統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/14

 

 オーストリア・インスブルック医科大学のW Wolfgang Fleischhacker氏らは、統合失調症患者の維持療法としてのアリピプラゾール持効性注射剤の月1回投与製剤(ARI-OM、国内未承認)の、長期安全性と忍容性について無作為化試験を行った。その結果、経口剤に匹敵する安全性および忍容性プロファイルが認められたことを報告した。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年4月22日号の掲載報告。

 ARI-OMの長期の安全性と忍容性を評価することを目的としたピボタル試験は、4期から構成された。第1期は切り替え期として経口投与によるアリピプラゾール投与が行われ(4~6週間)、第2期は経口剤による安定化を図る治療期とした(4~12週間)。第3期はARI-OMの安定化を図る治療期とし、最初の2週は経口剤の同時投与が行われた(12~36週)。そして第4期に、52週の無作為二重盲検プラセボ対照による維持治療の検討を行った。安全性の評価は全試験期間を対象とし、有害事象の初回発生までの時間とした。錐体外路症状の客観的測定、空腹時の代謝指標および体重の測定が行われた。

 主な結果は以下のとおり。

・登録被験者数は、第1期633例、第2期710例(210例は第2期から参加)、第3期は576例、第4期は403例であった。
・第4期の被験者の内訳は、ARI-OM群269例、プラセボ群134例であった。
・すべての試験期において、5%超の有害事象の発生が認められたのは、不眠、頭痛、不安症、アカシジア、体重の増加、注射部位の痛み、振戦であった。
・頭痛、傾眠、吐気の初回発生は、治療導入後4週間以内にピークに達していた。
・錐体外路症状の発生は、すべての試験期で同程度であった。
・体重の予想外の変化や空腹時代謝指標の変化は、すべての試験期にわたっているわけではなかった。
・ARI-OMは、統合失調症の維持療法におけて、経口アリピプラゾールと同等の安全性と忍容性プロファイルを有することが認められた。

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(ケアネット)