1.
エンシトレルビルとモルヌピラビル、妊婦禁忌の注意を強化/PMDA
2024/12/19 医療一般
エンシトレルビルとモルヌピラビル、妊婦禁忌の注意を強化/PMDA
https://www.carenet.com/news/general/carenet/59847
一般名 | ドルテグラビルナトリウム・アバカビル硫酸塩・ラミブジン錠 |
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YJコード | 6250106F1021 |
剤型・規格 | 錠剤・1錠 |
薬価 | 6865.60円 |
製薬会社 | |
添付文書 |
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エンシトレルビルとモルヌピラビル、妊婦禁忌の注意を強化/PMDA
2024/12/19 医療一般
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2.
第238回 妊娠はウイルス様配列を目覚めさせて胎児発育に必要な造血を促す
2024/10/29 バイオの火曜日
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https://www.carenet.com/hihyotue/238.html
3.
インフルエンザウイルス曝露後抗ウイルス薬の有効性(解説:寺田教彦氏)
2024/10/25 CLEAR!ジャーナル四天王
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https://www.carenet.com/news/clear/journal/59492
4.
重症インフルエンザに対する抗ウイルス薬の有効性(解説:小金丸博氏)
2024/09/27 CLEAR!ジャーナル四天王
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https://www.carenet.com/news/clear/journal/59335
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わが国初のダニ媒介性脳炎予防ワクチン「タイコバック水性懸濁筋注」【最新!DI情報】第23回
2024/09/17 最新!DI情報
わが国初のダニ媒介性脳炎予防ワクチン「タイコバック水性懸濁筋注」【最新!DI情報】第23回
https://www.carenet.com/pharmacist/di/cg004391_023.html
HIV感染症。(効能又は効果に関連する注意)5.1.本剤の使用にあたっては、患者のCD4リンパ球数及び血漿中HIVRNA量を確認すること。5.2.次のいずれかのヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症患者に使用すること。5.2.1.抗HIV薬による治療経験のない患者に使用すること。5.2.2.インテグラーゼ阻害剤(INSTI)以外の抗HIV薬による治療でウイルス学的抑制が得られていない患者に使用すること。5.2.3.ウイルス学的抑制が得られている次のいずれかの患者・ドルテグラビル、アバカビル、ラミブジンの組み合わせにより治療中のウイルス学的抑制が得られている患者に使用すること。・ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、本剤の有効成分に対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること。5.3.INSTIに耐性を有する患者に対して、本剤の使用は推奨されない(ドルテグラビル、アバカビル、ラミブジンの3成分で治療された経験はない)。5.4.本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること(ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)による治療経験がある場合には、NRTIに対する耐性変異を有している可能性がある)。5.5.本剤はドルテグラビル、アバカビル及びラミブジンの固定用量を含有する配合剤であるので、次のアバカビル又はラミブジンの用量調節が必要な患者には個別のドルテグラビル製剤(テビケイ錠)、アバカビル製剤(ザイアジェン錠)又はラミブジン製剤(エピビル錠)を用いること[1)腎機能障害<クレアチニンクリアランス<Ccr>が30mL/min未満>を有する患者〔9.2.1、9.2.2、16.6.1参照〕、2)軽度肝障害又は中等度肝障害患者〔9.3.2、16.6.2参照〕]。
通常、成人には1回1錠(ドルテグラビルとして50mg、アバカビルとして600mg及びラミブジンとして300mgを含有)を食事の有無にかかわらず1日1回経口投与する。(用法及び用量に関連する注意)7.1.本剤は、HIV感染症に対して1剤で治療を行うものであるため、他の抗HIV薬<ドルテグラビルを追加投与する必要がある場合を除く>と併用しないこと(ただし、ドルテグラビルを追加投与する必要がある場合を除く)〔7.2、10.2参照〕。7.2.本剤とカルバマゼピン、リファンピシン、フェニトイン、ホスフェニトイン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品を併用する場合は、ドルテグラビルとして50mgを本剤投与の約12時間後に投与する〔7.1、10.2、16.7.2参照〕。
(警告)1.1.過敏症1.1.1.海外の臨床試験において、アバカビル投与患者の約5%に過敏症の発現を認めており、まれに致死的となることが示されているので、アバカビルによる過敏症は、通常、アバカビル含有製剤による治療開始6週以内(中央値11日)に発現するが、その後も継続して観察を十分に行うこと〔1.1.2-1.1.5、2.1、8.2、8.3、11.1.1、15.1.1参照〕。1.1.2.アバカビルによる過敏症では皮疹、発熱、胃腸症状(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛等)、疲労感、倦怠感、呼吸器症状(呼吸困難、咽頭痛、咳等)等の症状が多臓器及び全身に発現するので、このような症状が発現した場合は、直ちに担当医に報告させ、アバカビルによる過敏症が疑われたときは本剤の投与を直ちに中止すること〔1.1.1、1.1.3-1.1.5、2.1、8.2、8.3、11.1.1、15.1.1参照〕。1.1.3.アバカビルによる過敏症が発現した場合には、決してアバカビル含有製剤を再投与しないこと(本製剤のアバカビルによる過敏症発現後の再投与により数時間以内にさらに重篤な症状が発現し、重篤な血圧低下が発現する可能性及び生命を脅かす可能性がある)〔1.1.1、1.1.2、1.1.4、1.1.5、2.1、8.2、8.3、11.1.1、15.1.1参照〕。1.1.4.