ドネペジルの治療反応、投与前に予測可能か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/09/26 アルツハイマー型認知症(AD)に対するドネペジルの治療反応は、患者により異なり、治療前に潜在的な治療反応者を特定することが重要である。脳白質の変化(WMC)は、高齢患者で頻繁に認められ、治療反応に対するWMCの影響については議論の余地がある。台湾・高雄医科大学のMeng-Ni Wu氏らは、WMCの場所や重症度とドネペジルの治療反応との関連を調査するため検討を行った。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年8月29日号の報告。 ドネペジルを投与されているAD患者418例のうち、196例を分析の適格とした。5つの脳領域それぞれにおいて、治療前にCTスキャンおよびAge-Related White Matter Changes Rating Scaleを用いて分析を行った。認知障害検討のため、Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)を毎年実施した。ベースライン時からフォローアップ時のCASIスコアの差が0以下であった場合を、治療反応者と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・治療反応群と非治療反応群との間に、人口統計学的データでの有意な差は認められなかった。 ・治療反応群は、前頭側頭領域におけるWMCの関与が有意に少なく(p=0.0213)、大脳基底核領域におけるWMCへの関与がほとんど認められなかった(p=0.1103)。 ・年齢、性別、教育、アポリポ蛋白E多型、高血圧、糖尿病で調整した後、前頭側頭領域(OR:0.446、p=0.0139)および大脳基底核領域(OR:0.243、p=0.0380)におけるWMCは、治療反応の低下との有意な関連が認められた。 著者らは「前頭側頭領域および大脳基底核領域にWMCを有する患者では、ドネペジルに対する治療反応の有意な低下が認められた。WMCの場所が、重症度とは関係なく、AD患者におけるドネペジルの治療反応と関連している可能性があることが示唆された」としている。 (鷹野敦夫) ■関連記事 認知症に対する抗精神病薬処方、治療反応の予測因子は:慈恵医大 白質の重症度で各抗認知症薬の効果に違い:岡山大 患者の性格と認知症タイプでBPSDを予測可能:旭川医大 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Wu MN, et al. Geriatr Gerontol Int. 2017 Aug 29. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ドネペジルの効果が持続する期間は?:国内長期大規模研究 医療一般 日本発エビデンス(2015/08/05) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)