双極性障害の自殺予防に求められるのは・・・ 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/05/02 双極性障害患者では自殺行動の頻度は高い。英国・オックスフォード大学ウォーンフォード病院のKate EA Saunders氏らは、双極性障害患者の自殺予防の臨床的評価と危機介入戦略を見直すため、これまでの研究成果の注目すべき所見を明確にし、今後の研究で重点を置くべき分野を特定するために文献レビューを行った。その結果、双極性障害患者の自殺行動の要因は多岐にわたり、患者に積極的に働きかける危機介入プラン作成とマネジメントが求められることを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年4月9日号の掲載報告。 文献レビューは、PubMed、PsychINFOデータベースを介して、双極性障害患者の自殺行動のリスク因子およびマネジメントについて検討していた公表論文を検索して行われた。レビューは可能な限り、システマティックレビューを抽出した。 明確になった主な所見は以下のとおり。 ・自殺は通常、うつ状態の時期と関連しているが、混合状態の時期にも増大したリスクが続く。 ・すべての双極性障害患者は、自殺行動出現の際に取るべき行動を概説した最新の危機マネジメントプランを有するべきである。 ・タイムリーな臨床評価は、ハイリスク状態の特定を確実にするうえで基本となるものである。評価には精神状態検査、リスク因子の考察を含み、また自殺手段へのアクセス、徴候的な自殺前行動、保護因子などの問題も含むべきである。 ・薬物療法によるアプローチは、マネジメントの“頼みの綱”であり、急性症状における安全を確保するうえでも重要だが、自殺手段へのアクセス回避といった特異的な手段にはなりえない。 ・マネジメントにおける基本は、患者と家族の両者に対する臨床的サポートを強化すること、また他の医療機関とリスク情報を共有することである。 ・特異的な精神科治療は、危機の予防に有用な可能性はあるが、エビデンスは限られている。 ・以上のように、双極性障害の自殺行動の要因は多岐にわたり、積極的な危機介入プランとマネジメントが必要とされる。また、リスクにさらされている患者の評価において、問題の範囲を検討する必要がある。いずれにせよ双極性障害における自殺傾向を減じるための特異的な介入の有効性の評価は、優先すべき研究事項である。 関連医療ニュース ・双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関 ・難治性双極性障害患者への併用療法は? ・双極性障害、再入院を減らすには専門外来での治療が必要 (ケアネット) 原著論文はこちら Saunders KE et al. Bipolar Disord. 2013 Apr 9. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 双極性障害とADHDは密接に関連している 疫学(頻度)(2013/01/30) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)