呼吸器疾患(肺炎、気管支炎、咽頭炎)、インフルエンザ様症候群、胃腸炎、又は併用薬による副作用と考えられる症状が発現した場合あるいは胸部X線像異常(主に浸潤影を呈し、限局する場合もある)が認められた場合でも、アバカビルによる過敏症の可能性を考慮し、過敏症が否定できない場合は本剤の投与を直ちに中止し、決して再投与しないこと〔1.1.1-1.1.3、1.1.5、2.1、8.2、8.3、11.1.1、15.1.1参照〕。1.1.5.患者に過敏症について必ず説明し、過敏症を注意するカードを常に携帯するよう指示すること。また、過敏症を発現した患者には、アバカビル含有製剤を二度と服用しないよう十分指導すること〔1.1.1-1.1.4、2.1、8.2、8.3、11.1.1、15.1.1参照〕。1.2.B型慢性肝炎を合併している患者では、ラミブジンの投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、ラミブジンの投与中止により、重症化するおそれがあるので注意すること〔9.1.3参照〕。(禁忌)2.1.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔1.1.1-1.1.5、8.2、8.3、11.1.1、15.1.1参照〕。2.2.重度肝障害患者〔9.3.1、16.6.2参照〕。(重要な基本的注意)8.1.本剤による治療は、抗HIV療法に十分な経験を持つ医師のもとで開始すること。8.2.本剤の再投与を考慮する際は、次のことに注意すること〔1.1.1-1.1.5、2.1、8.3、11.1.1、15.1.1参照〕。・アバカビルによる過敏症に関連する症状は、アバカビルによる過敏症後の再投与により初回より重篤な再発が認められ、重篤な血圧低下をきたし死に至る可能性があるので、アバカビルによる過敏症が疑われた患者には、決して再投与しないこと。・アバカビル含有製剤を中止した理由を再度検討し、アバカビルと過敏症との関連性が否定できない場合は再投与しないこと。・投与中止前に過敏症の主な症状(皮疹、発熱、胃腸症状等)の1つのみが発現していた患者には、本剤の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ、必要に応じて入院のもとで投与を行うこと。・過敏症の症状又は徴候が認められていなかった患者に対しても、直ちに医療施設に連絡できることを確認した上で投与を行うこと。8.3.本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又は患者に代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。・本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。・本剤は併用薬と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合には、事前に担当医に報告すること。・担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。・アバカビルの投与後過敏症が発現し、まれに致死的となることが報告されているので、過敏症を注意するカードに記載されている徴候又は症状である発熱、皮疹、疲労感、倦怠感、胃腸症状(嘔気、嘔吐、下痢、腹痛等)及び呼吸器症状(呼吸困難、咽頭痛、咳等)等が発現した場合は、直ちに担当医に報告し、本剤の服用を中止すべきか否か指示を受けること。また、過敏症を注意するカードは常に携帯すること〔1.1.1-1.1.5、2.1、8.2、11.1.1、15.1.1参照〕。・アバカビル含有製剤の再投与により重症又は致死的な過敏症が数時間以内に発現する可能性があり、したがって、本剤の服用を中断した後に再びアバカビル含有製剤を服用する際には、必ず担当医に相談する(担当医又は医療施設を変わる場合には本剤の服用歴がある旨を新しい担当医に伝える)〔1.1.1-1.1.5、2.1、8.2、11.1.1、15.1.1参照〕。・本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。8.4.本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。8.5.膵炎が発症する可能性があるので、血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等の生化学的検査を定期的に行うこと〔9.1.1、11.1.5参照〕。8.6.肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行う等、観察を十分に行うこと〔9.1.2、11.1.10参照〕。8.7.重篤な血液障害、乳酸アシドーシス、脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)、横紋筋融解症、ニューロパチー、錯乱状態、痙攣、心不全があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと〔9.2.2、11.1.4、11.1.6-11.1.9参照〕。(特定の背景を有する患者に関する注意)(合併症・既往歴等のある患者)9.1.1.膵炎を発症する可能性のある患者(膵炎の既往歴のある患者、膵炎を発症させることが知られている薬剤との併用療法を受けている患者):膵炎を再発又は発症する可能性があるので、本剤の適用を考える場合には、他に十分な効果の認められる治療法がない場合にのみ十分注意して行うこと〔8.5、11.1.5参照〕。9.1.2.B型又はC型肝炎ウイルス感染患者:肝機能の悪化(トランスアミナーゼ上昇又は増悪)のおそれがある(臨床試験において、B型肝炎ウイルス重複感染又はC型肝炎ウイルス重複感染患者では、ドルテグラビルの投与によりトランスアミナーゼ上昇又は増悪の発現頻度が非重複感染患者より高かった)〔8.6、11.1.10参照〕。9.1.3.B型肝炎ウイルス感染を合併している患者:本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがある〔1.2参照〕。(腎機能障害患者)9.2.1.腎機能障害<Ccrが30mL/min未満>を有する患者:ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある〔5.5、16.6.1参照〕。9.2.2.腎機能障害<Ccrが30~49mL/min>を有する患者:より頻回に血液検査等を行うなど、慎重に患者の状態を観察し、ラミブジンに関連する副作用の発現が疑われる場合は、個別のドルテグラビル製剤、アバカビル製剤又はラミブジン製剤を用いてラミブジンの用量調節を考慮すること(ラミブジンの高い血中濃度が持続するおそれがある)〔5.5、8.7、16.6.1参照〕。(肝機能障害患者)9.3.1.重度肝障害患者:投与しないこと(アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある)〔2.2参照〕。9.3.2.