高用量のN-アセチルシステイン(NAC)はハイリスクなCOPD患者に対して、増悪頻度を減少させ、初発の増悪までの期間を短縮させるが、ローリスクなCOPD患者に対しては効果がみられない可能性があることを香港・KwongWah 病院のHoi Nam Tse氏らが報告した。CHEST誌オンライン版2014年5月15日の掲載報告。
高用量のN-アセチルシステインはCOPDの増悪を減少させることが知られてきたが、どのようなカテゴリーのCOPD患者に最も有効なのかについては明らかではなかった。
本研究の目的は、ハイリスクなCOPD患者とローリスクなCOPD患者に対する高用量のN-アセチルシステイン(600mg×2回/日)の効果を比較することである。安定期のCOPD患者(スパイロメトリーで確認)をランダムに2群に分け、現在の治療に加え、一方には高用量のN-アセチルシステイン(600mg×2回/日)、もう一方にはプラセボを追加した。各患者群のフォローアップ期間は1年間で、16週ごとに評価した。現在のGOLDのガイドラインにより定義される増悪リスク分類ごとに、さらなる分析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・120例のCOPD患者の背景は93.2%が男性、平均年齢70.8 ± 0.74歳、気管支拡張薬投与前の対標準1秒量(%FEV1)は53.9 ± 2.0%であり、ベースライン特性は2群間で同等であった。
・1年間フォローアップできた患者は108例であった(NAC投与群52例、プラセボ投与群56例)。
・ハイリスク患者89例において、プラセボ投与群と比べて高用量NAC投与群では増悪頻度が有意に減少し[0.85 vs. 1.59回/年、p=0.019(8ヵ月時点)、1.08 vs. 2.22回/年、p=0.04(12ヵ月時点)]、初発の増悪までの時間も有意に短く(p=0.02)、1年間1度も増悪を起こさない確率が有意に高かった(51.3% vs. 24.4%、p=0.013)。
・ローリスクの患者では、高用量NAC投与群とプラセボ投与群で有意な差は認められなかった。
(ケアネット 鎌滝 真次)