抗精神病薬投与前に予後予測は可能か? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/01/07 抗精神病薬処方に際し、効果や副作用を事前に予測することができるのであろうか。Eric D A Hermes氏らは、第二世代抗精神病薬の選択時に、医療関係者が心血管疾患のリスクを予測できるかを検証した。Psychiatric services (Washington, D.C.)誌オンライン版2012年12月15日号の報告。 本試験はアカデミック・ディテーリングの一環として、2007年10月~2009年5月に行われた。単一の退役軍人医療センターのすべての精神科医療関係者を対象に、第二世代抗精神病薬による新規処方を行ったすべての患者について調査を完了した。調査では、処方薬、患者の社会人口学的データ、精神疾患および併存疾患の診断、処方理由を記述した。肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病と心血管疾患や心血管代謝レベルに応じた抗精神病薬の選択との関係を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・259名の医療関係者から2,613件のデータが集積された。 ・心血管代謝リスクの高いオランザピン、中等度のクエチアピン、リスペリドン、これら3剤の処方箋は全体の79%を占めた。 ・第二世代抗精神病薬の処方は肥満、脂質異常症、糖尿病との間に有意な相関が認められたが(p<0.001)、高血圧、心血管疾患との相関は認められなかった。 ・オランザピンの投与は、心血管疾患の既往がない患者より、既往のある患者において処方割合がわずかに少なかった(平均4%)。 ・心血管代謝リスクが低いかほとんどないアリピプラゾールを投与された患者の割合は、心血管代謝疾患既往患者で一貫して高かった(平均2%)。 ・医療関係者による統計学的に有意な心血管代謝リスクについてのセンシティビティの存在が明らかになったが、このセンシティビティは強力ではなく統計学的に一様に有意でもなかった。 ・治療決定を行う際、薬剤のリスクに関する多くの情報を収集しておくことで、ケアの質を向上させることができると考えられる。 関連医療ニュース ・第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・検証!非定型抗精神病薬の神経保護作用 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hermes ED, et al. Psychiatr Serv. 2012 Dec 15. doi: 10.1176/ appi.ps.201200183. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 60歳以上へのRSVワクチン、承認後初のシーズンの有効性/Lancet(2024/11/01) 異常降雨が全死亡リスクと関連、心血管・呼吸器疾患死亡も/BMJ(2024/11/01) 糖尿病、脳卒中合併高血圧でも積極的降圧が有効―とはいうが、COVID-19ロックダウン下の中国で大規模臨床試験を強行したことに驚き(解説:桑島巌氏)(2024/11/01) 薬物乱用頭痛に対する薬物療法の比較〜ネットワークメタ解析(2024/11/01) 骨髄線維症に10年ぶりの新薬、貧血改善が特徴/GSK(2024/11/01) お茶やベリー類など、フラボノイド摂取が認知症リスクを低下(2024/11/01) 重症の新型コロナ感染者の心臓リスクは心疾患既往者のリスクと同程度(2024/11/01) 救急外来でのChatGPTの活用は時期尚早(2024/11/01) 幸福感が脳卒中や心筋梗塞からあなたを守る(2024/11/01)
Hermes ED, et al. Psychiatr Serv. 2012 Dec 15. doi: 10.1176/ appi.ps.201200183. [Epub ahead of print]