アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/10/23

 

 アルツハイマー病患者にしばしばみられる精神症状や興奮、攻撃性に苦慮することは少なくない。このような症状に対し抗精神病薬が使用されることもあるが、使用中止による症状再発の危険性は確立されていない。Devanand氏らは、アルツハイマー病患者の精神障害や興奮に対する抗精神病薬の使用を中止した際の再発リスクを検証した。N Engl J Med誌2012年10月18日号の報告。

 精神障害や興奮、攻撃性により抗精神病薬リスペリドンを16週間投与されたアルツハイマー病患者を対象としたオープンラベル試験。リスペリドンによる治療に反応した患者を二重盲検により以下3群に割り付けた。第1群はリスペリドンを32週間継続投与、第2群はリスペリドン投与を16週間行った後、プラセボを16週間投与、第3群はプラセボを32週間投与。主要評価項目は精神障害および興奮の再発までの期間とした。

主な結果は以下のとおり。

・180例の患者がリスペリドンの投与を受けた(平均用量:0.97㎎/日)。
・精神障害や興奮の重症度は減少したが、錐体外路症状の軽度な増加が認められた。112例の患者が治療反応基準を満たし、そのうち110例に無作為化が行われた。
・無作為化後、最初の16週では、プラセボ投与群はリスペリドン投与群と比較し、再発率が高かった(60% [第3群:24例/40例] vs 33% [第1、2群:23例/70例];p=0.004、プラセボ群のハザード比:1.94、 95%CI:1.09 ~3.45;p=0.02)。
・次の16週間では、プラセボに切り替えた群はリスペリドン継続投与群と比較して、再発率が高かった(48% [第2群:13例/27例] vs 15% [第1群:2例/13例];p=0.02、ハザード比:4.88、95% CI:1.08~21.98;p=0.02)。
・少ない患者数での比較ではあるが、無作為化後の各群における有害事象および死亡率について、とくにはじめの16週において有意な差は認められなかった。
・精神障害や興奮のためリスペリドンを4~8ヵ月投与されたアルツハイマー病患者では、リスペリドン中止と症状再発リスクとの関連が認められた。

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(ケアネット 鷹野 敦夫)