泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

HRR欠損去勢抵抗性前立腺がん、タラゾパリブ+エンザルタミドがOS改善(TALAPRO-2)/Lancet

 相同組換え修復(HRR)遺伝子の欠損を有する転移のある去勢抵抗性前立腺がん患者(mCRPC)において、タラゾパリブ+エンザルタミドの併用療法はエンザルタミド単独療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善し、HRR欠損mCRPCに対する標準治療としてこの併用療法が支持されることを、フランス・University of Paris-SaclayのKarim Fizazi氏らが、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TALAPRO-2試験」のHRR欠損コホートの最終解析結果で報告した。mCRPCは依然として治癒困難であり、とくにHRRに直接的または間接的に関与するDNA損傷修復遺伝子異常を有する患者では進行が速い。

経尿道的高周波治療が間質性膀胱炎患者の骨盤痛を緩和

 経尿道的高周波治療(transurethral fulguration;TUF)が間質性膀胱炎(IC)患者の骨盤痛緩和に有効であるという研究結果が、「Neurourology and Urodynamics」に4月3日掲載された。  ソウル大学校医科大学(韓国)のHyun Ju Jeong氏らは、2005年10月~2019年12月までのIC管理の結果を分析するため、骨盤痛を主訴として外来受診したIC患者の電子カルテを後ろ向きに解析した。疼痛管理のため、膀胱潰瘍に対するTUFを用いた膀胱鏡手術が行われ、難治性の骨盤痛に対しては膀胱全摘除術が行われていた。

去勢抵抗性前立腺がん、タラゾパリブ+エンザルタミドがOS改善(TALAPRO-2)/Lancet

 転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、タラゾパリブ+エンザルタミドの併用療法はエンザルタミド単独療法と比較して、全生存期間(OS)を有意に改善し、この併用療法が標準的な1次治療の選択肢として支持されることが示された。米国・ユタ大学のNeeraj Agarwal氏らが第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TALAPRO-2試験」の最終解析結果を報告した。本試験の主要解析では、相同組換え修復(HRR)遺伝子変異の有無を問わないmCRPC患者において、タラゾパリブ+エンザルタミド併用療法が、画像上の無増悪生存期間(rPFS)を有意に改善したことが示されていた。OSは、同解析時点ではデータが未成熟であった。本稿では、事前に規定されたOSの最終解析結果、rPFSの最新の記述的分析結果およびHRR遺伝子変異未選択コホートにおける安全性が報告された。Lancet誌オンライン版2025年7月16日号掲載の報告。

前立腺全摘除術後3カ月以上のPSAモニタリングで過剰治療リスクが低減

 前立腺がんに対する根治的前立腺全摘除術(RP)後は前立腺特異抗原(PSA)値を3カ月以上にわたり測定することで、RP後の過剰治療リスクを最小限に抑えられる可能性があるという研究結果が「JAMA Oncology」に3月13日掲載された。  ハンブルク・エッペンドルフ大学病院(ドイツ)のDerya Tilki氏らは、RP後の持続的なPSA値を正確に記録するために必要なモニタリング期間について、コホート研究で調査を行った。この研究には、1992年から2020年の間に2カ所の大学病院でRPを受けたT1N0M0からT3N0M0の前立腺がん患者を対象とした。探索コホートには3万461人の患者が、検証コホートには1万2837人の患者が含まれた。

尿路感染症への抗菌薬、フロモキセフvs.セフメタゾール/徳島大ほか

 薬剤耐性菌による尿路感染症は世界的に増加しており、とくに基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌は多くの抗菌薬に耐性を示す。ESBL産生菌による感染症には、カルバペネム系抗菌薬が推奨されるが、耐性菌の増加などの懸念から、カルバペネム系抗菌薬以外の治療選択肢が求められている。フロモキセフとセフメタゾールは、ESBL産生菌への有効性が期待される抗菌薬であるが、両剤の比較データは乏しい。そこで、新村 貴博氏(徳島大学大学院医歯薬学研究部)らの研究グループは、厚生労働省院内感染対策サーベイランス(JANIS)のデータと日本全国の診療データベースを用いて、両剤の比較を行った。その結果、フロモキセフはセフメタゾールと同等の有効性を示し、入院期間の短縮や一部の有害事象のリスク低下をもたらす可能性が示された。本研究結果は、BMC Medicine誌2025年7月1日号に掲載された。

