南オーストラリア大学のNicole Pratt氏らは、AsPEN (Asian Pharmacoepidemiology Network)の一環として、抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスクを評価した。本研究では、日本を含む世界各国約2億人のデータを用いた。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2013年5月21日号の掲載報告。
Pratt氏らは、抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスクを検討することを目的に多国間研究を行った。一般的かつ小規模のデータセットを用いて、prescription sequence symmetry analysis(PSSA)により、抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスクを評価した。緊急のインスリン処方を急性高血糖症の代替指標とした。データセットへの参加国および人数は、オーストラリア(30万人)、日本I(30万人)、日本II(20万人)、韓国(5,300万人)、台湾(100万人)、スウェーデン(900万人)、USA-Public(8,700万人)、USA-Private(4,700万人)であった。
主な結果は以下のとおり。
・大半のデータベースで、オランザピンにより急性高血糖症のリスクが高まる傾向がみられた。USA-Public(Adjusted sequence ratio[ASR]: 1.14、95%CI:1.10~1.17)およびスウェーデン(ASR: 1.53、95%CI:1.13~2.06)のデータベースでは有意差が認められた。
・ハロペリドール、クエチアピンおよびリスペリドンに関しては、急性高血糖症のリスクと関連なし、あるいは負の関連が認められた。
・急性高血糖症はオランザピンの使用と関連していると思われるが、その影響は2つの大きなデータベースで確認されたにとどまった。
・各抗精神病薬に関するPSSAの解析結果は、抗精神病薬、インスリンともに使用パターンはさまざまであったが、大半の国で質的には同程度であった。
・PSSAと既存の方法との組み合わせは、多国間薬剤安全性モニタリングをさらにサポートする簡便かつタイムリーな方法になりうる可能性がある。
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