軽度肝障害又は中等度肝障害患者:アバカビルの血中濃度が上昇することにより、副作用が発現するおそれがある〔5.5、16.6.2参照〕。(妊婦)妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。海外の観察研究において、無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害が、受胎前からドルテグラビル含有製剤を服用していた妊婦から生まれた児3591例中7例(0.19%、95%信頼区間0.09-0.40)に報告されており、ドルテグラビルを含まない抗HIV薬を服用していた妊婦から生まれた児19361例中21例(0.11%、95%信頼区間0.07-0.17)、HIV陰性の妊婦から生まれた児119630例中87例(0.07%、95%信頼区間0.06-0.09)に報告されている。ドルテグラビル、アバカビル及びラミブジンに関して次のことが報告されている。9.5.1.ドルテグラビル:ドルテグラビルはヒト胎盤を通過する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する胎児臍帯血漿中濃度の比(中央値[範囲])は、1.28[1.21-1.28]であることが報告されている(外国人データ)。9.5.2.アバカビル:動物において、アバカビル又はその代謝物は胎盤を通過することが示されており、また、動物(ラットのみ)において、アバカビルの500mg/kg/日又はそれ以上の投与量(臨床用量におけるヒト全身曝露量(AUC)の約28倍)で、胚に対する毒性又は胎仔に対する毒性(胎仔浮腫、胎仔変異及び胎仔奇形、吸収胚、胎仔体重減少、胎仔死産増加)が認められたとの報告がある。9.5.3.ラミブジン:ラミブジンはヒト胎盤を通過し、出生児の血清中ラミブジン濃度は、分娩時の母親の血清中及び臍帯血中濃度と同じであることが報告されている(外国人データ)、動物実験(ウサギ)で胎仔毒性(早期胚死亡数増加)が報告されている。9.5.4.アバカビル/ラミブジン共通:NRTIを子宮内曝露又は周産期曝露された新生児及び乳児において、ミトコンドリア障害によると考えられる軽微で一過性血清乳酸値上昇が報告されており、非常にまれに発育遅延、てんかん様発作、他の神経疾患も報告されている。しかしながら、これら事象とNRTIの子宮内曝露、周産期曝露との関連性は確立していない。(授乳婦)授乳を避けさせること(一般に、HIVの乳児への移行を避けるため、あらゆる状況下においてHIVに感染した女性は授乳すべきでない)。9.6.1.ドルテグラビル:ドルテグラビルはヒト乳汁中に移行する。ドルテグラビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比(中央値[範囲])は、0.033[0.021-0.050]であることが報告されている(外国人データ)。9.6.2.アバカビル:アバカビルの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.9であることが報告されている(外国人データ)。9.6.3.ラミブジン:経口投与されたラミブジンはヒト乳汁中に排泄されることが報告されている(乳汁中濃度:<0.5-8.2μg/mL)(外国人データ)。ラミブジンの母体血漿中濃度に対する乳汁中濃度の比は0.6~3.3であることが報告されている(外国人データ)。乳児の血清中のラミブジン濃度は18~28ng/mLであったとの報告がある(外国人データ)。(小児等)小児等を対象とした臨床試験は実施していない。(高齢者)患者の状態を観察しながら注意して投与すること(一般に生理機能(肝機能、腎機能、心機能等)が低下しており、合併症を有している又は他の薬剤を併用している場合が多い)。(相互作用)ドルテグラビルは主にUGT1A1の基質であり、一部CYP3A4でも代謝される。また、ドルテグラビルは有機カチオントランスポーター2(OCT2)及びMultidrugandToxinExtrusion1(MATE1)を阻害する〔16.4.1、16.7.1参照〕。10.2.併用注意:1).ピルシカイニド塩酸塩水和物[ピルシカイニドの血漿中濃度を上昇させる可能性があり、併用により、ピルシカイニドで重大な副作用として報告されている心室頻拍・洞停止及び心室細動等の発現及び重篤化があらわれるおそれがあるので、併用中は注意深く観察すること(ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、ピルシカイニドの排出が阻害される可能性がある)]。2).カルバマゼピン〔7.2、16.7.2参照〕[ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで33%・Cτで73%低下させたとの報告がある(カルバマゼピンがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される)]。3).フェニトイン、ホスフェニトイン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’sWort)〔7.1、7.2参照〕[ドルテグラビルの血漿中濃度を低下させる可能性がある(これらの薬剤並びにセイヨウオトギリソウがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される)]。4).リファンピシン〔7.2、16.7.2参照〕[ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで43%・Cτで72%低下させたとの報告がある(リファンピシンがCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される)]。5).多価カチオン含有製剤<経口>(Mg含有製剤<経口>、Al含有製剤<経口>等)〔16.7.2参照〕[ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで72%・C24で74%低下させるので、本剤は多価カチオン含有製剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨される(これらの多価カチオンと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される)]。6).鉄剤<経口>、カルシウム含有製剤<経口>(鉄サプリメント<経口>、カルシウム含有サプリメント<経口>等)〔16.7.2参照〕[ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで35%・C24で32%低下させるので、食事と同時に摂取する場合を除き、本剤は鉄剤、カルシウム含有製剤の投与2時間前又は6時間後の投与が推奨される(鉄、カルシウムと錯体を形成することにより、ドルテグラビルの吸収が阻害される)]。7).メトホルミン塩酸塩:①.