頸動脈プラークからマイクロプラスチックまたはナノプラスチック(MNP)が検出された患者は、検出されなかった患者と比較して、追跡34ヵ月時点の心筋梗塞、脳卒中、全死因死亡の複合リスクが有意に高かった。イタリア・University of Campania Luigi VanvitelliのRaffaele Marfella氏らが多施設共同の前向き観察試験の結果を報告した。いくつかの研究で、摂取や吸入、皮膚への曝露を通じてMNPが体内に入り込み、細胞組織や臓器に作用することが示されており、MNPは母乳、尿、血液だけでなく、胎盤、肺、肝臓などでも見つかっている。最近行われた前臨床モデル研究では、MNPが心血管疾患の新たなリスク因子であることが示唆されていたが、このリスクがヒトに及ぶという直接的なエビデンスは示されていなかった。NEJM誌2024年3月7日号掲載の報告。
プラーク中にMNPの存在が確認された患者vs.確認されなかった患者で検討
研究グループは、無症候性頸動脈疾患に対して頸動脈内膜切除術を受ける予定の患者を対象に検討を行った。
頸動脈プラークの摘出検体を用いて、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析、安定同位体分析、電子顕微鏡検査を行い、MNPの存在を分析した。炎症性バイオマーカーは、酵素免疫測定法と免疫組織化学法で評価した。
主要エンドポイントは、心筋梗塞、脳卒中、全死因死亡の複合で、プラーク中にMNPの存在が確認された患者と確認されなかった患者を比較した。
MNPの存在が認められた患者の複合イベントリスクは4.53倍
計304例が登録され、257例が追跡期間中央値33.7(SD 6.9)ヵ月の試験を完了した。
150例(58.4%)の患者の頸動脈プラークからポリエチレン(平均21.7±24.5μg/mg)が検出された。また、31例(12.1%)の患者のプラークからは、測定可能なポリ塩化ビニル(平均5.2±2.4μg/mg)も検出された。
電子顕微鏡検査により、プラーク中のマクロファージ間に、辺縁がギザギザの異物が確認でき、外部デブリに散在していることが認められた。
放射線検査では、これらの異物の一部に塩素が含まれていることが示された。
アテローム内にMNPの存在が認められた患者は、認められなかった患者よりも、主要エンドポイントのイベントリスクが有意に高かった(ハザード比:4.53、95%信頼区間:2.00~10.27、p<0.001)。
(ケアネット)