リハビリテーション科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

身体活動の指標、時間ではなく歩数でもOK?

 米国における身体活動のガイドラインでは、健康のために中~高強度の身体活動を週150分以上行うことを推奨しているが、歩数に基づく推奨はエビデンスが十分ではないため発表されていない。今回、米国・Brigham and Women's Hospital/Harvard Medical Schoolの浜谷 陸太氏らによる米国の62歳以上の女性を対象としたコホート研究において、中~高強度身体活動時間および歩数と全死亡率および心血管疾患(CVD)の関連が質的に同様であることが示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン晩2024年5月20日号に掲載。

乳がん患者のQOLと死亡リスクの関係

 乳がん患者は生活の質(QOL)に悪影響を及ぼすさまざまな問題を抱えているが、乳がん患者のQOLと死亡リスクとの関連については議論の余地がある。静岡県立静岡がんセンターの鈴木 克喜氏らは、QOLが乳がん患者の予後に与える影響についてシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、結果をBreast Cancer誌オンライン版2024年4月9日号で報告した。  本研究では、CINAHL、Scopus、PubMedのデータベースを用いて、2022年12月より前に発表された乳がん患者のQOLと死亡リスクを評価した観察研究が検索された。  主な結果は以下のとおり。 ・11万9,061件の論文が検索され、6件の観察研究がメタ解析に含まれた。 ・身体機能QOL(ハザード比[HR]:1.04、95%信頼区間[CI]:1.01~1.07、p=0.003)、情緒機能QOL(HR:1.01、95%CI:1.00~1.03、p=0.05)、および役割機能QOL(HR:1.01、95%CI:1.00~1.01、p=0.007)は、死亡リスクとの有意な関連が示された。 ・一方で、全般的QOL、認知機能QOL、および社会機能QOLは、死亡リスクとの関連が示されなかった。 ・治療時点に従い行われたサブグループ解析によると、治療後の身体機能QOLが死亡リスクと関連していた。

推奨レベル以下の身体活動でも脳卒中リスクは低下する

 少し体を動かすだけでも、カウチポテト族のように怠惰に過ごすよりは脳卒中の予防に役立つようだ。身体活動レベルがガイドラインで推奨されているレベルに達していなくても、運動をしない人に比べると脳卒中リスクは18%低下することが、新たな研究で示された。ラクイラ大学(イタリア)バイオテクノロジー・応用臨床科学分野のRaffaele Ornello氏らによるこの研究の詳細は、BMJ社発行の「Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry」に3月5日掲載された。

植物ベースの食事、内容で骨折リスクは変わるか?

 これまでの研究で、植物性食品を多く摂取し、動物性食品を少なく、あるいはまったく摂取しないヴィーガン食は、骨密度の低下や骨折リスクの上昇に関連する可能性が示唆されている。しかし、植物性食品の質については区別されていなかった。スペイン・マドリード自治大学のMercedes Sotos-Prieto氏らは、閉経後の女性において、植物性食品の質と股関節骨折リスクとの関連を検討した。JAMA Network Open誌2024年2月29日号掲載の報告。  研究者らは、1984~2014年に米国のNurses' Health Studyに参加した7万285例の閉経後女性を対象に、植物性食品(菜食主義とは限らず雑食主義も含む)の質と股関節骨折リスクとの関連を検討した。データは2023年1月1日~7月31日に解析された。

迷走神経刺激療法とリハビリの併用が脳卒中後の上肢の機能回復に有効

 脳卒中の後遺症で腕が不自由になることの影響は計り知れないほど大きいが、脳卒中を経験した人に希望をもたらす臨床試験の結果が明らかになった。迷走神経刺激療法(VNS)と集中的なリハビリテーション(リハビリ)を組み合わせることで、障害が残った腕や手をコントロールする機能の回復を促せる可能性のあることが示された。この試験は米MGHインスティテュート・オブ・ヘルス・プロフェッションズのTeresa Kimberley氏らが実施したもので、国際脳卒中学会(ISC 2024、2月7~9日、米フェニックス)で報告された。

転倒リスクが低減する運動は週何分?

