月1回の持効性抗精神病薬、安全に使用できるのか

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2014/01/10

 

 新規の持効性抗精神病薬であるパリペリドンパルミチン酸エステルは、4週間に1回投与を行う持効性注射製剤である。臨床応用にあたっては、安全に使用できるかがポイントとなる。米国のDong-Jing Fu氏らは、有害事象に対し感受性の高い発症初期の統合失調症患者におけるパリペリドンパルミチン酸エステルの有効性・忍容性を評価した。International clinical psychopharmacology誌2014年1月号の報告。

 本研究は、13週間の多施設共同、二重盲検・ダブルダミーによる試験のサブ解析である。対象は5年以内に統合失調症の診断を受けた患者。パリペリドンパルミチン酸エステル群(PP群)161例、経口リスペリドン+リスペリドン持効性注射剤群(RLAI群)173例に割り付けた。評価はベースラインおよび4、15、22、36、64、92日目に行った。

 PP群:1日目にパリペリドンとして150mg当量、8日目に100mg当量を投与し、適宜投与量を調整した。
 RLAI群:8日目より隔週でリスペリドン持効性注射剤を投与し、適宜投与量を調整した。経口リスペリドンは1~28日目まで併用した。

 主な結果は以下のとおり。

・投与初期(22日目)までの評価では、PP群とRLAI群の有害事象および有効性は同様であった(RLAI群ではリスペリドン持効性注射剤の薬理学的特性上、経口リスペリドン併用により対応)。
・13週時点でのすべての有害事象発生率はPP群 54.7%、RLAI群 50.3%であった。錐体外路症状の発現率はPP群 11.2%、RLAI群 8.1%、プロラクチン関連の有害事象発生率はPP群 2.5%、RLAI群 2.3%であった。
・試験終了時における平均体重変化、ほとんどの代謝パラメーター、有効性の平均値に有意な差は認められなかった。
・パリペリドンパルミチン酸エステルの13週にわたる有効性および忍容性は、リスペリドン持効性注射剤と同様であった。

関連医療ニュース
どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与
統合失調症患者における持効性注射剤:80文献レビュー
持効性注射剤のメリットは?アドヒアランスだけではなかった

(ケアネット 鷹野 敦夫)