メトホルミン塩酸塩〔16.7.2参照〕[ドルテグラビル50mg1日1回投与時にメトホルミンの血漿中濃度をCmaxで66%上昇させるので、注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること(ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある)]。②.メトホルミン塩酸塩〔16.7.2参照〕[ドルテグラビル50mg1日2回投与時にメトホルミンの血漿中濃度をCmaxで111%上昇させるので、注意深く観察し、必要に応じてメトホルミンを減量する等慎重に投与すること(ドルテグラビルのOCT2及びMATE1の阻害作用により、メトホルミンの排出が阻害される可能性がある)]。8).アルコール(飲酒)〔16.4.2、16.7.1、16.7.2参照〕[アバカビルの代謝はエタノールによる影響を受ける;アバカビルのAUCが約41%増加したが、エタノールの代謝は影響を受けなかったとの報告がある(アバカビルがアルコールデヒドロゲナーゼの代謝基質として競合すると考えられている)]。9).メサドン塩酸塩〔16.7.2参照〕[メサドンのクリアランスが22%増加したことから、併用する際にはメサドンの増量が必要となる場合があると考えられ、なお、アバカビルの血中動態は臨床的意義のある影響を受けなかった(Cmaxが35%減少しtmaxが1時間延長したが、AUCは変化しなかったとの報告がある)(機序不明)]。10).スルファメトキサゾール・トリメトプリム〔16.7.2参照〕[ラミブジンのAUCが43%増加し、ラミブジンの全身クリアランスが30%・腎クリアランスが35%減少したとの報告がある(腎臓における排泄がラミブジンとトリメトプリムで競合すると考えられている)]。11).ソルビトール[経口ソルビトール溶液(ソルビトールとして3.2g、10.2g、13.4g)とラミブジンの併用により、ラミブジンのAUCが減少<それぞれ18%・36%・42%減少>したとの報告がある(ソルビトールによりラミブジンの吸収が抑制されると考えられている)]。12).リオシグアト〔16.7.2参照〕[本剤とリオシグアトの併用により、リオシグアトのAUCが増加するおそれがあるので、本剤との併用が必要な場合は、患者の状態に注意し、必要に応じてリオシグアトの減量を考慮すること(アバカビルのCYP1A1阻害作用によりリオシグアトの代謝が阻害される)]。(過量投与)13.1.処置過量投与時、ドルテグラビルは血液透析により除去される可能性は低いことが報告されている(ラミブジンは血液透析により一部除去される(ラミブジン300mg投与時に、投与約2時間後から4時間血液透析したとき、AUC0-infが約24%低下することが報告されている))。(その他の注意)15.1.臨床使用に基づく情報15.1.1.海外で実施されたプロスペクティブ試験(1956例)において、アバカビルの投与開始前にHLA-B*5701のスクリーニングを実施しない群と、スクリーニングを実施しHLA-B*5701保有者を除外した群における臨床症状から疑われる過敏症の発現頻度が、それぞれ7.8%(66/847)、3.4%(27/803)、皮膚パッチテストにより確認された過敏症の発現頻度が、それぞれ2.7%(23/842)、0.0%(0/802)であり、HLA-B*5701のスクリーニングの実施により過敏症の発現頻度が統計学的に有意に低下する(p<0.0001)ことが示され、また、本試験結果ではHLA-B*5701をスクリーニングしない群において臨床症状から過敏症が疑われた66例中30例、皮膚パッチテストにて確認された過敏症症例23例全例がHLA-B*5701を保有していた。日本人における過敏症とHLA-B*5701保有の関連性については不明であり、HLA-B*5701の保有率は白人では5~8%、日本人では0.1%との報告がある〔1.1.1-1.1.5、2.1、8.2、8.3、11.1.1参照〕。15.1.2.抗HIV薬の多剤併用療法を受けている患者を対象に心筋梗塞の発現頻度を調査したプロスペクティブ観察疫学研究において、アバカビルの使用開始から6ヵ月以内の患者で心筋梗塞のリスクが増加するとの報告があるが、臨床試験の統合解析を実施した結果、対照群と比較してアバカビル投与群の過度な心筋梗塞のリスクは認められなかった。アバカビルと心筋梗塞の関連については、現在のところ結論は出ていない。予防措置として、アバカビルを含む抗HIV療法を開始する場合には、冠動脈性心疾患の潜在的リスクを考慮し、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙等の改善可能なすべてのリスク因子を最小化させるための措置をとること。15.2.非臨床試験に基づく情報15.2.1.ラミブジン:遺伝毒性試験において弱い染色体異常誘発作用を示したとの報告があり、また、長期のがん原性試験において発がん性を認めなかったとの報告がある(ヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験では300μg/mL以上で染色体異常試験陽性、マウスリンパ腫細胞を用いた遺伝子突然変異試験では2000μg/mL以上で遺伝子突然変異試験陽性を示した。マウス及びラットを用いた長期のがん原性試験では、臨床用量におけるヒト全身曝露量(AUC)の10倍(マウス)及び58倍(ラット)までの曝露量において、発がん性は認められなかった)。15.2.2.アバカビル(1).アバカビル:細菌を用いた試験では変異原性を認めなかったが、ヒトリンパ球を用いたinvitro染色体異常試験陽性、マウスリンフォーマ試験陽性及びinvivo小核試験陽性を認め、これらの結果は、invivo及びinvitroにおいて、本剤の高濃度を用いた場合に弱い染色体異常誘発作用を有することを示している。(2).アバカビル:マウス及びラットにおける長期がん原性試験において、包皮腺悪性腫瘍、陰核腺悪性腫瘍、肝臓悪性腫瘍、膀胱悪性腫瘍、リンパ節悪性腫瘍、皮下組織悪性腫瘍等の悪性腫瘍がみられたとの報告がある(臨床用量におけるヒト全身曝露量(AUC)の21~28倍。ただし包皮腺(ヒトにおいて該当する器官は存在しない)の腫瘍については約5倍)ので、ヒトに対する潜在的危険性と治療上の有益性を十分に検討すること。(3).アバカビル:アバカビルを2年間投与したマウス及びラットにおいて、軽度心筋変性が認められた(臨床用量におけるヒト全身曝露量(AUC)の7~21倍の用量)。(保管上の注意)室温保存。
