沖縄県宮古島において、2002~2005年の血圧値が1988~1991年より有意に低値であったにもかかわらず、初発脳卒中およびすべての脳卒中病型の発生率に有意な変化を認めなかったことが、琉球大学大学院 洲鎌 千賀子氏らにより報告された。また、脳梗塞発生率の上昇傾向には、代謝異常が関連していると推測した。Journal of stroke and cerebrovascular diseases誌オンライン版2012年11月2日付の報告。
沖縄では、心血管疾患リスク因子のコントロールが急速に悪化している。とくに肥満の悪化は顕著である。このことが、脳卒中を含む心血管疾患の発生率に影響を及ぼす可能性がある。
宮古島の住民を対象に、1988年から1991年を第1期、2002年から2005年を第2期として、横断的研究が実施された。対象者の心血管リスク因子は、1987年時と2001年時の健康診断データを用いて評価された。
主な結果は以下のとおり。
・初発脳卒中は、第1期で257人、第2期で370人に認めた。
・日本の標準人口10万人あたりの初発脳卒中の年齢調整年間発生率は、第1期で124人、第2期で144人であった。
・脳梗塞の年齢調整年間発生率は上昇傾向(第1期:50、第2期:73)、脳出血は減少傾向(第1期:61、第2期:54)を認めたが、有意ではなかった。
・血圧値は、全年齢層において第2期の方が低かった。
・50歳以上のBMI値は、第2期の方が高かった。
・30~79歳の空腹時血糖値と、50~79歳のnon-HDLコレステロール値は第2期で有意に上昇した。
(ケアネット 武田 真貴子)