境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/03/08 英国・アバディーン大学のJohn Norrie氏らは、境界性パーソナリティ障害患者を対象とした認知行動療法(CBT)に関する無作為化対照試験「BOSCOT」において、治療時間とセラピストの能力が自殺行為の回数に及ぼす影響を検討した。その結果、有能なセラピストが適当な時間の認知行動療法を行うことで、境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為が大幅に減少する可能性が示唆されたことを報告した。Psychology and Psychotherapy誌オンライン版2013年2月19日号の掲載報告。 BOSCOT試験は、市中のクリニックが参加し、英国国民保健サービス(UK National Health Service)によって実施された質の高い無作為化対照試験である。対象は、英国内の3地域(ロンドン、グラスゴー、エアシャイア/アラン)から登録された境界性パーソナリティ障害患者106例であった。被験者は、通常治療+パーソナリティ障害に対するCBT(CBTpd)を併用する群、または通常治療のみ群に1対1に無作為に割り付けられた。通常治療の内容は、地域や個人によりさまざまであったが、試験時の英国NHSが保障していたルーチンな治療が行われた。CBTpdは、12ヵ月間にわたり平均16のセッションが行われた。研究グループは、BOSCOT試験で報告された治療効果について、とくに治療時間とセラピストの能力が主要アウトカムである自殺行為の回数と精神科入院に及ぼす影響について、操作変数回帰モデル(instrumental variables regression modelling)を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。 ・無作為化後2年時点で、すべてのアウトカムデータが得られた患者は101例であった。 ・intention-to-treat(ITT)集団において、CBT群では2年の間に自殺行為が平均0.91(95%CI:0.15~1.67)に減少したことが報告された。 ・治療時間とセラピストの質の影響を加味すると、有能なセラピストが適当な時間のCBTを行うことで、効果は約2~3倍高くなると推察された。 ・以上の結果を踏まえて著者らは、「治療の量やセラピストの能力の影響の評価は複雑であるが、CBTpdにおいて研鑽を積んださらに有能なセラピストが関与することで、境界性パーソナリティ障害患者における自殺行為の回数が著しく減る可能性が示唆された」と結論した。 ・また、本検討のような試験について、「最適な療法の提供を目指した治療効果の評価では、治療時間とセラピストの能力の両方を、常に対照しながらデータ収集に努めるべきである」ともコメントしている。 関連医療ニュース ・パニック障害 + 境界性パーソナリティ障害、自殺への影響は? ・境界性パーソナリティ障害患者の症状把握に期待!「BPDSI-IV」は有用か? ・性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連 (ケアネット) 原著論文はこちら Norrie J et al. Psychol Psychother. 2013 Feb 19. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21)