社会性やコミュニケーション能力に問題が生じる発達障害の一種である自閉症。日本の推定患者数は36万人ともいわれている。自閉症の発症メカニズムは明らかになっていないが、炎症性の反応異常と関係していると考えられている。Asadabadi氏らは自閉症患者に対するCOX-2阻害薬であるセレコキシブの使用が、補助療法として有用であるかをランダム化二重盲検プラセボ対照試験にて検討した。Psychopharmacology (Berl)誌オンライン版2012年7月11日号の報告。
小児の外来自閉症患者40例を対象にプラセボ群(リスペリドン+プラセボ投与)とセレコキシブ群(リスペリドン+セレコキシブ投与)に無作為に割り付け、10週間の治療を行った。リスペリドンは3mg/日、セレコキシブは300mg/日を投与した。主要評価項目は異常行動チェックリスト(ABC-C)のサブスケールのうち興奮の変化とした。ABC-Cスケールは試験開始前および2、4、6、10週目に測定した。
主な結果は以下のとおり。
・各サブスケールにおける時間と治療の相互作用は、興奮(F[1.658、63.021]=13.580、 p<0.001)、無気力/社会的引きこもり(F[1.948、74.032]=16.811、p<0.001)、常同行動(F[1.742, 66.198]=12.104、p<0.001)で有意な差が認められたが、多動(F[2.564、97.424]=1.469、p=0.232)、不適切な言動(F[1.607、61.075]=0.173、p=0.794)では認められなかった。
・10週後の各サブスケールでは、セレコキシブ群はプラセボ群と比較して興奮、無気力/社会的引きこもり、常同行動で有意な差を示した(それぞれp<0.001)。
・完全寛解に至った症例は、プラセボ群4例(20%)、セレコキシブ群11例(55%)であった(Χ(2)(1)=5.227、p=0.022)。
・副作用の頻度は両群とも同程度であった。
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(ケアネット 鷹野 敦夫)