抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響

提供元:ケアネット

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公開日:2013/03/18

 

 国立台湾大学病院のWei-Lieh Huang氏らは、抗精神病薬が心機能に及ぼす影響を、ムスカリン受容体に対する親和性および抗コリン薬併用の影響という観点から検討した。その結果、抗精神病薬のムスカリン受容体に対する親和性は、交感神経と副交感神経の両方の調節に影響し、抗精神病薬と抗コリン薬の併用は心拍変動に影響を及ぼすことが示唆された。これまで、抗精神病薬が心血管リスクと関連することは知られていたが、その抗コリン作用と心機能との関連は不明であった。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2013年2月14日号の掲載報告。

 研究グループは、ムスカリン受容体に対する親和性の高い(HMA)抗精神病薬は副交感神経の調節を低下させ、その現象は心拍変動の測定により観察できると仮定した。また、統合失調症患者において、薬剤性パーキンソニズムの治療に広く用いられる抗コリン薬は、抗精神病薬と相互作用して心拍変動に影響を及ぼしている可能性もあると考えた。これらの仮説を基に検討を行った。研究には統合失調症患者55例が登録された。内訳は、HMA抗精神病薬を使用した例が28例、ムスカリン受容体に対する親和性が低い(LMA)抗精神病薬を使用した例が27例であった。HMA群とLMA群の心拍変動値を比較し、相関解析および回帰分析によりHMA、LMAと心拍変動との関連を評価した。さらに、抗コリン薬の影響も相関解析により検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・HMA群はLMA群に比べ、低周波(LF)パワー、高周波(HF)パワー、総パワー(TP)、normalized LF(LF%)が有意に低かった。
・回帰分析により、ムスカリン受容体に対する親和性がLF(β=-0.447、p<0.001)、HF(β=-0.390、p=0.002)およびTP(β=-0.399、p=0.001)に関連するという、仮説を支持する結果が示された。
・LMA抗精神病薬と抗コリン薬の併用は、LF%に影響を及ぼした(β=0.326、p=0.006)。
・LMA群において、抗コリン薬の使用とLF%およびLF/HFとの間に正の相関が認められた。
・HMA群において、抗コリン薬使用例を除外した後、等価量の抗精神病薬とHFとの間に負の相関が認められた。
・抗精神病薬のムスカリン受容体に対する親和性は、交感神経と副交感神経の両方の調節に影響し、抗精神病薬と抗コリン薬の相互作用が心拍変動に影響することが示唆された。

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(ケアネット)