統合失調症患者の脳活性、リスペリドン vs.アリピプラゾール 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/10/31 前頭前野ネットワークの機能障害は、精神病性障害における陰性症状および神経認知の問題両方の原因となりうる。ほとんどの抗精神病薬は前頭前野の活性を低下させる可能性があるが、ドパミンD2パーシャルアゴニストであるアリピプラゾールは、前頭前野の機能を改善するといわれている。オランダ・フローニンゲン大学のEdith J. Liemburg氏らは、精神病性障害の患者を対象に、アリピプラゾールがリスペリドンと比較して、治療後の前頭前野および関連領域の活性を高めるかについて検討を行った。Progress in neuro-psychopharmacology & biological psychiatry誌2017年10月3日号の報告。 この探索的かつ薬理学的な神経イメージング研究では、対象である精神病性障害の患者24例を、アリピプラゾールまたはリスペリドンのいずれかに無作為に割り付けた。ベースライン時および治療9週間後に、面接およびMRIセッションを行った。 主な結果は以下のとおり。 ・今回は、Tower of London(ToL)およびWall of Faces(WoF)の2つのタスク実行中の脳活性化(ASL[arterial spin labeling]で測定)について報告を行った。 ・アリピプラゾール治療は、中前頭回、上前頭回、後頭葉回(ToL)、内側側頭葉回、下前頭回、被殻、楔部(WoF)の活性を減少させ、リスペリドン治療は活性を増加させた。 ・アリピプラゾール治療は、腹側前帯状、後部島(ToL)、上前頭回、上側頭回、中心前回(WoF)の活性を増加させ、リスペリドン治療は減少させた。 ・両治療群ともに、腹側島活性(ToL)、中側頭回(WoF)を増加させ、後頭皮質、楔前部、尾状頭葉(ToL)の活性を減少させた。 著者らは「アリピプラゾール治療は、遂行計画に必要な頭部リソースが少なくて済む可能性があり、感情刺激に対する前頭側頭および前頭前野の反応性を増加しうる。これらの予備的知見を裏付けるためには、より多くの研究が必要である」としている。 ■関連記事 統合失調症に対する短期治療、アリピプラゾール vs.リスペリドン 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs.リスペリドン 日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Liemburg EJ, et al. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2017;79:112-119. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 抗精神病薬は脳に委縮などのダメージを与えるのか 医療一般(2015/01/30) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 心臓以外の大手術前のレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬使用継続は少なくとも予後や合併症に悪影響は与えない(解説:浦信行氏)(2024/11/04) 患者数が5年で5倍!心不全診療で取りこぼせない疾患とは/日本心臓病学会(2024/11/04) レトロウイルス感染症-基礎研究・治療ストラテジーの最前線-/日本血液学会(2024/11/04) せん妄で認知症リスク5倍~日本の入院患者26万例のデータ(2024/11/04) 飛行機内でインスリンポンプに軽微な影響が生じる可能性(2024/11/04) 禁煙開始が「遅すぎる」ことはない(2024/11/04) 敗血症患者の半数は2年以内に死亡する(2024/11/04) 肝細胞がんにおけるICI療法後の肝移植の転帰は良好(2024/11/04) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)