ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/03/25 ベンゾジアゼピン系薬物の認知障害は、同薬の作用によるα1GABAA受容体の活性が関与している可能性が示唆された。米国・ハーバードメディカルスクールのLeah Makaron氏らが、アカゲザルによる作業実験研究を行い明らかにした。Pharmacology Biochemistry and Behavior誌2013年3月号の掲載報告。 ベンゾジアゼピン系薬物(BZ)が実行機能の認知領域でパフォーマンスを変える作用について、α1とα5のサブユニットを含むGABA受容体(α1GABAとα5GABA受容体)の役割について評価した。まず、5匹のメスの成体アカゲザル(9~17歳)に、迂回作業を伴う対象想起(object retrieval with detours:ORD)作業の訓練を行った。ORD作業は、サルが透明の箱から食べ物を取り出すために、1回扉を開閉しなければならないというものだった(扉の開閉で箱が回転して食べ物が置かれる)。検討された薬物は、非選択的BZのトリアゾラム、α1GABA選択的アゴニストのゾルピデムとザレプロンであった。 主な結果は以下のとおり。 ・いずれの薬物投与においても、ORD作業の実行に障害が起きた。食べ物を手に入れようとする作業開始に遅延は生じなかったが、食べ物が獲得できなかった割合が増大した。 ・トリアゾラムとゾルピデムのORDへの影響は、α1GABA選択的拮抗薬βCCTによって阻害された。 ・トリアゾラムのORDへの影響は、α5GABA選択的拮抗薬XLi-093によっても阻害された。しかしゾルピデムのORDへの影響は同薬では阻害されなかった。 ・これらの知見は、α1GABAとα5GABA受容体メカニズムの役割を示唆する。すなわち、α1GABA受容体メカニズムが、BZ系薬物が引き起こす実行機能障害に関与している十分な可能性がある。 関連医療ニュース ・統合失調症に対するベンゾジアゼピン、最新レビュー知見 ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響 (ケアネット) 原著論文はこちら Makaron L et al. Pharmacol Biochem Behav. 2013 Mar;104:62-8. Epub 2013 Jan 2. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)