫)
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