日々の仕事で深刻な悩みやストレスを抱えている日本人就労者の割合は60%を超え、仕事への義務感による精神的重圧から、精神障害および自殺を起こす頻度が増加している。そこで獨協医科大学の和田佳子氏らは、職業性ストレス簡易調査票(BJSQ)で測定・評価したストレス反応から、うつ病のリスクを識別しうるか否かを明らかにすることを目的としたコホート研究を行った。PLoS One誌オンライン版2013年2月12日号の掲載報告。
対象は、2005年にBJSQを用いたストレス反応の評価を行った1,810例(20~70歳)で、2007年8月までの傷病手当の記録をもとに追跡した。うつ病の発症は、傷病休暇の理由として、医師の診断書に「うつ病」または「抑うつ症状」という記載がある場合とした。被験者を、ベースラインのBJSQ総スコアに基づいてQl、Q2、Q3、Q4の四分位に分け、さらに高スコア群(Q4)と低スコア群(Q1~Q3)に分けた。BJSQで評価されるストレス反応のうつ病発症に対するリスク比は、多変量Cox比例ハザードモデルを用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・平均追跡期間1.8年の間に、1,810例中14 例がうつ病を発症した。
・うつ病を理由とする傷病休暇について、高スコア群の低スコア群に対するリスク比は2.96(95%CI:1.04~8.42、 傾向p= 0.002)であった。
・性別、年齢、結婚歴、子どもの有無で調整後のリスク比は、未調整の場合と同様であった。
・以上の結果から、BJSQで評価されるストレス反応は、うつ病の発症リスクを証明することが示唆される。
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(ケアネット)