次のような副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。11.1.重大な副作用11.1.1.過敏症(頻度不明):アバカビルの投与により発熱又は皮疹を伴う多臓器過敏症及び全身性過敏症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、次に示すような徴候又は症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと〔1.1.1-1.1.5、2.1、8.2、8.3、15.1.1参照〕[1)皮膚:*皮疹(通常、*斑状丘疹性皮疹又は*蕁麻疹)、多形紅斑、2)消化器:*嘔気、*嘔吐、*下痢、*腹痛、口腔潰瘍、3)呼吸器:*呼吸困難、*咳、咽頭痛、急性呼吸促迫症候群、呼吸不全、4)精神神経系:*頭痛、感覚異常、5)血液:リンパ球減少、6)肝臓:*肝機能検査値異常(*AST上昇、*ALT上昇等)、肝不全、7)筋骨格:*筋痛、筋変性(横紋筋融解、筋萎縮等)、関節痛、CK上昇、8)泌尿器:クレアチニン上昇、腎不全、9)眼:結膜炎、10)その他:*発熱、*嗜眠、*倦怠感、*疲労感、浮腫、リンパ節腫脹、血圧低下、粘膜障害、アナフィラキシー]。*)アバカビルによる過敏症発現患者のうち10%以上にみられた症状。11.1.2.薬剤性過敏症症候群(頻度不明):初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、好酸球増多等を伴う遅延性の重篤な過敏症状があらわれることがある(なお、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること)。11.1.3.中毒性表皮壊死融解症(ToxicEpidermalNecrolysis:TEN)及び皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、多形紅斑(頻度不明):発熱、眼充血、顔面腫脹、口唇びらん・口腔粘膜びらんや陰部びらん、皮膚水疱や粘膜水疱、紅斑、咽頭痛、そう痒、全身倦怠感等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。11.1.4.重篤な血液障害(1%未満):赤芽球癆、汎血球減少、貧血、白血球減少、好中球減少、血小板減少〔8.7参照〕。11.1.5.膵炎(頻度不明):血清アミラーゼ上昇、血清リパーゼ上昇、トリグリセリド上昇等の検査値の上昇がみられた場合には、直ちに本剤の投与を中止すること。また、重度腹痛、悪心・嘔吐等の症状がみられた場合にも直ちに本剤の投与を中止し、生化学的検査(血清アミラーゼ、血清リパーゼ、トリグリセリド等)及び画像診断等による観察を十分行うこと〔8.5、9.1.1参照〕。11.1.6.乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)(頻度不明):乳酸アシドーシス又は肝毒性が疑われる臨床症状や肝毒性が疑われる検査値異常が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること(特に、肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること)。アバカビル及びラミブジンを含むNRTIの単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス(全身倦怠、食欲不振、急な体重減少、胃腸障害、呼吸困難、頻呼吸等)、肝毒性(脂肪沈着による重度肝腫大、脂肪肝を含む)が、女性に多く報告されている〔8.7参照〕。11.1.7.横紋筋融解症(頻度不明)〔8.7参照〕。11.1.8.ニューロパチー(頻度不明)、錯乱状態(1%未満)、痙攣(頻度不明)〔8.7参照〕。11.1.9.心不全(1%未満)〔8.7参照〕。11.1.10.肝機能障害(1%未満)、黄疸(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある〔8.6、9.1.2参照〕。11.2.その他の副作用1).免疫系:(1%未満)免疫再構築炎症反応症候群。2).精神・神経系:(1%以上)不眠症、頭痛、浮動性めまい、異常な夢、うつ病、傾眠、睡眠障害、(1%未満)錯感覚、不安、嗜眠、自殺企図、(頻度不明)末梢性ニューロパチー、感情障害、自殺念慮。3).消化器:(1%以上)悪心、下痢、嘔吐、鼓腸、腹部膨満、消化不良、腹部不快感、胃食道逆流性疾患、(1%未満)上腹部痛、腹痛、胃炎、(頻度不明)痔核、腹部硬直。4).肝臓:(1%未満)肝炎。5).皮膚:(1%以上)皮膚そう痒症、脱毛症、(1%未満)発疹、ざ瘡、多汗症、皮膚炎、(頻度不明)湿疹、毛包炎。6).全身症状:(1%以上)疲労、無力症、(1%未満)異常感、熱感、インフルエンザ様疾患、酩酊感、易刺激性、乳頭炎、(頻度不明)発熱、体温調節障害、疼痛、倦怠感。7).代謝及び栄養障害:(1%未満)食欲減退、(頻度不明)体脂肪再分布/体脂肪蓄積(胸部脂肪増加、体幹部脂肪増加、末梢部脂肪減少、顔面脂肪減少、野牛肩、血清脂質増加、血糖増加)、アミラーゼ増加、高乳酸血症、脱水。8).耳及び迷路障害:(頻度不明)耳管炎。9).筋骨格:(1%未満)関節痛、筋肉痛、筋痙直、(頻度不明)筋障害、骨痛。10).感染症:(1%未満)鼻炎、(頻度不明)敗血症。11).呼吸器:(1%未満)咳嗽、(頻度不明)呼吸困難、口腔咽頭痛、肺炎、気管支炎、副鼻腔炎、呼吸障害、上気道炎症。12).血液:(頻度不明)リンパ球減少症、リンパ節症。13).心臓:(頻度不明)心筋症。14).臨床検査:(1%未満)ALT増加、AST増加、血中ビリルビン増加、血中クレアチニン増加、肝機能検査異常、血中ブドウ糖増加、体重増加、(頻度不明)体重減少、血中ブドウ糖減少、総蛋白増加、総蛋白減少、血中重炭酸塩増加、血中重炭酸塩減少、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、血中トリグリセリド増加、血中コレステロール増加、血中尿酸増加、平均赤血球容積増加。
18.1作用機序18.1.1ドルテグラビルドルテグラビルはレトロウイルスの複製に必要な酵素であるHIVインテグラーゼの活性部位に結合することによってその活性を阻害し、ウイルスDNAの宿主DNAへの組込みを抑制する。18.1.2アバカビルアバカビルは細胞内で活性化型のカルボビル三リン酸に変換される。カルボビル三リン酸は天然基質デオキシグアノシン三リン酸に代わってウイルスDNA鎖に取りまれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する。また、カルボビル三リン酸はHIV逆転写酵素を競合的に阻害する。18.1.3ラミブジンラミブジンは細胞内でリン酸化され、HIVを感染させた細胞内での半減期が約12時間の活性化型の三リン酸化体に変換される。ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素によりデオキシシチジン三リン酸の代わりにウイルスDNA鎖に取り込まれ、DNA鎖の伸長を停止させることによりHIVの複製を阻害する。また、ラミブジン三リン酸化体はHIVの逆転写酵素を競合的に阻害する。一方、invitroで、ヒト末梢血リンパ球、リンパ球系・単球-マクロファージ系の株化細胞及び種々のヒト骨髄前駆細胞に対するラミブジンの細胞毒性は弱かった。18.2抗ウイルス作用18.2.1ドルテグラビルHIV‐1BaL株及びHIV‐1NL432株に感染させた末梢血単核球を用いた時のドルテグラビルのウイルス複製に対する50%阻害濃度(IC50)は、それぞれ0.51及び0.53nMであり、HIV‐1IIIB株に感染させたMT‐4細胞を用いた時のIC50は2.1nMであった(invitro)。