 高齢女性7,000人超を対象としたコホート研究によって、150分/週以上の余暇の運動を行っている場合、けがを伴う転倒とけがを伴わない転倒の両方のリスクが有意に低減したことを、オーストラリア・シドニー大学のWing S. Kwok氏らが明らかにした。JAMA Network Open誌2024年1月31日号掲載の報告。  世界保健機関(WHO)は、心身の健康のために150~300分/週の中強度の運動を行うことを推奨している。しかし、これまでのシステマティックレビューおよびメタ解析では、運動量と転倒または転倒に伴うけがとの関連に一貫性がない。そこで研究グループは、高齢女性における余暇の運動量・種類と、けがを伴わない転倒およびけがを伴う転倒との間に関連性があるかどうかを調べるため、一般集団ベースのコホート研究を行った。

衝撃を加えた運動が高齢者の骨密度低下を抑制

 運動や日常生活の中で骨にわずかな衝撃を与えるだけで、加齢に伴う骨密度(BMD)の低下を抑制できる可能性のあることが、ユヴァスキュラ大学(フィンランド)のTuuli Suominen氏らによる研究で示唆された。大腿骨頸部と呼ばれる股関節の重要部位に焦点を当てて運動による介入の効果を検討したこの研究の詳細は、「Bone」1月号に掲載された。  加齢に伴い運動量は減り、それとともに骨密度や骨の健全性(integrity)は低下する。加齢に伴う骨の強度の低下はある程度は避けられない現象だが、高齢になっても運動を行うことで骨の強度を維持し、その低下速度を遅らせることができる可能性はある。それを確かめるため、Suominen氏らは、座位行動の多い70歳以上の男女299人(平均年齢74±4歳、女性58%)を対象に1年間にわたる運動介入の効果を検討した研究(PASSWORD試験)のデータを用いて、運動と骨の強度との関連を検討した。

フレイル、「やせが多い」「タンパク質摂取が重要」は誤解?

 人生100年時代といわれ、90歳を迎える人の割合は女性では約50%ともされている。そのなかで、老衰が死因の第3位となっており、老衰の予防が重要となっている。また、要介護状態への移行の原因の約80%はフレイルであり、フレイルの予防が注目されている。  そこで、2024年1月26日(腸内フローラの日)に、青森県りんご対策協議会が「いま注目の“健康・長寿”における食と腸内細菌の役割 腸内細菌叢におけるりんごの生体調節機能に関する研究報告」と題したイベントを開催した。そのなかで、内藤 裕二氏(京都府立医科大学大学院 医学研究科 教授)が「京丹後長寿研究から見えてきたフレイルの現状~食と腸内細菌の役割~」をテーマに、日本有数の長寿地域とされる京丹後市で実施している京丹後長寿コホート研究から得られた最新知見を紹介した。

肩関節脱臼のリハビリテーション、理学療法は有効か?/BMJ

 外傷性肩関節前方脱臼の急性期リハビリテーションにおいて、自己管理を支援する助言のみを受けた患者と比較して、助言に加えて個々の患者の病態に合わせて調整した理学療法を行っても、6ヵ月後の肩関節機能は改善せず、合併症プロファイルは両群で同程度であることが、英国・ブリストル大学のRebecca S. Kearney氏らが実施した「ARTISAN試験」で示された。研究の詳細は、BMJ誌2024年1月17日号で報告された。  ARTISAN試験は、英国の国民保健サービス(NHS)トラストが運営する41施設で実施した実践的な無作為化対照比較試験であり、2018年11月~2022年3月に参加者を募集した(英国国立衛生研究所[NIHR]の助成を受けた)。

過去1年に転倒、骨折リスクがより高いのは男性?女性?

 転倒するとその後の骨折リスクが上昇することはよく知られている。今回、オーストラリア・Australian Catholic UniversityのLiesbeth Vandenput氏らが、日本のコホートを含む46の前向きコホートにおけるデータの国際的なメタ解析で、転倒歴とその後の骨折リスクとの関連、性別、年齢、追跡期間、骨密度との関連について評価した。その結果、男女とも骨密度にかかわらず、過去1年間の転倒歴が骨折リスクを上昇させ、また女性より男性のほうがリスクが高まることが示唆された。Osteoporosis International誌オンライン版2024年1月17日号に掲載。