双極性障害患者では認知機能障害を呈することが少なくないが、これらの関係については十分に報告されていない。Ute Kessler氏らは、治療抵抗性の双極性障害I型およびII型の患者における、神経認知障害を評価した。その結果、認知障害はII型と比べてI型患者でより多く、とくに処理速度に関する障害の頻度が高かった。所見を踏まえて著者は「本結果は、臨床家は、とくに双極性障害I型の治療抵抗性の患者において神経認知障害が重度であることに留意すべきであることを示すものである」と述べている。BMC Psychiatryオンライン版2013年4月号の掲載報告。
本研究は、治療抵抗性の急性双極性障害が認められた入院患者の神経認知プロファイルを評価し、同I型とII型患者の神経認知について比較を行い、人口統計学的および臨床的疾患特性と認知機能との関連を特定することを目的とした。DSM-IV-TRで大うつ病エピソードが認められた急性期の双極性障害I型(19例)と同II型(32例)の入院患者について、MATRICS Consensus Cognitive Battery(MCCB)、Wechsler Abbreviated Scale of Intelligence(WASI)、National Adult Reading Testなどで評価を行った。
主な結果は以下のとおり。
・神経認知障害は、MCCBの全評価において双極性障害I型およびII型の患者で明らかであった。
・すべてのMCCB測定スコアが、II型群よりI型群で低値であった。あるカテゴリーについて名詞をどれだけ言えるか(category fluency)についての測定スコアは有意差が認められた。
・I型患者の68.4%で、2つ以上の領域で障害(標準平均値より>1.5 SD低下)がみられ、これはII型患者の37.5%と比べて有意に多かった(p=0.045)。
・発症前から直近にかけてのIQ低下は、I型患者では有意であったが、II型患者では有意ではなかった。
・年齢が高いと、神経認知障害は年齢調整後標準値に比して大きかった。
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(ケアネット)