統合失調症の陰性症状に、抗酸化物質N-アセチルシステインは有効か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/12/03 近年、統合失調症の病因として酸化ストレス経路の異常が示されており、統合失調症の陰性症状に対する抗酸化物質の有用性への関心が高まっている。神経保護作用を持つ抗酸化物質であるN-アセチルシステイン(NAC)が、統合失調症の陰性症状の治療において有用であるかを、イラン・テヘラン医科大学のMehdi Farokhnia氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験により評価した。統合失調症の陰性症状は患者QOLに悪影響を及ぼしているが、現状では、その症状に完全に効果的な治療法はまだ開発されていない。Clinical Neuropharmacology誌2013年11・12月号の掲載報告。 NACは、神経保護作用を持つ抗酸化物質であることから、研究グループは、統合失調症の陰性症状の治療において、リスペリドンの併用薬としての、NACの有効性を評価することを目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を行った。同試験のactive phaseに、慢性の統合失調症で、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)のサブスケール陰性症状のスコアが20以上の患者42例が登録された。被験者は、NAC群(最大2g/日)またはプラセボ群に均等に無作為化され、リスペリドン(最大6mg/日)の併用投与が8週間行われた。2週ごとにPANSSにより評価を行った。主要評価項目は、PANSSサブスケール陰性症状スコアの低下とした。 主な結果は以下のとおり。 ・最終評価時、NAC群はプラセボ群に比べ、PANSS総スコア(p=0.006) およびサブスケール陰性症状スコア(p<0.001)の有意な改善が認められた。 ・PANSSサブスケール陽性症状および総合精神病理尺度において、有意差は認められなかった。 ・有害事象の発現頻度に2群間で有意差は認められなかった。 ・統合失調症の陰性症状の軽減において、NACの併用は安全かつ有効な増強ストラテジーであることが示唆された。 関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学 統合失調症治療に抗炎症薬は有用か (ケアネット) 原著論文はこちら Farokhnia M et al. Clin Neuropharmacol. 2013 Nov-Dec;36(6):185-92. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 急性脳梗塞、再灌流後のtenecteplase動注は有益か/JAMA(2025/01/23) 妊娠糖尿病、メトホルミン±SU薬vs.インスリン/JAMA(2025/01/23) 透析中の骨粗鬆症患者へのデノスマブは心血管イベントリスクを上げる可能性/京都大(2025/01/23) MASLD患者の転帰、発症リスクに性差(2025/01/23) 25種類の治療抵抗性うつ病治療の有効性比較〜ネットワークメタ解析(2025/01/23) タバコを1本吸うごとに寿命が22分縮む?(2025/01/23) 米アルツハイマー病協会が新たな診療ガイドラインを作成(2025/01/23)