心臓移植非適応患者への新たな左心補助装置の有効性/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2017/02/09

 

 心臓移植非適応の進行心不全患者において、左心補助装置(LVAD)の新しいタイプ「小型心膜内遠心ポンプ」は、市販既存タイプの「軸流ポンプ」に対し、非劣性であることが示された。米国・デューク大学のJoseph G Rogers氏らが、多施設からの被験者446例を対象に行った無作為化試験で明らかにした。LVADは進行心不全患者の確立した治療法である。研究グループは今回、移植ができない患者に対する新しいデザインの有効性について、後遺症を残した脳卒中や機能不全・不具合によるデバイス除去のない生存を指標に検討した。NEJM誌2017年2月2日号掲載の報告より。

2年後の後遺症のある脳卒中やデバイス除去のない生存について比較
 試験は、米国48ヵ所の医療機関を通じて、心臓移植非適応の進行心不全で、NYHA心機能分類IIIB/IVの患者446例を対象に行われ、2対1の割合で遠心ポンプ装置群(297例)と軸流ポンプ装置群(対照群、148例)に割り付け各装置を植込んだ。被験者は、永久使用を目的としたLVAD植込み基準を満たしていた。

 主要エンドポイントは、2年時点の後遺症を残した脳卒中や不具合によるデバイス除去のない生存で、遠心ポンプ装置の軸流ポンプ装置に対する非劣性(非劣性マージン15ポイント)を検証した。

群間差3.7ポイント
 主要エンドポイントの発生は、遠心ポンプ群の164例、対照群の85例に認められた。Weibullモデルによる推定成功率は、遠心ポンプ群が55.4%、対照群が59.1%で、遠心ポンプの非劣性が示された(絶対差:3.7ポイント、95%上側信頼限界12.56ポイント、非劣性p=0.01)。

 故障や不具合で装置の交換を要した人の割合は、遠心ポンプ群8.8%に対し、対照群が16.2%と高率だった。一方で脳卒中発症率は29.7%、12.1%と、遠心ポンプ群で高率だった。生活の質(QOL)と機能的能力の改善については、両群で同等だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 許 俊鋭( きょ しゅんえい ) 氏

東京都健康長寿医療センター センター長

J-CLEAR評議員