切迫性尿失禁の治療、マインドフルネスと脳刺激が有効か

 玄関のドアを見たときや水の流れる音を聞いたときなどに、突然尿意に襲われ、尿漏れしたことはないだろうか。米ピッツバーグ大学コンチネンス研究センターのBecky Clarkson氏らによる新たな研究で、このような切迫性尿失禁に対しては、マインドフルネスのトレーニングと電流を流して脳を刺激する治療が尿漏れの回数を減らすのに有効であることが明らかになった。この研究の詳細は、「Continence」6月号に掲載された。  論文の上席著者であるClarkson氏は「尿失禁は深刻な問題だ。トラウマにもなり得る。尿漏れへの不安から、外出して人と会ったり運動をしたりすることを避けるようになる人も多い。特に高齢者では、社会的孤立や抑うつ、機能低下につながることもある」と同大学のニュースリリースの中で述べている。

先行的腎移植にベネフィットはあるのか

 将来、腎移植が必要になる可能性がある人は、どの時点で移植を受けるべきなのだろうか。その答えの手がかりとなり得る研究結果が発表された。この研究では、腎機能がある程度保たれている段階で腎移植(先行的腎移植)を受けても、透析が必要となるほど悪化してから移植を受けた場合と比べて死亡リスクに有意な差は認められないことが示された。米イェール大学医学部生体腎臓ドナープログラムの医療ディレクターを務めるAbhishek Kumar氏らによるこの研究結果は、「Transplantation Proceedings」5月号に掲載された。

遺伝性・散発性の乳頭状腎細胞がん、ベバシズマブ+エルロチニブが有望/NEJM

 遺伝性平滑筋腫症腎細胞がん症候群(HLRCC)随伴性または散発性の乳頭状腎細胞がん患者において、ベバシズマブとエルロチニブの併用投与により抗腫瘍活性が得られ、毒性は併用レジメンで既知のものであったことを、米国国立がん研究所のRamaprasad Srinivasan氏らが、単施設で実施した第II相非盲検試験の結果で明らかにした。HLRCCは、フマル酸ヒドラターゼをコードする遺伝子の生殖細胞系列変異によって特徴付けられる遺伝性疾患で、乳頭状腎細胞がんのリスクが高い。進行HLRCC随伴性乳頭状腎細胞がん患者の多くは疾患進行により死に至るため、有効な治療法の確立が望まれていた。NEJM誌2025年6月19日号掲載の報告。

デスモプレシン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省

 厚生労働省は2025年6月24日、男性の夜間頻尿や中枢性尿崩症治療薬として使用される脳下垂体ホルモン薬のデスモプレシン酢酸塩水和物(以下、デスモプレシン)と甲状腺・副甲状腺ホルモン薬のチアマゾールに対して、添付文書の改訂指示を発出した。副作用の項に重大な副作用を新設し、デスモプレシンの経口剤と点鼻剤の両剤形においてアナフィラキシーの追記が、チアマゾールには急性膵炎の追記がなされた。なお、デスモプレシンの点鼻剤には、合併症・既往歴等のある患者の項にもアナフィラキシーの発現について追記がなされた。  対象製品は以下のとおり。

がん診断後の運動習慣が生存率と関連

 がんと診断された後の運動習慣が、生存率と関連しているとする研究結果が報告された。年齢やがんのステージなどの影響を考慮しても、運動量が多いほど生存率が高いという。米国がん協会(ACS)のErika Rees-Punia氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the National Cancer Institute」に5月21日掲載された。  運動が健康に良いことは古くから知られている。しかしがん診断後には、がん自体や治療の影響で体力が低下しやすく、運動が困難になることも少なくない。たとえそうであっても習慣的な運動が予後にとって重要なようだ。Rees-Punia氏は、「われわれの研究結果は、がん診断後に活動的に過ごすことが生存の確率を有意に高める可能性を示唆する、重要なエビデンスだ」と述べている。