小児の双極性障害I型または統合失調症に対するアセナピン治療のレビュー 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/12/21 1日2回の舌下錠として用いられるアセナピンは、小児・青年期10~17歳における双極性障害I型の躁病および混合エピソードの急性期治療に単独療法として、二重盲検プラセボ対照試験(推奨用量:2.5~10mg、1日2回)の結果に基づき承認されている。小児統合失調症についてもアセナピンの研究が行われているが、まだ承認はされていない。また、米国以外の主要な国々において、アセナピンは、小児の双極性障害I型または統合失調症に対し承認されていない。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のEkaterina Stepanova氏らは、小児精神疾患患者に対するアセナピン治療に関して、神経薬理学、薬物動態、臨床試験、臨床使用の観点より要約した。Paediatric drugs誌オンライン版2017年11月23日号の報告。 主な要約は以下のとおり。 ・小児患者において、アセナピン舌下錠は口腔粘膜を介して急速に吸収された後、成人患者と同様の薬物動態プロファイルを示し、成人での推奨投与量を小児の投与量に調整する必要性が低いことが示された。 ・投与後10分間は、食物や水の摂取は避けるべきである。 ・臨床試験において、小児の双極性障害I型および統合失調症に対するアセナピンは、一般的に安全であり、忍容性が良好であった。 ・重篤な有害事象は、根底にある精神症状の悪化に関連していた。 ・最も一般的な臨床試験治療下で発現した有害事象(TEAE:treatment-emergent adverse event)は、両疾患ともに鎮静と傾眠であった。 ・他の第2世代抗精神病薬と同様に、体重増加やいくつかの代謝パラメータの変化が認められた。 ・舌下投与に関連する知覚鈍麻、味覚障害、感覚異常などの口腔関連の異常は、一般的に治療中止をもたらさず、一時的であった。 ・TEAEにおける錐体外路症状は、双極性障害I型と統合失調症の急性期および長期研究において、アセナピン治療患者の5%以上で認められた。 ■関連記事 統合失調症治療に用いられる抗精神病薬12種における代謝系副作用の分析 小児攻撃性に対する抗精神病薬の効果~メタ解析 小児に対する抗精神病薬処方、診断と使用薬剤の現状は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Stepanova E, et al. Paediatr Drugs. 2017 Nov 23. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 アセナピンとオランザピン、日本人統合失調症患者での治療継続率 医療一般 日本発エビデンス(2022/02/02) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24) あなたにとって、開業の「成功」「失敗」とは?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第42回(2022/08/09) 「後継者採用」という甘い誘いに乗ったら…【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第41回(2022/07/08) 「診療所、知人に売るから大丈夫」、それ本当に大丈夫??【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第40回(2022/06/06) Dr.金井のCTクイズ 初級編(2022/05/17)