アリピプラゾールと気分安定薬の併用、双極性障害患者の体重増加はどの程度?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/29

 

 双極I型障害(BPD)患者は多くの場合太りすぎか肥満であり、メタボリックシンドロームを合併している可能性が高い。いくつかのBPD治療薬では、体重増加や代謝パラメータの悪化が認められる。米国・ケースウエスタンリザーブ大学のDavid E. Kemp氏らは、アリピプラゾール(商品名:エビリファイ)と気分安定薬を併用した際のメタボリックシンドロームの発生率および代謝パラメーターの変化を調べた。Journal of affective disorders誌2013年5月15日号の報告。

 BPD患者を対象とした52週間の長期試験における、アリピプラゾールと気分安定薬を併用した2つの有効性試験(リチウム/バルプロ酸試験、ラモトリギン試験)より代謝データを分析した。体重の変化、個々の代謝パラメーター、メタボリックシンドロームの発生率を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・リチウム/バルプロ酸試験では、両群ともに52週後のわずかな体重増加が認められた(リチウム/バルプロ酸単独群:1.7±0.8kg、アリピプラゾール併用群:1.6±0.7kg)。両群間に有意差はみられなかった。
・ラモトリギン試験における52週後の体重増加は、ラモトリギン単独群で-2.2±1.0kg、アリピプラゾール併用群で0.4±1.0kgであった(ラモトリギン試験の試験完了率は低かった)。
・両試験の結果において、アリピプラゾール併用群はベースラインと比較し、52週後のメタボリックシンドロームの発生率を増加させなかった。
・個々の代謝パラメーターのベースラインからの変化量(中央値)においても、アリピプラゾール併用群は気分安定薬単独群と類似していた。
・アリピプラゾールと気分安定薬の併用は、主に体重増加や肥満のBPD患者における代謝の変化への影響を最小限に抑えた。両試験の結果から、アリピプラゾールを併用することによるわずかな体重増加が、代謝パラメーターやメタボリックシンドロームの発症に及ぼす影響は小さいと考えられる。

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(ケアネット 鷹野 敦夫)