認知症患者における「せん妄診断」有用な診断ツールは…

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/10/25

 

 せん妄は、高齢者入院患者の50%に出現するといわれており、さまざまな悪影響を及ぼすため、対応方法の確立が急がれる。せん妄の診断ツールはいくつか開発されており、数々の報告がなされている。Morandi氏らは認知症患者にみられるせん妄の診断において、それぞれの診断ツールが有用であるかをシステマティックレビューにより解析した。J Am Geriatr Soc誌オンライン版2012年10月5日号の報告。

 Pubmed、Emdase、Web of Science より、1960年1月~2012年1月の間に英語で出版された文献について検索を行った。文献には、せん妄のアセスメントツールについて標準的な基準に照らして検証された場合の研究が含まれていた。認知症の有無については、確立されている手段を用いた標準的な基準に基づいて評価されていた。条件を満たした研究結果をもとに、認知症患者におけるせん妄診断ツール研究のシステマティックレビューを行った。

主な結果は以下のとおり。

・基準を満たした研究は9報。1,569例のうち認知症患者は401例、せん妄を併発した認知症患者は50例であった。6種類のせん妄診断ツールが用いられていた。
・CAM(Confusion Assessment Method)を用いた1報では、認知症患者の85%において高い特異性(96~100%)、および適度な感度(77%)が示された。
・CAM-ICU(CAM for the Intensive Care Unit)を用いた2報の集中治療室における研究では、認知症患者23例で100%の感度と特異性が認められている。
・脳波を用いた1報では、全ての認知症患者で感度67%、特異性91%であった。
・各研究において、認知症の重症度やサブタイプによる影響は調査されていなかった。
・認知症患者におけるせん妄診断に対し、エビデンスは限定的ではあるものの、診断ツールは有用であると考えられる。サンプル数が少ないため、さらなる研究が必要である。

関連医療ニュース
せん妄はアルツハイマー病悪化の危険因子!
がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は…
せん妄の早期発見が可能に

(ケアネット 鷹野 敦夫)