低緯度地域では発揚気質が増強される可能性あり:大分大学

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/28

 

 日光を浴びる時間は気分や気分障害に影響を与える。大分大学の河野 健太郎氏らは、最近の研究で、昼間の高照度は発揚気質と関連づけられ、一方、昼間の低照度は循環気質と関連づけられることを実証した。しかしながら、発揚気質または循環気質が、向日性ないし非向日性を有するために、より高い照度またはより低い照度を求めるのか、またはその逆に、より高いまたはより低い照度の光照射の効果を通じて発揚気質ないし循環気質が増強されるのか、明らかになっていなかった。著者らはこの疑問を解決するため、日照時間の異なる地域の住民を対象に、双極性気質を比較した。Journal of affective disorders誌2012年12月号の報告。

 対象は、日照時間が有意に異なる北海道・札幌(緯度43度)の住民94名と九州・大分(緯度33度)の住民95名の計189名。気質評価質問紙(TEMPS-A)を用い検討を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・札幌と大分の緯度の違いにより、発揚気質の有意な差が認められた(重回帰分析)。
・その他の気質については、差が認められなかった。
・比較的低緯度の地域で(潜在的により多くの日光照射を通じて)、発揚気質が増強される可能性が示唆された。

 本研究の限界

・両対象群の年齢に、わずかながらも有意な差が存在したため、重回帰分析には年齢を含んでいた。
・日照以外の気候要因にも有意な差が存在したが、これらの影響を完全に除外することができなかった。
・心理社会的要因など他の要因については考慮していない。

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