うつ病の治療転帰を予測するには、臨床的要因 < 社会経済的要因

大うつ病性障害(MDD)において、治療転帰に関わる多くの予後因子が知られているが、いずれも単独では予後予測能に限界がある。米国・カリフォルニア大学のFelipe A. Jain氏らは、MDDの治療転帰に関する予測因子について検討した。その結果、社会経済的要因が、ベースラインにおける臨床的要因と比べ、より強力に治療転帰を予測しうること、また複数の因子を組み合わせたプロファイルが各因子単独よりも強力な予測因子であることを報告した。Depression and Anxiety誌オンライン版2013年1月3日号の掲載報告。
本研究では、臨床的および人口動態的因子の階層的な複合を基に、抗うつ薬の治療反応性および寛解に関連するプロファイルを明らかにすることを目的とした。Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression trial(STAR*D)において、MDD患者2,876例にシタロプラムが投与されたレベル1のデータを解析した。信号検出分析を施行し、治療転帰の異なる患者の階層的予測プロファイルを特定した。分析に際し、感度、特異度、陽性・陰性予測値および検査効率を評価しつつ、自動化されたアルゴリズムを用いて最適な予測因子を決定した。
主な結果は以下のとおり。
・ベースラインの臨床的および人口動態的因子の階層的複合により、治療転帰を有意に予測するプロファイルが明らかとなった。
・解析の結果、全コホートの反応率は47%であったのが、プロファイルに基づくサブグループの反応率は31~63%の範囲にわたった。
・また、全コホートの寛解率は28%であったのに対し、サブグループの寛解率は12~55%にわたった。
・抗うつ薬の治療転帰をより反映していたのは、症状や他の臨床的要因よりも、社会経済的状態(収入、教育など)であった。
・うつ症状のタイプおよび重症度とともに合併症の状況は、抗うつ薬の治療転帰の予測に有用であったものの、その予測能は弱かった。
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(ケアネット)
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