自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/09/18 香港大学のYingfen Hsia氏らは、自閉症スペクトラム障害(ASD)に対する処方薬の状況を多国間レベルで明らかにするため、IMS Prescribing Insightsのデータベースを用いた分析を行った。その結果、成人に比べ小児患者に対する処方率が高いこと、国により処方薬に違いがみられることなどを報告した。Psychopharmacology誌オンライン版2013年9月5日号の掲載報告。 これまでに、米国あるいは英国からASDに対する向精神薬処方に関する研究が報告されているが、それらの研究内容は必ずしも他国に当てはまらない可能性がある。研究グループは、エビデンスが欠如している地域を明らかにするため、ASD治療における精神薬理学的処方の範囲を多国間レベルで理解しておく必要があるとして本研究を行った。IMS Prescribing Insightsのデータベースを用いて、2010~2012年の成人および小児ASDにおける 向精神薬処方パターンを検討した。データは、ヨーロッパ(フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国)、南米(メキシコ、ブラジル)、北米(カナダ、米国)、アジア(日本)から収集した。 主な結果は以下のとおり。 ・北米諸国での処方率が最も高く、次いでヨーロッパ諸国、南米の順であった。また、各国とも、処方率は成人に比べ小児のほうが高かった。 ・若年ASDに対して最も多く処方されていた薬剤は、英国と日本を除き、リスペリドンであった。英国で最も多く処方されていたのはメチルフェニデート、日本ではハロペリドールであった。 ・成人に対して最も多く処方されていたのは、リスペリドンをはじめとする抗精神病薬であった。なお、ブラジルではチオリダジン(国内販売中止)、米国ではジプラシドン(国内未承認)が抗精神病薬として最も多く処方されていた。 ・国により処方薬に違いがみられる点について著者は「診断基準、臨床ガイドラインあるいは保険制度によるものだと思われる」と指摘したうえで、「ASD患者に対する多くの向精神薬について、有効性と安全性のエビデンスが欠如している。処方のギャップを縮小するための研究が求められる」とまとめている。 関連医療ニュース 自閉症スペクトラム障害に対するSSRIの治療レビュー 新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? (ケアネット) 原著論文はこちら Hsia Y et al. Psychopharmacology (Berl). 2013 Sep 5. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] マラリア対策のための高解像度地図の最新版、COVID-19の影響は?/Lancet(2025/04/02) 2型DMへの自動インスリン投与システム、HbA1c値を改善/NEJM(2025/04/02) 胃がんT-DXd、日本における販売後調査の最終解析/日本胃癌学会(2025/04/02) 閉塞性肥大型心筋症へのmavacamten、長期有効性・安全性の中間解析(HORIZON-HCM)/日本循環器学会(2025/04/02) 腸管GVHDの発症・重症化および予防・治療における腸内細菌叢の役割/日本造血・免疫細胞療法学会(2025/04/02) OTC薬の乱用と精神症状発症リスクとの関係(2025/04/02) 「血痰は喀血」、繰り返す喀血は軽症でも精査を~喀血診療指針(2025/04/02)