SSRIは月経前症候群の治療に有用か?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/06/24

 

 ニュージーランド・オークランド大学のJane Marjoribanks氏らは、月経前症候群(PMS)に対する選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の有効性と安全性を評価するため、これまでに実施された臨床試験をもとにレビューを行った。その結果、SSRIは服用方法にかかわらずPMSの症状軽減に有効であるが、用量依存的に有害事象が比較的高頻度に発現することを報告した。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年6月7日掲載の報告。

 月経前症候群(PMS)は、出産可能年齢の女性においてしばしば身体的、精神的および社会的問題をもたらす一般的な要因となる。PMSの主な特徴は症状がみられるタイミングで、それは月経前2週間すなわち黄体期においてのみ生ずることである。

 PMS治療のファーストラインとしてSSRIの使用機会が増えており、黄体期のみもしくは継続的(連日)に使用される。SSRIは一般に月経前症状の軽減に有効だと考えられているが、有害事象を惹起しうる。そこで、PMSの治療としてSSRIの有効性と安全性を評価することを目的にレビューを行った。Cochrane Library、MEDLINE、EMBASEなどをデータソースに、2013年2月時点において関連する無作為化比較試験(RCT)の検索を行った。報告内に不十分なデータがみられた際、詳細を確認するため原著者との連絡を試みた。プロスペクティブにPMSと診断され月経前不快気分障害(PMDD)または後期黄体期不快気分障害(LPDD)を呈する被験者が、SSRIまたはプラセボ群に無作為化された試験を選択した。

 2名のレビュワーが自由に試験を選び、バイアスのリスクが適格とされる試験について評価を行い、月経前症状と有害事象のデータを抽出した。ランダム効果モデルを用いて試験を集積した。連続データ(最終スコアおよびスコアの変化)に対する別の解析により、月経前症状スコアにおける標準化平均差(SMD)と95%信頼区間(CI)を算出した。2つのアウトカムについてオッズ比(OR)と95%CIを算出した。薬剤の服用方法(黄体期のみまたは連日)、投与量(低、中、高)により層別解析を行った。何人に中用量のSSRIを投与すれば1件の有害事象が発現するのか、その人数を算出した(number needed to harm:NNH)。主要な知見に対する全体的なエビデンスの質は、GRADE working group methodsにより評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・31件のRCTについてレビューを行った。それらRCTでは、フルオキセチン(本邦未承認)、パロキセチン(商品名:パキシル)、セルトラリン(同:ジェイゾロフト)、エスシタロプラム(同:レクサプロ)、シタロプラム(国内未承認)などとプラセボとの比較が行われていた。
・SSRIはプラセボに比べ、自己評価による症状を有意に軽減させた。
・最終スコアを報告している試験集団において、エフェクトサイズは中程度であった[中用量のSSRI、SMD:-0.65、95%CI:-0.46~-0.84、9試験、女性1,276例、不均質性は中(I2=58%)、エビデンスの質は低]。
・スコア変化について報告している試験集団において、エフェクトサイズは小さかった[中用量のSSRI、SMD:-0.36、95%CI:-0.20~-0.51、4試験、女性657例、不均質性は低(I2=29%)、エビデンスの質は中]。
・SSRIは、黄体期のみの使用あるいは連日使用のいずれにおいても症状の軽減に効果的で、これら服用方法による明らかな有効性の相違はみられなかった。しかし、黄体期のみの使用と連日使用のレジメンを直接比較した試験はほとんどないため、これに関する結論を得るにはさらなるエビデンスが必要である。
・有害事象による脱落は、SSRI群で有意に多い傾向にあった[中用量、OR:2.55、95%CI:1.84~3.53、15試験、女性2,447例、不均質性なし(I2=0%)、エビデンスの質は中]。
・中用量のSSRIに関連する主な副作用は、悪心(NNH=7)、無力症または活力減退(NNH=9)、傾眠(NNH=13)、疲労(NNH=14)、性欲減退(NNH=14)および発汗(NNH=14)であった。
・二次解析において、SSRIは、精神的、身体的および機能的症状ならびにイライラ感などの特別な症状に有効であった。なお、有害な影響は用量依存性にみられた。
・全体的に、各種試験の方法論に関する報告が不十分であったことを主因に、エビデンスの質は低~中程度であった。また、不均質性は初回解析の一つは中程度であったが、大半のアウトカムについては低い、あるいは認められなかった。
・以上より、SSRIは服用方法にかかわらずPMSの症状軽減に有効であることが明らかとなった。ただし、用量依存性に有害事象が発現し、比較的高頻度であることに注意が必要である。

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(ケアネット)