睡眠時間が短いと脂質異常症のリスクも高まる―日本の男性労働者を対象とした研究― 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/11/22 日本の都市部で働く男性の短い睡眠時間がコレステロール値の上昇と関連することが、京都大学 外山善朗氏らによる地域ベースの研究で明らかになった。著者は睡眠時無呼吸、睡眠時間、脂質プロファイルの関連性について検討し、呼吸障害指数(RDI)がトリグリセリド値(TG)と正の相関があることを示したうえで、「睡眠時無呼吸や睡眠時間を改善することが、脂質プロファイルや心血管系への影響を改善する可能性がある」と結論づけた。Chest誌オンライン版2012年10月15日号掲載の報告。 脂質異常症はしばしば閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を併発するが、その関連性についての集団研究はほとんどない。また、短い睡眠は高血圧症や糖尿病の発症と関連があるが、脂質異常症との関連性はよく知られていない。 対象者は日本企業に勤める男性275例。 RDIと睡眠時間は3タイプのポータブルデバイスとアクチグラフを用いて測定し、空腹時血液パラメータは定期検査のデータから得た。 主な結果は以下のとおり。 ・脂質異常症を143 例で認めた(本邦のガイドラインに基づき診断)。 ・脂質異常症を認めた群は、認めない群と比べて、睡眠中の血中酸素飽和度(SpO2)90%未満の例が多く、重度な睡眠時無呼吸の有病率が高かった。また、睡眠時間が短く、睡眠中の平均SpO2の値が低かった。 ・単変量解析の結果から、RDIはTGと正の相関が認められた(ρ=0.20、p<0.01)。睡眠時間は血清総コレステロール値(γ=-0.13、p=0.03)および血清LDLコレステロール値(γ=-0.12、p=0.04)と負の相関が認められた。 ・ステップワイズ重回帰分析の結果から、TGはRDI(β=0.14、p=0.02)、BMI(β= 0.20、p<0.01)、アルコール摂取量(β=0.20、p<0.01)と正の相関が認められた。また、TCは睡眠時間(β=-0.13、p=0.03)と負の相関、年齢(β=0.15、p=0.02)およびウエスト/ヒップ比(β=0.15、p= 0.02)と正の相関を認めた。 (ケアネット 武田 真貴子) 原著論文はこちら Toyama Y, et al. Chest. 2012 Oct 15. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 高齢の心臓手術患者、脳波ガイド下麻酔は術後せん妄を抑制せず/JAMA(2024/07/22) CAR19療法後再発LBCL、CAR22療法が有望/Lancet(2024/07/22) HPVワクチン、積極的勧奨の再開後の年代別接種率は?/阪大(2024/07/22) 口臭と認知症との関連〜11年間の国内フォローアップ調査(2024/07/22) 乳がん領域におけるがん遺伝子パネル検査後の治療到達割合(C-CATデータ)/日本乳癌学会(2024/07/22) 高温短時間殺菌は鳥インフルエンザウイルスの除去に有効(2024/07/22) 糖尿病は過活動膀胱の有病率を押し上げる(2024/07/22)