耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

補聴器の使用が認知機能低下リスクの低減に関連

 難聴患者では、補聴器の使用が長期的な認知機能低下のリスク低減に関連することが、「JAMA Neurology」に12月5日報告された。  シンガポール国立大学(シンガポール)のBrian Sheng Yep Yeo氏らは、補聴器・人工内耳と認知機能低下や認知症との関連について、システマティックレビューとメタアナリシスを実施。対象は31件の研究(13万7,484人)で、このうち19件を定量分析の対象とした。  難聴と認知機能低下との長期的な関連を調べた8件の研究(対象者12万6,903人、追跡期間2~25年)のメタアナリシスにおいて、補聴器を使用している患者では未矯正の患者に比べて、認知機能低下のリスクが有意に低いことが判明(ハザード比0.81)。聴力回復と短期的な認知テストスコアの変化を調べた11件の研究(対象者568人)のメタアナリシスでは、補聴器使用後にスコアの改善が見られた(平均値比1.03)。

認知度の低い重症筋無力症の啓発にむけて/アルジェニクスジャパン

 6月は「重症筋無力症」の啓発月間とされている。この疾患の社会的認知度を高めるために、アルジェニクスジャパンは、6月7日にメディア向けセミナーを都内で開催した。  セミナーでは、専門医による疾患解説のほか、医療者、患者、患者会、タレントの渡辺 満里奈氏によるトークセッションや同社が疾患啓発に制作したマンガ動画などが紹介された。同社は、全身型重症筋無力症治療薬の抗FcRn抗体フラグメント製剤エフガルチギモド アルファ(商品名:ウィフガート)を製造販売している。 

末梢性めまいで“最も頻度の高い”良性発作性頭位めまい症、診療ガイドライン改訂

 『良性発作性頭位めまい症(BPPV)診療ガイドライン』の初版が2009年に発刊されて以来、15年ぶりとなる改訂が行わた。今回、本ガイドライン(GL)の作成委員長を務めた今井 貴夫氏(ベルランド総合病院)に専門医が押さえておくべきClinical Question(CQ)やGLでは触れられていない一般内科医が良性発作性頭位めまい症(benign paroxysmal positional vertigo、以下BPPV)を疑う際に役立つ方法などについて話を聞いた。  BPPVは末梢性めまいのなかで最も頻度が高い疾患である。治療法は確立しており予後は良好であるが、日常動作によって強いめまいが発現したり、症状が週単位で持続したりする点で患者を不安に追い込むことがある。また、BPPVはCa代謝の異常により耳石器の耳石膜から耳石がはがれやすくなって症状が出現することから、加齢(50代~)、骨粗鬆症のようなCa代謝異常が生じる疾患への罹患、高血圧、高脂血症、喫煙、肥満、脳卒中、片頭痛などの既往により好発するため、さまざまな診療科の医師による理解が必要になる。

コロナ感染2年後、18%に罹患後症状/BMJ

 感染前にワクチン未接種であった重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染者の約18%に、感染後2年まで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状が認められ、未感染者と比較して感染者には症状の過剰リスクがあることが、スイス・チューリッヒ大学のTala Ballouz氏らが実施した「Zurich SARS-CoV-2 Cohort研究」のデータ解析で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年5月31日号で報告された。

再発急性扁桃炎の咽頭痛への有効性、摘出術vs.保存的治療/Lancet

 成人の再発性急性扁桃炎に対する扁桃腺摘出術は、保存的治療と比較して臨床的に有効であり、費用対効果も優れることが、英国・ニューカッスル大学のJanet A. Wilson氏らが同国の国民保健サービス(NHS)国立健康研究所(NIHR)からの委託を受け、英国内27施設で実施した実用的多施設共同無作為化非盲検比較試験「NATTINA試験」の結果で示された。扁桃腺摘出術は、成人の急性扁桃炎患者に一般的に行われているが(英国では年間約1万6,000件)、エビデンスは十分でない。また、扁桃腺摘出術は減少しているが、半面で急性扁桃腺炎の合併症による成人の入院が増加している現状があった。Lancet誌オンライン版2023年5月17日号掲載の報告。

喘息診断で注目、タイプ2炎症バイオマーカーの手引き発刊/日本呼吸器学会

 タイプ2炎症は、主に2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)や2型自然リンパ球(ILC2)が産生するIL-4、IL-5、IL-13などの2型サイトカインが作用する炎症である。気道・肺疾患と密接な関係にあり、診断や治療に直結する。とくに、生物学的製剤の治療選択や効果予測に重要な役割を果たすことから、近年注目を集めている。そのような背景から、「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」が2023年4月3日に発刊された。第63回日本呼吸器学会学術講演会において、本書の編集委員長を務めた松永 和人氏(山口大学大学院医学系研究科呼吸器・感染症内科学講座 教授)が「タイプ2炎症バイオマーカーが切り拓く未来」と題し、主に「喘息の診断と管理効率の向上」「疾患修飾による喘息寛解の展望」について、解説した。

ワクチン接種者はコロナ後遺症リスクが4割以上低い可能性

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期以降にさまざまな症状が遷延する、「コロナ後遺症」と呼ばれる状態(post-COVID-19 condition;PCC)のリスクに関連する因子が報告された。女性や喫煙者、急性期に入院を要した人などはリスクが高く、反対にワクチン接種によってリスクが大幅に抑制されている可能性が示された。英イースト・アングリア大学のVassilios Vassiliou氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Internal Medicine」に3月23日掲載された。

花粉症患者はコロナによる嗅覚・味覚障害が悪化しやすい

 花粉症患者では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染時の嗅覚・味覚障害のリスクが高く、その回復も遅いことが、中国・西安交通大学のJingguo Chen氏らの調査によって明らかになった。Laryngoscope investigative otolaryngology誌2023年2月号掲載の報告。急な嗅覚障害や味覚障害の発現は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の予測因子と考えられている。しかし、慢性副鼻腔炎や喘息、季節性アレルギー、アレルギー性鼻炎などを有する患者では、SARS-CoV-2に感染する前にすでに併存疾患の影響によって嗅覚障害や味覚障害が生じている可能性があり、それらによる評価が効果的ではないことがある。

garadacimab、遺伝性血管性浮腫の発作数を低減/Lancet

 遺伝性血管性浮腫の予防において、活性化第XII因子(FXIIa)の完全ヒト型モノクローナル抗体garadacimabはプラセボと比較して、1ヵ月当たりの発作数を著明に減少させるとともに、出血や血栓塞栓イベントのリスクは増加しないことが、米国・ペンシルベニア州立大学のTimothy J. Craig氏らが実施した「VANGUARD試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年2月28日号で報告された。  VANGUARD試験は、日本を含む7ヵ国28施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2021年1月~2022年6月の期間に患者のスクリーニングが行われた(CSL Behringの助成を受けた)。

花粉症患者の5割が医療機関受診の経験なし/アイスタット

 2023年の春は「10年に1度」と言われるくらい花粉の飛散が予測され、連日、天気予報では大量飛散の注意を伝えている。花粉症関連の市販薬や花粉予防グッズの売り上げが伸びている中で、患者はどのように感じ、備えや治療を行っているのであろうか。株式会社アイスタットは2月8日に「花粉症」に関するアンケートを行った。  アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の首都圏在住の会員20~59歳の300人が対象。