13種のHIV‐1臨床分離株(サブタイプB)のインテグラーゼコード領域を導入した組換えウイルスに対するドルテグラビルのIC50(平均値)は0.52nMであり、その活性は実験室株に対する抗ウイルス活性と同程度であった。24種のHIV‐1臨床分離株[グループM(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)及びグループO]並びに3種のHIV‐2臨床分離株からなるパネル株を感染させた末梢血単核球を用いた時のドルテグラビルのIC50(幾何平均)はHIV‐1株及びHIV‐2株でそれぞれ0.20nM(範囲は0.02~2.14nM)及び0.18nM(範囲は0.09~0.61nM)であった(invitro)。18.2.2アバカビルアバカビルのHIV‐1に対するIC50はHIV‐1IIIB株に対して3.7~5.8μM、臨床分離株に対して0.26±0.18μM(8例)、HIV‐1BaL株に対して0.07~1.0μMであった。また、HIV‐2に対するIC50はHIV‐2(Zy)株に対して4.1μM、HIV‐2LAV‐2株に対して7.5μMであった。InvitroでNRTIのジダノシン、エムトリシタビン、ラミブジン、サニルブジン、テノホビル、ザルシタビン及びジドブジン、NNRTIのネビラピン、及びプロテアーゼ阻害剤のアンプレナビルとの相加又は相乗作用が認められた。また、ヒト末梢血単核球から活性化リンパ球を除いた場合に、より強い抗HIV作用を示したことから、アバカビルは静止細胞でより強く抗ウイルス作用を示すものと考えられる。18.2.3ラミブジンInvitroでのラミブジンのHIV‐1(RF、GB8、U455及びIIIB株)に対するIC50は670nM以下、HIV‐2ROD株に対するIC50は40nMであった。Invitroでアバカビル、ジダノシン、ネビラピン、ザルシタビン及びジドブジンとの相加又は相乗作用が認められた。また、invitroにおいて、ラミブジンは単独で、ジドブジン耐性臨床分離株の平均p24抗原量を薬物無処置群に比べ66~80%低下させた。Invitroでの26種のHIV‐1臨床分離株[グループM(サブタイプA、B、C、D、E、F、G)]並びに3種類のHIV‐2臨床分離株に対するラミブジンのIC50(平均値)はHIV‐1株及びHIV‐2株でそれぞれ40nM(範囲は1~120nM)及び42nM(範囲は2~120nM)であった。18.3薬剤耐性18.3.1ドルテグラビル抗HIV薬による治療経験があり、かつINSTIの投与経験のない患者を対象としたSAILING試験(ドルテグラビル投与群354例)において、投与48週後にウイルス学的な治療失敗例の17例中4例でINSTIに耐性が認められた。これら4例中2例に特有のR263Kインテグラーゼ変異が認められ、FCの最大値は1.93であった。もう1例には、多型のV151V/Iインテグラーゼ変異が認められFCの最大値は0.92であり、残り1例には試験前からインテグラーゼ変異の存在が認められており、既にINSTIの投与経験があるか、又はインテグラーゼ耐性ウイルスに感染したものと推定された。HIV‐1IIIB株及びHIV‐1NL432株をそれぞれ112及び56日間継代培養した試験でみられたインテグラーゼ領域のアミノ酸変異はS153Y、S153F、E92Q及びG193Eであり、FC(各種分離株に対するIC50/野生型HIV‐1株に対するIC50)の最大値は4.1であった。また、HIV‐1臨床分離株(サブタイプB、C及びA/G)を更に長期間継代培養した試験でみられた変異はG118R(FC=10)、S153T及びR263K(FC=1.5)であった(invitro)。18.3.2アバカビルアバカビルに対して低感受性のHIV‐1分離株がinvitro及びアバカビル投与患者から分離されており、いずれも逆転写酵素にM184V、K65R、L74V及びY115Fの変異が確認された。これらの変異を2種以上含むことにより、アバカビル感受性は1/10に低下した。臨床分離株ではM184V及びL74Vの変異が頻回に観察された。18.3.3ラミブジンラミブジンを含む抗HIV薬で治療を受けたHIV‐1感染症患者で発現するラミブジン耐性HIV‐1には、HIV逆転写酵素の活性部位に近い184番目のアミノ酸のメチオニンからバリンへの変異(M184V)がみられる。このM184V変異の結果、ウイルスのラミブジンに対する感受性は著明に低下し、invitroでのウイルスの複製能力は低下する。Invitroにおいて、ジドブジン耐性臨床分離株にラミブジン耐性変異を導入すると、ジドブジンに対する感受性は回復することが確認されている。また、抗HIV薬の治療経験のない患者にジドブジン及びラミブジンを併用することにより、ジドブジン耐性ウイルスの出現が遅延する。さらに、抗HIV薬(ラミブジンを含む)の多剤併用療法はM184V変異ウイルスを有する患者と同様、抗HIV薬の治療経験のない患者においても有効性が確認されている。18.4交差耐性18.4.1ドルテグラビルラルテグラビル[FoldChange(FC)>81]に対する遺伝子型及び表現型の耐性を有する30種の臨床分離株について、ドルテグラビル(FC=1.5)に対する感受性を調べた。G140S+Q148H分離株では、ドルテグラビルのFC値は3.75であり、G140S+Q148R分離株では13.3、T97A+Y143R分離株では1.05、N155H分離株では1.37であった。ラルテグラビルの投与経験のある患者から分離した705種のラルテグラビル耐性株について、ドルテグラビルに対する感受性を調べたところ、93.9%の分離株に対してFCが10以下であった(invitro)。部位特異的変異を有する60種のINSTI耐性HIV‐1ウイルスパネル株(28種は単一アミノ酸変異、32種は二重又は多重変異)を用いてドルテグラビルの抗ウイルス活性を検討した。単一のINSTI耐性変異(T66K、I151L及びS153Y)を有するウイルスでは、ドルテグラビルに対する感受性が2倍以上(2.3~3.6倍)低下した。複数の変異(T66K/L74M、E92Q/N155H、G140C/Q148R、G140S/Q148H、G140S/Q148R、G140S/Q148K、Q148R/N155H、T97A/G140S/Q148及びE138/G140/Q148)を有するウイルスでは、ドルテグラビルに対する感受性が2倍以上(2.5~21倍)低下した(invitro)。INSTIに耐性を有する患者を対象としたVIKING‐3試験では、投与24週後までに183例中36例でウイルス学的な治療失敗が認められた。このうち31例については、試験開始時及びウイルス学的な治療失敗時の両時点で解析用耐性データがあり、31例中16例(52%)で投与に伴う変異が認められた。確認された治療下での変異又は混合変異はL74L/M(1例)、E92Q(2例)、T97A(8例)、E138K/A(7例)、G140S(2例)、Y143H(1例)、S147G(1例)、Q148H/K/R(4例)、N155H(1例)及びE157E/Q(1例)であった。また、治療下で変異の出現が認められた16例中14例において、試験開始時又はそれ以前からQ148の変異を有していた。18.4.2アバカビル2種以上のアバカビル関連耐性変異を獲得したHIV‐1株のうち数種は、invitroでラミブジン、ジダノシン及びザルシタビンに対して交差耐性を示し、一方、ジドブジン及びサニルブジンには感受性を示した。アバカビルとHIVプロテアーゼ阻害剤とは標的酵素が異なることから、両者間で交差耐性を示す可能性は低く、NNRTIも逆転写酵素の結合部位が異なることから、交差耐性を示す可能性は低いものと考えられる。18.4.3ラミブジンジドブジン及びサニルブジンは、ラミブジン耐性HIV‐1に対し抗ウイルス活性を維持する。アバカビルはM184V変異のみが認められているウイルスに対しては、抗ウイルス活性を維持する。また、ジダノシン及びザルシタビンは、M184V変異ウイルスに対して感受性が低下するというinvitroでの報告があるが、これらの感受性の低下と臨床効果の関係は明らかにされていない。
