米国・ルリー小児病院(シカゴ)のAnne T. Berg氏らは、小児てんかん患者の死因とリスクについて検討を行った。その結果、神経障害または脳の基礎疾患を有するてんかんの場合は一般人口に比べて死亡率が有意に高いこと、発作関連の死亡よりも、むしろ肺炎または他の呼吸器疾患による死亡のほうが多いことを報告した。Pediatrics誌オンライン版2013年6月10日号の掲載報告。
本研究は、小児てんかん患者の死因とリスク(とくに発作関連)の推定、および発作関連の死亡とその他の主な死因による死亡リスクを比較することを目的とした。新規にてんかんと診断された小児患者4コホートにおける死亡実績を統合した。死亡原因を、発作関連(突然の予期しない死亡:SUDEP)、自然要因、非自然的要因、不明に分けて検討した。また、神経障害または脳の基礎疾患を有する場合を「合併症・基礎疾患あり」とした。
主な結果は以下のとおり。
・被験者2,239例について、3万例を超える観察人年において、死亡は79例であった。なお、致死的な神経代謝疾患のある10例は最終的に除外した。
・全死因死亡率は、10万人年当たりの228例であった(合併症・基礎疾患あり:743例、なし:36例)。
・発作関連の死亡は、13例(SUDEP:10例、その他:3例)で、全死亡の19%であった。
・発作関連死亡率は、10万人年当たり43例であった(合併症・基礎疾患あり:122例、なし:14例)。
・自然要因による死亡率は、10万人年当たり159例であった(合併症・基礎疾患あり:561例、なし:9例)。
・自然要因による死亡48例中37例は、肺炎または他の呼吸器疾患によるものであった。
・若年のてんかん患者において、発作関連が最大の死因ではないことが示された。
・合併症・基礎疾患のある小児てんかん患者の死亡率は、一般人口に比べ有意に高かった。
・SUDEPの割合は、乳幼児突然死症候群と同程度またはそれ以上であった。
・合併症・基礎疾患のない若年性てんかん患者におけるSUDEPの割合は、事故、自殺、殺人などその他の原因の場合と同程度またはそれ以上であった。
・今回得られた知見を踏まえて著者は、「てんかんの死亡リスクが、ありふれたリスクであるということは、患者や家族とのてんかん発作関連の死亡に関する話し合いを容易なものとするだろう」と述べている。
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