うつ、不安、気分症状に対するカカオ製品の影響~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2021/06/10

 

 チョコレートのようなカカオ由来の製品は、気分や感情などの問題を緩和させることが期待されるが、この効果についてはまだ解明されていない。イタリア・カターニア大学のLaura Fusar-Poli氏らは、カカオ由来製品が抑うつ症状、不安症状、ポジティブ感情、ネガティブ感情に及ぼす影響を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Critical Reviews in Food Science and Nutrition誌オンライン版2021年5月10日号の報告。

 本システマティックレビューおよびメタ解析は、PRISMAガイドラインに従って実施された。2020年4月3日までに公表された文献を、Web of KnowledgeTMおよびPsycINFOより検索した。

 主な結果は以下のとおり。

・761件の文献をスクリーニングした後、9件をメタ解析に含めた。
・研究の内訳は、以下のとおりであった。
 ●カカオ製品による長期的(1週間超)な効果:2件
 ●カカオ製品による短期的(3日)な効果:2件
 ●カカオ製品による急性期(単回投与)効果:5件
・変量効果メタ解析では、カカオが豊富な製品による抑うつ症状(Hedge's g:-0.42、95%CI:-0.67~-0.17)および不安症状(Hedge's g:-0.49、95%CI:-0.78~-0.19)への有意な効果が認められた。
・さらに、ポジティブ感情(Hedge's g:0.41、95%CI:0.06~0.77)およびネガティブ感情(Hedge's g:-0.47、95%CI:-0.91~-0.03)の有意な改善も認められた。
・すべてのメタ解析において、エフェクトサイズは中程度であったが、不均一性は低かった。

 著者らは「カカオが豊富な製品は、短期的に感情および気分の問題を改善する可能性が示唆された。しかし、いずれも試験期間が短く、カカオ由来の製品の長期摂取の影響は、明らかではない。また、メタ解析に含まれる対象者数や研究数が十分ではないため、慎重な解釈が求められる」としている。

(鷹野 敦夫)