せん妄はアルツハイマー病悪化の危険因子! 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/10/10 せん妄は急性の認知障害を示す疾患である。Weiner氏は高齢アルツハイマー病(AD)患者における長期的な認知機能とせん妄との関係を検討し、AD入院患者における認知機能低下を抑制するためにも、せん妄予防は重要であると結論づけた。Arch Neurol誌オンライン版2012年9月17日号の報告。 1991年1月1日~2006年6月30日の間のマサチューセッツ州アルツハイマー病研究センターの患者登録内のAD入院患者263例のコホートから前向きに収集したデータを評価した(フォローアップ期間の中央値:3.2年)。認知機能はIMC(information-memory-concentration)を用い測定した。せん妄の評価はカルテベースの検証を用いた。認知機能低下の検証にはランダム効果回帰分析を用いた。 主な結果は以下のとおり。 ・AD患者の56%が入院中にせん妄を発症した。 ・入院前の認知機能とせん妄発症との関係は認められなかった(せん妄発症患者:1.4 IMC/ 年 [95%CI :0.7~2.1]、せん妄非発症患者:0.8 IMC/年 [95%CI:0.3~1.3]、p=0.24)。 ・認知症重症度、併存疾患、人口統計学的特性で調整した後、せん妄発症患者は非発症患者と比べて入院フォローアップ中に、より重度な認知機能低下を経験していた(3.1 IMC/年 [95%CI:2.1~4.1] vs1.4 IMC/年 [95%CI:0.2~2.6])。これらの変化は、せん妄非発症患者と比較して、せん妄発症患者は入院後2倍/年の速度で認知機能が低下することを示唆している。 ・せん妄発症患者は、5年間のフォローアップ期間中、より急速な認知機能低下が継続した。 ・再入院患者を除外し、ベースラインの認知機能および認知機能低下の基準を一致させて行った感度解析においても、同様の結果が得られた。 関連医療ニュース ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? ・せん妄は超高齢者における認知症の強いリスク因子 ・せん妄を有する高齢入院患者の死亡リスクは高い! (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Weiner MF. Arch Neurol. 2012 Sep 17: 1-2. doi: 10.1001/archneurol.2012.2703. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 英国の過去20年の新薬導入、公衆衛生への影響を評価/Lancet(2024/12/31) 中等症~重症の潰瘍性大腸炎、グセルクマブは有効かつ安全/Lancet(2024/12/31) おそらく後進国(資源の限られた国)における血友病治療の光となる新たな遺伝子治療(解説:長尾梓氏)(2024/12/31) 糖尿病性腎症、コーヒーによるリスク減は摂取時間が重要(2024/12/31) アルツハイマー病治療の新時代、新規治療薬の承認でどう変わるか(2024/12/31) 高齢者への2価RSVワクチン、入院/救急外来受診リスクを低減(2024/12/31) ARBは脳卒中後のてんかん予防に効果的(2024/12/31) 糖尿病予備群が大動脈弁狭窄症を引き起こす(2024/12/31) スポーツの「観戦」にも有意な健康効果―日本人対象の縦断的研究(2024/12/31)