中等度~重度の関節リウマチ(RA)患者を対象とした第IIa相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において、peresolimabの有効性が示されたことを、米国・イーライリリーのJay Tuttle氏らが報告した。peresolimabは、内因性プログラム細胞死1(PD-1)阻害経路を刺激するようにデザインされたヒト化IgG1モノクローナル抗体である。この経路の刺激は、自己免疫疾患または自己炎症性疾患の新たな治療アプローチとなる可能性がある。今回の結果は、PD-1受容体の刺激がRA治療に有効であることを示唆するエビデンスを提供するものであり、著者は「RAに対するperesolimabの有効性と安全性を検証する、より大規模で長期的な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2023年5月18日号掲載の報告。
peresolimab 700mgの有効性と安全性をプラセボと比較検証
研究グループは、1つ以上の従来型の合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)、あるいは1つ以上の生物学的製剤(bDMARD)または分子標的薬(tsDMARD)による治療で効果不十分、効果低下または許容できない副作用が発現した中等度~重度の活動期RA成人患者を、peresolimab 700mg群、300mg群またはプラセボ群に2対1対1の割合で無作為に割り付け、4週ごとに静脈内投与した。
主要アウトカムは、12週時のC-反応性蛋白(CRP)に基づく28関節の疾患活動性スコア(DAS28-CRP:範囲0~9.4、スコアが高いほど活動性が高いことを示す)のベースラインからの変化量で、主要比較は700mg群とプラセボ群との間の変化量の差とした。副次アウトカムは、12週時の米国リウマチ学会基準(圧痛・腫脹関節数および重要な5項目中3項目以上で改善)で20%改善(ACR20)、50%(ACR50)、70%改善(ACR70)の達成率などであった。有効性解析対象は修正intention-to-treat集団、安全性は安全性解析集団とした。
主要評価項目の12週時のDAS28-CRP変化量は達成
2021年1月4日~2022年1月10日に172例がスクリーニングされ、適格基準を満たした98例がperesolimab 700mg群(49例)、peresolimab 300mg群(25例)、またはプラセボ群(24例)に割り付けられ、全例が1回以上治験薬の投与を受けた。
12週時のDAS28-CRPのベースラインからの変化量(最小二乗平均値±標準誤差)は、peresolimab 700mg群-2.09±0.18、プラセボ群-0.99±0.26であり、peresolimab 700mg群で有意に大きかった(群間差:-1.09、95%信頼区間[CI]:-1.73~-0.46、p<0.001)。
副次アウトカムは、ACR20達成率についてはperesolimab 700mg群がプラセボ群より良好であることがみられたが(71% vs.42%)、ACR50達成率(39% vs.21%)、およびACR70達成率(20% vs.17%)については両群で大きな差はなかった。
治療期間における有害事象の発現率は、peresolimab 700mg群29%、peresolimab 300mg群32%、プラセボ群38%で、安全性プロファイルは3群で類似していた。
(医学ライター 吉尾 幸恵)