ゲームのやり過ぎは「うつ病」発症の原因か?!

提供元:ケアネット

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公開日:2012/08/13

 

 ここ10年の間にオンラインゲームは急速に広まり、それに伴うさまざまな問題に注目が集まっている。しかしながら、過度なオンラインゲームの利用が精神症状に与える影響に関する報告は多くない。Wei氏らはインターネット調査によりオンラインゲーマーの特性を明らかにし、オンラインゲーム利用時間と社会不安障害、うつ病との関係を検証した。BMC Psychiatry誌オンライン版2012年7月28日号の報告。

 オンラインアンケートを作成し、人気のあるオンラインゲームのウェヴサイトに掲載した上で、調査に協力してくれるオンラインゲーマーを募った。アンケートでは、人口統計学的データ、インターネットとオンラインゲームの利用状況、うつ病・身体症状尺度(DSSS)、社会不安障害尺度(SPIN)、Chenインターネット依存スケール(CIAS)を調査した。

主な結果は以下のとおり。

・1ヵ月の調査でオンラインゲーマー722名(平均年齢:21.8±4.9歳)の調査が完了した。
・調査協力者の内訳は、男性601名(83.2%)、女性121名(16.8%)であった。
・オンラインゲーム利用時間の平均値は28.2±19.7時間/週であり、オンラインゲーム歴(r=0.245、p<0.001)、総DSSSスコア(r=0.210、p<0.001)、SPINスコア(r=0.150、p<0.001)、CIASスコア(r=0.290、p<0.001)との相関が示された。
・女性では男性と比較し、オンラインゲーム歴が短く(6.0±3.1年 vs 7.2±3.6年、p=0.001)、オンラインゲームの利用時間も短かったが(23.2±17.0時間/週 vs 29.2±20.2時間/週、p=0.002)、DSSSスコア(13.0±9.3 vs 10.9±9.7、p=0.032)、SPINスコアは高かった(22.8±14.3 vs 19.6±13.5、p=0.019)。
・年齢と教育年数で調整した線形回帰モデルでは、DSSSスコアの高値は、女性、SPINスコア高値、CIASスコア高値、オンラインゲーム利用時間の長さと関連していた。
・オンラインゲームの利用時間の長さは、オンラインゲーム歴の長さ、より重篤なうつ病・社会不安障害、インターネットネット依存症状と関連していた。
・女性オンラインゲーマーは、オンラインゲーム利用時間およびオンラインゲーム歴が短かったが、より重篤な身体症状、痛み、社会不安障害を伴う傾向にあった。
・うつ病の予測因子として、より重篤な社会不安障害・インターネット依存症状、オンラインゲーム利用時間の長さ、そして女性であることが挙げられる。

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(ケアネット 鷹野 敦夫)