双極性障害に対するアリピプラゾールの評価~メタ解析 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/10/25 双極性障害(BD)に対するアリピプラゾールによる治療については多くの研究が行われている。台湾・高雄医学大学のDian-Jeng Li氏らは、BD治療におけるアリピプラゾールの有効性および安全性プロファイルを調査するため、総合的なメタ解析を実施した。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年10月3日号の報告。 著者2名により2017年5月14日までのBD患者を対象としたアリピプラゾールのランダム化比較試験(RCT)を、PubMed、ScienceDirectを用いてシステマティックに検索を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・適格基準を満たしたRCTは20件であった。その内訳は、ハロペリドールとの有効性比較2件(アリピプラゾール群:340例、ハロペリドール群:337例)、リチウムとの有効性比較3件(アリピプラゾール群:208例、リチウム群:212例)、プラセボとの複合比較15件(アリピプラゾール群:1,923例、プラセボ群:1,499例)であった。 ・アリピプラゾール群はプラセボ群と比較し、急性躁状態における急性躁症状(Hedges' g:-0.299、p=0.001)および精神症状(Hedges' g:-0.296、p<0.001)の改善が認められたが、急性うつ状態におけるうつ症状(Hedges' g:-0.127、p=0.054)の改善は認められなかった。 ・維持療法においてアリピプラゾールを併用した場合、プラセボ群と比較し、双極性躁症状の再発率の低さとの関連が認められた(OR:0.522、p<0.029)。 ・アリピプラゾール群は、プラセボや他の薬物療法群(ハロペリドール群、リチウム群)と比較し、維持期における高比重リポ蛋白(HDL)高値や、脱落率の低さと関連が認められたが、錐体外路症状に差は認められなかった。 著者らは「アリピプラゾールは、双極性障害の躁症状の治療において有効かつ安全であることが示唆された。有効性、忍容性に関して、他の薬剤と比較評価するためには、さらなる研究が必要である」としている。 ■関連記事 アリピプラゾールは急性躁病治療のファーストラインになりうるか 日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は アリピプラゾール維持治療の52週RCT結果 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Li DJ, et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2017;79:289-301. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] COPDの3剤配合薬、定量噴霧吸入器vs.ドライパウダー吸入器/BMJ(2025/01/22) 日本における片頭痛診療の現状、今求められることとは(2025/01/22) 乳がん診断後の手術遅延、サブタイプ別の死亡リスクへの影響(2025/01/22) 自己主導型のCBTはアトピー性皮膚炎の症状軽減に有効(2025/01/22) コーヒーやお茶の摂取は頭頸部がんのリスクを下げる?(2025/01/22) 高齢患者の抗菌薬使用は認知機能に影響するか(2025/01/22) 出産後の抜け毛の量が育児中の不安に独立して関連(2025/01/22) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)