血圧の来院時変動と一般集団における認知症発症率および認知症サブタイプとの関連を調査するため、韓国・Seoul National University HospitalのJung Eun Yoo氏らは、人口ベースのレトロスペクティブコホート研究を実施した。Hypertension誌2020年4月号の報告。
韓国国民健康保険データベースを用いて、2005~12年に3回以上の健康診断を受けた認知症既往歴のない784万4,814例を対象とした。血圧変動性(BPV)は、平均、変動係数、SDとは独立した変動性を用いて測定した。
主な結果は以下のとおり。
・フォローアップ期間の中央値6.2年間で、認知症の発症は以下のとおりであった。
●すべての認知症:20万574例(2.8%)
●アルツハイマー病:16万5,112例(2.1%)
●血管性認知症:2万7,443例(0.3%)
・高BPVとアウトカム測定値との間に、線形の関連が認められた。
・多変量調整モデルでは、すべての認知症発症における、平均とは独立したBPVの最高四分位のハザード比は、最高四分位以外と比較し、以下のとおりであった。
●拡張期血圧のみ:1.06(95%CI:1.04~1.07)
●収縮期血圧のみ:1.09(95%CI:1.08~1.11)
●収縮期血圧、拡張期血圧の両方:1.18(95%CI:1.16~1.19)
・他の変動性の指標、さまざまな感度分析、サブグループ解析において、アルツハイマー病と血管性認知症で、一貫したアウトカムが認められた。
著者らは「BPVは、認知症およびそのサブタイプの発症を予測する独立した因子であった。より高いBPVと認知症発症率との間に、用量反応関係が認められた。BPVの低減は、一般集団が認知症を予防するための目標となりうる可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)