抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/11/07 統合失調症治療では、初期の治療が長期予後に影響を与える。しかし、抗精神病薬の初期治療に対する反応の違いから、その後の症状変化を予測できるかは明らかになっていない。Levine氏らは統合失調症患者の最近のエピソードの治療に対し、投与された抗精神病薬が反応するまでの期間とその後の経過(18ヵ月間の症状変化)との関連を検討した。Schizophr Res誌2012年10月号の報告。 最近のエピソードを有する統合失調症患者263例を対象とした二重盲検無作為化試験。抗精神病薬投与4週時にPANSSトータルスコア20%改善達成に基づいて、患者をnon群(非反応)、early群(2週間以内に反応)、delayed群(3~4週間で反応)の3群に分け、比較した。群および時間、群-時間の交互作用からPANSSスコア変化を予測するため、混合モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・PANSSトータルスコアを分析した結果、群および時間、群-時間の交互作用に対する有意な影響が認められた(p<0.01)。 ・non群と比較し、early群では5~44週間、delayed群では5~20週間、有意な反応が維持されたが、その後は各群間に有意な差は認められなかった。 ・全体を通じてearly群とdelayed群の間に統計的に有意な違いは認められなかった。 ・これらの結果は、PANSS陽性尺度、陰性尺度、総合精神病理尺度ともに同様であった。 ・early群はnon群と比較し、治療効果が最大39週間長く維持されており、delayed群とも少なからず異なる結果となった。これを踏まえ、スイッチングや臨床研究デザインを考慮する必要があることが示唆された。 関連医療ニュース ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・抗うつ薬切替のベストタイミングは? ・【学会レポート】2012日本臨床精神神経薬理学会・日本精神神経薬理学会合同年会 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Levine SZ, et al. Schizophr Res. 2012 Nov; 141(2-3):168-172. doi: 10.1016/ j.schres.2012.08.030. Epub 2012 Sep 18. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 局所進行頭頸部扁平上皮がんの維持療法、アテゾリズマブvs.プラセボ/JAMA(2025/03/31) CEA中の超音波血栓溶解法、第III相試験の結果/BMJ(2025/03/31) ベンゾジアゼピンによる治療はアルツハイマー病の重大なリスク因子なのか(2025/03/31) 限局型小細胞肺がん、CRT後のデュルバルマブ承認/AZ(2025/03/31) ベネトクラクス、再発・難治マントル細胞リンパ腫に追加承認/アッヴィ(2025/03/31) 「H. pylori感染の診断と治療のガイドライン」改訂のポイント/日本胃癌学会(2025/03/31) 極端な暑さは高齢者の生物学的な老化を早める(2025/03/31) 一人暮らしの認知症者は疎外されやすい?(2025/03/31)
Levine SZ, et al. Schizophr Res. 2012 Nov; 141(2-3):168-172. doi: 10.1016/ j.schres.2012.08.030. Epub 2012 Sep 18.