日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/09/21 抗精神病薬服用中の統合失調症患者は脂質異常症を伴うことが多い。しかし、北米や英国の先行研究では、統合失調症患者における抗精神病薬服用による脂質異常症への影響を否定する結果も得られている。新潟大学 渡邉氏らは日本人統合失調症患者における抗精神病薬と脂質異常症との関係を検証した。Gen Hosp Psychiatry誌2012年9月号の報告。 対象は抗精神病薬治療を行っている日本人統合失調症患者157例、健常者136名。対象患者のHDL-C、LDL-C、トリグリセリド(TG)を測定した。分析には、重回帰分析を用いた。なお、両群間の年齢、男女比、BMIは一致していた。 主な結果は以下のとおり。 ・抗精神病薬による治療を行っている統合失調症患者は対照群と比較し、HDL-Cレベルが有意に低かった(p<0.001)。 ・LDL-C、TGレベルは両群間で有意な差が認められなかった。 ・分析の結果、統合失調症患者に対する抗精神病薬投与は、HDL-Cレベルの減少に対する独立した危険因子であることが示された。 ・HDL-Cレベル減少の主要予測因子は、高BMI、男性、喫煙であった(r(2)=0.42、p<0.001)。 本研究から、日本人統合失調症患者における抗精神病薬とHDL-Cレベルは密接に関係していることが明らかになった。渡邉氏らは「日本人統合失調症患者の心血管リスク減少のためにも、肥満や喫煙などの危険因子の有無にかかわらず、脂質異常症を考慮した治療を行うことが重要である」と結論づけている。 関連医療ニュース ・脂質異常症になりやすい統合失調症患者、肥満や糖尿病だけじゃない ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・「第二世代抗精神病薬」長期投与の課題は… 原著論文はこちら Watanabe J, et al. Gen Hosp Psychiatry. 2012 Sep; 34(5):525-528. Epub 2012 May 14. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20)