17.1有効性及び安全性に関する試験17.1.1海外第III相臨床試験(SINGLE:ING114467)抗HIV薬による治療経験のない成人HIV感染症患者833例を対象とした二重盲検比較試験において、ドルテグラビル50mg(1日1回投与)とアバカビル・ラミブジン注1)の併用投与群(ドルテグラビル投与群)に414例、エファビレンツ・テノホビル・エムトリシタビン注2)投与群(対照群)に419例が無作為に割り付けられた。その結果、主要評価項目である投与48週後のHIV‐1RNA量が50copies/mL未満であった患者の割合は、対照群の81%に対して、ドルテグラビル投与群では88%であった。ウイルス学的な治療失敗は、ドルテグラビル投与群の5%及び対照群の6%で認められた。また、投与96週後のHIV‐1RNA量が50copies/mL未満であった患者の割合は、対照群の72%に対して、ドルテグラビル投与群では80%であった。ウイルス学的な治療失敗は、ドルテグラビル投与群の7%及び対照群の8%で認められた。さらに、投与96週後以降に非盲検下で継続投与を行った結果、144週後のHIV‐1RNA量が50copies/mL未満であった患者の割合は、ドルテグラビル投与群では71%、対照群では63%であった。ウイルス学的な治療失敗は、ドルテグラビル投与群の10%及び対照群の7%で認められた。副作用発現頻度は、ドルテグラビル投与群で43%(180/414例)であった。主な副作用は、悪心10%(42/414例)、不眠10%(41/414例)及び浮動性めまい7%(28/414例)であった(96週時)。なお、本試験における試験成績の要約を表‐1に示した。表‐1試験成績の要約--------------------------表開始--------------------------結果ドルテグラビル50mg1日1回+アバカビル・ラミブジン注1)(414例)エファビレンツ・テノホビル・エムトリシタビン注2)1日1回(419例)48週96週144週48週96週144週HIV‐1RNA量が50copies/mL未満364例(88%)332例(80%)296例(71%)338例(81%)303例(72%)265例(63%)両群間の差注3)(95%信頼区間)7.4%(2.5%、12.3%)8.0%(2.3%、13.8%)8.3%(2.0%、14.6%)-ウイルス学的な治療失敗注4)21例(5%)31例(7%)43例(10%)26例(6%)33例(8%)30例(7%)注1)アバカビル600mg・ラミブジン300mgをエプジコム配合錠として1日1回投与注2)エファビレンツ600mg、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩300mg、エムトリシタビン200mgをAtripla配合錠として1日1回投与注3)ベースラインの層別因子により調整注4)ウイルス学的効果が不十分のため、投与48週、96週又は144週後までに試験薬剤の投与を中止した症例、若しくは48週、96週又は144週目にHIV‐1RNA量が50copies/mL以上であった症例--------------------------表終了--------------------------注1)アバカビル600mg・ラミブジン300mgをエプジコム配合錠として1日1回投与注2)エファビレンツ600mg、テノホビルジソプロキシルフマル酸塩300mg、エムトリシタビン200mgをAtripla配合錠として1日1回投与17.1.2海外第III相臨床試験(SPRING‐2:ING113086)抗HIV薬による治療経験のない成人HIV感染症患者822例を対象とした二重盲検比較試験において、ドルテグラビル50mgを1日1回投与した群(ドルテグラビル投与群)と、ラルテグラビル400mgを1日2回投与した群(ラルテグラビル投与群)に、それぞれ411例の患者が無作為に割り付けられた。このうちドルテグラビル投与群の169例及びラルテグラビル群の164例に、背景療法としてアバカビル・ラミブジン注1)が併用投与された。その結果、アバカビル・ラミブジンが併用投与された患者において、主要評価項目である投与48週後のHIV‐1RNA量が50copies/mL未満であった患者の割合は、ドルテグラビル投与群では86%、ラルテグラビル投与群では87%であった。治験実施計画書で定義されたウイルス学的な治療失敗は、ドルテグラビル投与群の4%及びラルテグラビル投与群の5%で認められた。また、投与96週後のHIV‐1RNA量が50copies/mL未満であった患者の割合は、ドルテグラビル投与群では74%、ラルテグラビル投与群では76%であった。治験実施計画書で定義されたウイルス学的な治療失敗は、ドルテグラビル投与群及びラルテグラビル投与群の各5%で認められた。副作用発現頻度は、ドルテグラビル投与群で30%(124/411例)であった。主な副作用は、悪心10%(40/411例)及び頭痛5%(19/411例)であった(96週時)。なお、本試験における試験成績の要約を表‐2に示した。表‐2試験成績の要約--------------------------表開始--------------------------結果ドルテグラビル50mg1日1回+アバカビル・ラミブジン注1)(169例)ラルテグラビル400mg1日2回+アバカビル・ラミブジン注1)(164例)48週96週48週96週HIV‐1RNA量が50copies/mL未満145例(86%)125例(74%)142例(87%)124例(76%)両群間の差(未調整)(95%信頼区間)-0.8%(-8.2%、6.6%)-1.6%(-11.0%、7.7%)-治験実施計画書で定義されたウイルス学的な治療失敗注2)7例(4%)9例(5%)8例(5%)8例(5%)注1)アバカビル600mg・ラミブジン300mgをエプジコム配合錠として1日1回投与注2)投与24週後以降の検査において2回連続してHIV‐1RNA量が50copies/mL以上であった症例--------------------------表終了--------------------------注1)アバカビル600mg・ラミブジン300mgをエプジコム配合錠として1日1回投与17.1.3海外第IIIb相臨床試験(FLAMINGO:ING114915)抗HIV薬による治療経験のない成人HIV感染症患者485例を対象とした非盲検比較試験において、ドルテグラビル50mgを1日1回投与した群(ドルテグラビル投与群)に243例、ダルナビル800mg+リトナビル100mgを1日1回投与した群(対照群)に242例が無作為に割り付けられた。