検証!向精神薬とワルファリンの相互作用 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/10/19 ワルファリンと向精神薬との薬物相互作用について、米国・ボストン大学医療センターのNadkarni A氏らが最新の文献レビューを行い、「特定の症例では、服用する向精神薬によって抗凝固療法を変更しなければならない可能性がある」ことを報告した。承認される向精神薬が増加し、ワルファリン療法を受けている患者が同時服用する可能性が増えている。しかし、ワルファリンと向精神薬との薬物相互作用に関する直近の文献レビューは10年以上前のものしかなかった。Pharmacotherapy誌2012年10月号の報告。 ワルファリンは肝代謝を受けタンパク質との結合が高く、そのためとくに薬物相互作用を受けやすい。加えて、投与される患者は出血や血栓性合併症のリスクがあるなど他の治療と比べて狭い領域をターゲットにしている。そこで、ワルファリンと向精神薬との薬物相互作用について記述された文献のシステマティックレビュー(MEDLINEを使用)は、チトクロームP450代謝システムと蛋白結合を介して伝達される相互作用に焦点を合て検証した。 主な結果は以下のとおり。 ・ワルファリンと向精神薬の間には重大な相互作用があるが、過小評価されている傾向が示唆された。 ・これらの相互作用は、安全性と服薬コンプライアンスの両方に対して顕著な影響を及ぼしていた。 ・ワルファリン療法を受けている患者に特定の向精神薬が投与開始もしくは中止されるとき、あるいは向精神薬の安定投与を受けている患者にワルファリン療法が導入されるとき、臨床医は患者の国際標準比(INR)をモニタリングする必要がある。 ・ワルファリンとの併用でINRが増大する特定のリスクを引き起こす向精神薬は、フルオキセチン、フルボキサミン、クエチアピン、バルプロ酸などであった。 ・ワルファリンとの併用でINRを有意に減少させる可能性がある向精神薬としては、トラゾドン、セイヨウオトギリソウ、カルバマゼピンなどがあった。 ・タバコ成分中の多環芳香族炭素(polycyclic aromatic carbons)もINRを有意に減少させる可能性があった(ただし、ニコチン自体がニコチン置換療法のように、ワルファリンの抗凝固効果を変化させることは知られていない)。 関連医療ニュース ・抗精神病薬アリピプラゾール併用による相互作用は? ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? ・ドネペジル「新たな抗血管新生治療」の選択肢となりうるか? (ケアネット) 原著論文はこちら Nadkarni A, et al. Pharmacotherapy. 2012 Oct; 32(10): 932-942. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 貧血を伴う動脈瘤性くも膜下出血の輸血、非制限戦略vs.制限戦略/NEJM(2024/12/24) 日本人双極症外来患者におけるアルコール依存症合併率とその要因〜MUSUBI研究(2024/12/24) 乳がん再発予測、ctDNA検査はいつ実施すべき?示唆を与える結果(ZEST)/SABCS2024(2024/12/24) DOACとスタチンの併用による出血リスク(2024/12/24) 不規則な睡眠習慣は主要心血管イベントリスクを高める(2024/12/24) 超加工食品の大量摂取は活動性乾癬と関連(2024/12/24) GLP-1RAによる肥満治療が食品ロスを増やしている(2024/12/24) 口の中でグミを細かくできないと要介護や死亡のリスクが高い―島根でのコホート研究(2024/12/24)