うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/09/24 大うつ病性障害(MDD)に対する低用量アリピプラゾールの強化療法について、プラセボと比べてうつ病サブスケールについては有意な改善が示されることが明らかになった。米国・マサチューセッツ総合病院のChristina Dording氏らによる検討の結果で、忍容性については身体症状の悪化がない場合に良好である可能性が示された。結果を踏まえて著者は、さらなる前向き試験において同療法がもたらす効果をMDDの症状別に検討する必要があるとまとめている。International Clinical Psychopharmacology誌2013年9月号の掲載報告。 研究グループは最近、MDDに対する低用量アリピプラゾール強化療法についての検討を行い、有意ではなくとも有益であることが認められたとした。また、二次的研究において、アリピプラゾールがケルナー症状質問票(KSQ)の4つのサブスケール(抑うつ、不安、身体症状、敵意)について改善をもたらすかを調べた。本検討では、SSRIまたはSNRIに対する十分な反応を示さなかったMDD患者221例の主要アウトカム試験のデータを再解析した。被験者は、経時的並行群間比較デザインを用いて、30日間ずつの2つのフェーズからなる次の3つの投与群、(1)試験薬(アリピプラゾール2mg/日)/ 試験薬(アリピプラゾール5mg/日)投与群、(2)プラセボ/ 試験薬(アリピプラゾール2mg/日)投与群、(3)プラセボ/ プラセボ投与群、に無作為に割り付けられ追跡された。Well-beingサブスケールとReversal Distressed Anxiety Subscalesについて、ベースラインからエンドポイントまでのKSQスコアの変化を調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・うつ病サブスケールについてのKSQスコア変化は、プラセボよりもアリピプラゾールのほうが有意に改善したことが示された(p=0.0327)。 ・不安および敵意サブスケールにおいても、アリピプラゾールの改善がプラセボよりも優れていたが、有意ではなかった。 ・身体症状サブスケールは、有意な変化がみられなかった。 ・以上のように、アリピプラゾール強化療法はプラセボと比べて、KSQのうつ病サブスケールにおいてのみ有意な改善を示した。低用量投与は、不安と敵意のスケールには十分な影響を及ぼさない可能性が示された。 ・低用量の良好な忍容性は、身体症状の悪化がない場合に認められる可能性があった。 ・MDDの症状別に、低用量アリピプラゾール強化療法の効果をより明らかにする前向き研究が必要である。 関連医療ニュース アリピプラゾール治療を見極めるタイミングは何週目か 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学 抗精神病薬による高プロラクチン血症に関するレビュー (ケアネット) 原著論文はこちら Dording C et al. Int Clin Psychopharmacol. 2013 Sep;28(5):238-44. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] マラリア対策のための高解像度地図の最新版、COVID-19の影響は?/Lancet(2025/04/02) 2型DMへの自動インスリン投与システム、HbA1c値を改善/NEJM(2025/04/02) 胃がんT-DXd、日本における販売後調査の最終解析/日本胃癌学会(2025/04/02) 閉塞性肥大型心筋症へのmavacamten、長期有効性・安全性の中間解析(HORIZON-HCM)/日本循環器学会(2025/04/02) 腸管GVHDの発症・重症化および予防・治療における腸内細菌叢の役割/日本造血・免疫細胞療法学会(2025/04/02) OTC薬の乱用と精神症状発症リスクとの関係(2025/04/02) 「血痰は喀血」、繰り返す喀血は軽症でも精査を~喀血診療指針(2025/04/02)