このうち484例が有効性・安全性解析対象となり、ドルテグラビル投与群の79例及び対照群の80例に、背景療法としてアバカビル・ラミブジン注1)が併用投与された。その結果、アバカビル・ラミブジンが併用投与された患者において、主要評価項目である投与48週後のHIV‐1RNA量が50copies/mL未満であった患者の割合は、対照群の85%に対して、ドルテグラビル投与群では90%であった。治験実施計画書で定義されたウイルス学的な治療失敗は、対照群の3%で認められたが、ドルテグラビル投与群では認められなかった。また、投与96週後のHIV‐1RNA量が50copies/mL未満であった患者の割合は、対照群の75%に対して、ドルテグラビル投与群では82%であった。治験実施計画書で定義されたウイルス学的な治療失敗は、対照群の4%で認められたが、ドルテグラビル投与群では認められなかった。副作用発現頻度は、ドルテグラビル投与群で33%(80/242例)であった。主な副作用は、悪心12%(29/242例)、下痢9%(21/242例)及び頭痛7%(17/242例)であった(96週時)。なお、本試験における試験成績の要約を表‐3に示した。表‐3試験成績の要約--------------------------表開始--------------------------結果ドルテグラビル50mg1日1回+アバカビル・ラミブジン注1)(79例)ダルナビル800mg+リトナビル100mg1日1回+アバカビル・ラミブジン注1)(80例)48週96週48週96週HIV‐1RNA量が50copies/mL未満71例(90%)65例(82%)68例(85%)60例(75%)両群間の差(未調整)(95%信頼区間)4.9%(-5.4%、15.1%)7.3%(-5.4%、20.0%)-治験実施計画書で定義されたウイルス学的な治療失敗注2)0例(0%)0例(0%)2例(3%)3例(4%)注1)アバカビル600mg・ラミブジン300mgをエプジコム配合錠として1日1回投与注2)投与24週後以降の検査において2回連続してHIV‐1RNA量が200copies/mLを上回った症例--------------------------表終了--------------------------注1)アバカビル600mg・ラミブジン300mgをエプジコム配合錠として1日1回投与17.1.4海外第III相試験(SAILING:ING111762)抗HIV薬による治療経験があり、かつINSTIの投与経験のない成人HIV感染症患者715例を対象とした二重盲検比較試験において、背景療法とドルテグラビル50mg1日1回投与を併用した群(ドルテグラビル投与群)と、背景療法とラルテグラビル400mg1日2回投与を併用した群(ラルテグラビル投与群)に、それぞれ354例及び361例の患者が無作為に割り付けられた。その結果、主要評価項目である投与48週後のHIV‐1RNA量が50copies/mL未満であった患者の割合は、ラルテグラビル投与群の64%に対して、ドルテグラビル投与群は71%であり、群間差(95%信頼区間)は、7.4%(0.7%、14.2%)であり、ラルテグラビルに対するドルテグラビルの非劣性が示された(非劣性マージン12%)。副作用発現頻度は、ドルテグラビル投与群で20%(73/357例)であった。主な副作用は、下痢8%(29/357例)及び悪心4%(13/357例)であった。なお、本試験における試験成績の要約を表‐4に示した。表‐4試験成績の要約--------------------------表開始--------------------------結果ドルテグラビル50mg1日1回+背景療法注1)(354例)注2)ラルテグラビル400mg1日2回+背景療法(361例)注2)HIV‐1RNA量が50copies/mL未満251例(71%)230例(64%)両群間の差注3)(95%信頼区間)7.4%(0.7%、14.2%)ウイルス学的な治療失敗71例(20%)100例(28%)注1)アバカビル600mg・ラミブジン300mg(エプジコム配合錠)併用は8例、そのうち1例はマラビロクも併用注2)1実施施設において、データ整合性のため4例が有効性解析から除外注3)ベースラインの層別因子により調整--------------------------表終了--------------------------17.1.5海外第IIIb相臨床試験(STRIIVING:201147)プロテアーゼ阻害剤、INSTI又は非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)+NRTI2剤の抗HIV薬による治療によりウイルス学的抑制が得られている成人HIV感染症患者533例を対象とした無作為化非盲検試験において、本剤1日1回投与群(本剤群)又は組入れ時の抗HIV薬による治療を24週間継続する群(治療継続群)にそれぞれ262例及び271例が割り付けられた。主要評価項目である投与後24週時におけるHIV‐1RNA量が50copies/mL未満の被験者の割合は、表‐5のとおりであり、両群間の差の95%信頼区間の下限値が事前に設定された非劣性マージン(-10%)を上回ったことから、治療継続群に対する本剤の非劣性が検証された。なお、本剤群で投与48週後のHIV‐1RNA量が50copies/mL未満であった被験者の割合は80%であった。副作用発現頻度は、本剤群で22%(57/262例)であった。主な副作用は悪心8%(20/262例)、疲労3%(9/262例)、下痢3%(9/262例)及び頭痛3%(7/262例)であった(48週時)。表‐5試験成績の要約--------------------------表開始--------------------------結果本剤群注1)(262例)治療継続群注2)(271例)HIV‐1RNA量が50copies/mL未満221例(84%)238例(88%)両群間の差(調整済み)注3)(95%信頼区間)-3.5%(-9.4%、2.5%)ウイルス学的な治療失敗注4)3例(1%)4例(1%)注1)本剤1日1回投与注2)プロテアーゼ阻害剤、INSTI又はNNRTI+NRTI2剤の継続注3)ベースラインの層別因子(プロテアーゼ阻害剤、INSTI又はNNRTI)を層としたMantelHaenszel法により調整注4)投与後24週時でHIV‐1RNA量が50copies/mL以上の被験者数--------------------------表終了--------------------------