統合失調症における幻聴の神経回路を調査した神経画像研究では、さまざまな結果が得られているが、ネットワーク局在化により調整される可能性が示唆されている。中国・安徽医科大学のFan Mo氏らは、統合失調症における幻聴の状態および特徴的な脳変化が共通のネットワークに局在化するか否かを調査した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2024年2月24日号の報告。
統合失調症における幻聴の状態、および特徴的な脳変化を報告した48の研究を特定した。影響を受けた脳のデータを、安静状態の大規模な発見と検証の機能的磁気共鳴機能画像法(fMRI)データベースと統合し、次に機能的結合ネットワークマッピングを活用して、幻聴の状態および特徴の機能不全ネットワークを構築した。
主な結果は以下のとおり。
・統合失調症における神経解剖学的に不均一な幻聴の状態および脳変化は、個別の特異的なネットワークに局在化していた。
・幻聴状態の機能不全ネットワークは、主に聴覚、顕著性、大脳基底核、言語、感覚運動ネットワークを含む広範囲な一連の脳領域で構成されていた。
・対照的に、幻聴の特徴的な脳変化の機能不全ネットワークは、主に尾状核および下前頭葉の関連する限定された脳領域パターンとして出現した。
・さらに、幻聴状態の機能不全ネットワークは、幻聴の効果的な治療のための神経調整標的部位と一致しており、臨床的関連性の可能性が示唆された。
著者らは「本知見は、現実可能性が低いと考えられる神経画像結果を統合した点とは別に、ネットワークの観点から統合失調症における幻聴の状態、および特徴的な脳変化の根底にあるさまざまな神経機構を示唆しており、将来の幻聴に対する広範な神経調整治療につながる情報となる可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)