うつ病+認知障害への有効な治療介入は

提供元:ケアネット

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公開日:2014/11/19

 

 うつ病と認知障害を有する高齢者に対しては、抗うつ薬の効果は限定的である。また、心理社会的介入の効果はこれまで十分に検討されていなかった。このような患者に対し、問題適応療法(problem adaptation therapy:PATH)が、認知障害支持療法(ST-CI)よりも、病状の低減に有効であることが、米国・ウェイル・コーネル・メディカル大学のDimitris N. Kiosses氏らによる無作為化試験の結果、報告された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号の掲載報告。

 試験は同大研究所で2006年4月~2011年9月に行われた。被験者は、大うつ病、中等度認知症レベルの認知障害を有している65歳以上の74例で、無作為にPATH群とST-CI群に割り付けられ、週1回12週間にわたる介入を自宅で受けた。検討ではミックス効果モデルを用いて、12週間介入の両群の効果を比較した(途中離脱者は14.8%)。主要アウトカムは、うつ病(モンゴメリ・アスベルグうつ病評価尺度[MADRS]で評価)および障害(World Health Organization Disability Assessment Schedule II[WHODAS 2.0]で評価)の改善であった。

 PATHは、代替戦略、環境適応、介護者支援を統合した問題解決アプローチで、患者の感情調節を図る。一方のST-CIは、情動、理解、共感の表出にフォーカスを当てた介入の方法である。

 主な結果は以下のとおり。

・12週間介入において、PATH群のほうがST-CI群よりも、うつ病(Cohen d:0.60、95%信頼区間[CI]:0.13~1.06、治療×期間 F1,179=8.03、p=0.005)、障害(同:0.67、0.20~1.14、F1,169=14.86、p=0.001)ともに有意に大きく改善した。
・さらに副次アウトカムのうつ病寛解率も、PATH群のほうがST-CI群よりも有意に高値であった(37.84% vs. 13.51%、χ2=5.74、p=0.02、NNT=4.11)。

 今回の結果を踏まえて、著者らは「PATHは、うつ病と認知障害を有する、治療選択肢がほとんどない高齢者の大規模集団に好影響をもたらす可能性がある」とまとめている。

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(ケアネット)