家族性高コレステロール血症、世界的に診断遅れ/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2022/02/10

 

 ホモ接合性家族性高コレステロール血症(HoFH)患者について、38ヵ国を対象に調べたところ、世界的に診断年齢が高く、とくに非高所得国では、十分な治療がなされず初回の主要心血管有害イベントが20代で発生している現状が示された。オランダ・アムステルダム大学のTycho R. Tromp氏ら、HoFH患者の治療を行う医師らによるHoFH International Clinical Collaborators(HoFH国際臨床共同研究グループ)が明らかにし、Lancet誌オンライン版2022年1月28日号で発表した。

38ヵ国、88ヵ所の医療機関で751例の患者を検証

 研究グループは、38ヵ国、88ヵ所の医療機関を通じて、臨床または遺伝的にHoFHの診断を受けた751例の患者についてレジストリを作成し、後ろ向きコホート試験を行った。

 HoFH患者の臨床・遺伝的特徴と、治療の現状、アウトカムへの影響を検証した。

初回主要CV有害イベント発生、高所得国で中央値37.0歳、非高所得国では同24.5歳

 被験者751例のうち565例(75%)で、両アレル病原性変異体が報告された。診断年齢中央値は12.0歳(IQR:5.5~27.0)だった。被験者751例のうち、女性は389例(52%)。人種が報告された527例のうち、白人は338例(64%)、アジア人は121例(23%)、黒人または混合人種は68例(13%)だった。

 HoFH診断時点の65例(9%)で、すでにアテローム性心血管疾患(ASCVD)または大動脈弁狭窄の主な症状が認められた。

 全体で、治療前のLDLコレステロール中央値は14.7mmol/L(IQR:11.6~18.4)だった。詳細な治療内容が得られた患者534例のうち、491例(92%)がスタチンを、342例(64%)がエゼチミブを、243例(39%)がリポ蛋白アフェレーシスをそれぞれ服用していた。

 治療中のLDLコレステロール中央値は、非高所得国が9.3mmol/L(IQR:6.7~12.7)に対し、高所得国では3.93mmol/L(2.6~5.8)と低かった。3種以上の脂質低下療法(LLT)の実施率は、非高所得国より高所得国で高く(24% vs.66%)、その結果、ガイドライン推奨LDLコレステロール目標値の達成率も高所得国で高かった(3% vs.21%)。

 初回主要心血管有害イベントの発生年齢は、非高所得国では中央値24.5歳(IQR:17.0~34.5)と、高所得国の中央値37.0歳(同:29.0~49.0)より10歳以上若い年齢で発生していた(補正後ハザード比:1.64、95%信頼区間:1.13~2.38)。

 これらの結果を踏まえて著者は、「複数のLLTの実施率が高いほどLDLコレステロール値は低く、より良いアウトカムと関連する。治療レジメン、LDLコレステロール値のコントロール、および心血管イベントのない生存については、世界的に重大な格差が存在しており、こうした不平等を減らし、HoFHのすべての患者のアウトカムを改善するためには、世界的な健康政策の批判的な再評価が必要だ」としている。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)