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一般名 | ロピバカイン塩酸塩水和物注射液 |
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YJコード | 1214405A6027 |
剤型・規格 | 液剤・1%20mL1管 |
薬価 | 802.00円 |
製薬会社 | |
添付文書 |
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麻酔(硬膜外麻酔)。
通常、成人に1回20mL(ロピバカイン塩酸塩水和物(無水物として)200mg)までを硬膜外腔に投与する。なお、期待する痛覚遮断域、手術部位、年齢、身長、体重、全身状態等により適宜減量する。(用法及び用量に関連する注意)本剤に血管収縮剤(アドレナリン)を添加しても、作用持続時間の延長は認められない。
(禁忌)2.1.本剤の成分又はアミド型局所麻酔薬に対し過敏症の既往歴のある患者。2.2.大量出血やショック状態の患者[過度の血圧低下が起こることがある]。2.3.注射部位又はその周辺に炎症のある患者[化膿性髄膜炎症状を起こすことがある]。2.4.敗血症の患者[敗血症性髄膜炎を生じるおそれがある]。(重要な基本的注意)8.1.まれにショックあるいは中毒症状を起こすことがあるので、本剤の投与に際しては、十分な問診により患者の全身状態を把握するとともに、異常が認められた場合に直ちに救急処置のとれるよう、常時準備をしておくこと。なお、事前の静脈路確保が望ましい〔11.1.1、11.1.2参照〕。8.2.本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること。8.2.1.できるだけ必要最少量にとどめること(追加投与の際には特に注意すること)。8.2.2.注射の速度はできるだけ遅くすること。8.2.3.注射針が、血管又はくも膜下腔に入っていないことを確かめること。血管内へ誤投与された場合、中毒症状が発現することがあり、また、くも膜下腔へ誤投与された場合、全脊椎麻酔となることがある〔11.1.3、13.過量投与の項参照〕。8.2.4.前投薬や術中に投与した鎮静薬、鎮痛薬等による呼吸抑制が発現することがあるので、鎮静薬、鎮痛薬等を使用する際は少量より投与し、必要に応じて追加投与することが望ましい(なお、高齢者、小児、全身状態不良な患者、肥満者、呼吸器疾患を有する患者では特に注意し、異常が認められた際には、適切な処置を行うこと)〔9.1.1、9.7小児等、9.8高齢者の項参照〕。8.3.注射針又はカテーテルが適切に位置していない等により、神経障害が生じることがあるので、穿刺に際し異常を認めた場合には本剤の注入を行わないこと。8.4.本剤の投与に際し、その副作用を完全に防止する方法はないが、ショックあるいは中毒症状をできるだけ避けるために、次の点に留意すること。8.4.1.患者のバイタルサイン(血圧、心拍数、呼吸数等)及び全身状態の観察を十分に行い、また、麻酔が消失するまで観察を行うことが望ましい。なお、術中は経皮的に動脈血酸素飽和度の測定(パルスオキシメーター等)を行うことが望ましい。8.4.2.試験的に注入(testdose)し、注射針又はカテーテルが適切に留置されていることを確認すること。8.4.3.麻酔範囲が予期した以上に広がることにより、過度の血圧低下、徐脈、呼吸抑制を来すことがあるので、麻酔範囲に注意すること。(特定の背景を有する患者に関する注意)(合併症・既往歴等のある患者)9.1.1.全身状態不良な患者:生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下していることがある〔8.2.4参照〕。9.1.2.心刺激伝導障害のある患者:症状を悪化させることがある。9.1.3.中枢神経系疾患:髄膜炎、灰白脊髄炎、脊髄ろう等の患者及び脊髄に腫瘍・脊椎に腫瘍又は脊髄に結核・脊椎に結核等のある患者:硬膜外麻酔により病状が悪化するおそれがある。9.1.4.血液凝固障害や抗凝血薬投与中の患者:やむを得ず投与する場合は観察を十分に行うこと(出血しやすいため、血腫形成や脊髄障害を起こすことがある)。9.1.5.脊柱に著明な変形のある患者:やむを得ず投与する場合は患者の全身状態の観察を十分に行うこと(脊髄損傷や神経根損傷のおそれがあり、また麻酔範囲の予測も困難である)。9.1.6.腹部腫瘤のある患者:投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行うこと(仰臥位性低血圧を起こすことがあり、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。9.1.7.重症高血圧症、心弁膜症等の心血管系に著しい障害のある患者:患者の全身状態の観察を十分に行うこと(血圧低下や病状の悪化が起こりやすい)。(腎機能障害患者)9.2.1.重篤な腎機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。(肝機能障害患者)9.3.1.重篤な肝機能障害のある患者:中毒症状が発現しやすくなる。(妊婦)9.5.1.妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。9.5.2.妊娠後期の患者には、投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること(妊娠末期は、仰臥位性低血圧を起こしやすく、麻酔範囲が広がりやすい;麻酔中はさらに増悪することがある)。(授乳婦)治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。(小児等)小児等を対象とした臨床試験は実施していない〔8.2.4参照〕。(高齢者)投与量の減量を考慮するとともに、患者の全身状態の観察を十分に行う等、慎重に投与すること(一般に麻酔範囲が広がりやすく、生理機能の低下により麻酔に対する忍容性が低下している)〔8.2.4参照〕。(相互作用)本剤は、主として肝代謝酵素CYP1A2で代謝される。10.2.併用注意:1).CYP1A2阻害剤(フルボキサミン、エノキサシン等)[本剤の血中濃度が上昇することがある;本剤とフルボキサミンとの併用で、本剤のクリアランスの低下が報告されており、また、他のCYP1A2代謝剤とエノキサシンとの併用でも同様のクリアランスの低下が報告されている(本剤の代謝には主にCYP1A2が関与しているため、併用薬剤のようなCYP1A2阻害剤との併用で、本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇するおそれがある)]。2).クラス3抗不整脈剤(アミオダロン等)[心機能抑制作用が増強するおそれがあるので、心電図検査等によるモニタリングを行うこと(作用が増強することが考えられる)]。3).他のアミド型局所麻酔薬[中毒症状が発現するおそれがある(相加的に作用する)]。4).全身麻酔薬[本剤を硬膜外麻酔として投与する場合に併用すると、血圧低下作用が増強されるおそれがある(相互に作用を増強させる)]。(過量投与)局所麻酔剤の過量投与や血管内誤投与又は非常に急速な吸収等による血中濃度の上昇に伴い、中毒が発現する。特に血管内誤投与となった場合には、数分以内に発現することがある(その症状は、主に中枢神経系症状及び心血管系症状としてあらわれる)。また、腕神経叢ブロックや坐骨神経ブロック等の伝達麻酔の過量投与や硬膜外麻酔の過量投与で、蘇生術困難及び死亡に至った報告がある〔8.2.3、11.1.2参照〕。13.1.症状13.1.1.中枢神経系症状:過量投与時、初期症状として視覚障害、聴覚障害、口周囲知覚麻痺、眩暈、ふらつき、不安、刺痛感、感覚異常があらわれ、また、構音障害、筋硬直、攣縮等があらわれる(症状が進行すると意識消失、全身痙攣があらわれ、これらの症状に伴い低酸素血症、高炭酸ガス血症が生じるおそれがあり、より重篤な場合には呼吸停止を来すこともある)。13.1.2.心血管系症状:過量投与時、血圧低下、徐脈、心筋収縮力低下、心拍出量低下、刺激伝導系抑制、心室性頻脈及び心室細動等の心室性不整脈、循環虚脱、心停止等があらわれる。これらの心血管系の症状は、鎮静下又は全身麻酔下において、中枢神経系症状を伴わずに発生することがある。13.2.処置過量投与時、振戦や痙攣が著明であれば、ジアゼパム又は超短時間作用型バルビツール酸製剤(チオペンタールナトリウム等)を投与する。(適用上の注意)14.1.薬剤調製時の注意ロピバカイン塩酸塩水和物はpH6以上で溶解性が低下する(本剤をアルカリ性溶液と混合することにより、沈殿を生じる可能性があるので、注意すること)。14.2.薬剤投与時の注意1アンプルを複数の患者に使用しないこと。14.3.薬剤投与後の注意残液は廃棄すること。(その他の注意)15.1.臨床使用に基づく情報15.1.1.球後麻酔、眼球周囲麻酔に際し、類薬(リドカイン塩酸塩等)で持続性眼筋運動障害が発現することが報告されている(本剤での球後麻酔、眼球周囲麻酔に対する使用経験はない)。15.1.2.ポルフィリン症の患者に投与した場合、急性腹症、四肢麻痺、意識障害等の急性症状を誘発するおそれがある。15.1.3.因果関係は明らかでないが、外国において術後に本剤を関節内(特に肩関節)に持続投与された患者で軟骨融解を発現したとの報告がある。(取扱い上の注意)薬液の漏出や容器に破損が認められるものは使用しないこと。(本剤の容器(アンプル)の開封方法)1).アンプルを振り、首の部分に溜まっている液体を落とす。2).アンプル本体の肩の部分を持ち、上部をねじって取り外す。このとき本体を強く握らないこと。(保管上の注意)室温保存。
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。11.1.重大な副作用11.1.1.ショック(頻度不明):徐脈、不整脈、血圧低下、呼吸抑制、チアノーゼ、意識障害等を生じ、まれに心停止を来すことがある。また、まれにアナフィラキシーショックを起こすおそれがある〔8.1参照〕。11.1.2.意識障害(頻度不明)、振戦(0.5%)、痙攣(0.2%):意識障害、振戦、痙攣等の中毒症状があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.1、13.過量投与の項参照〕。11.1.3.異常感覚(0.2%)、知覚・運動障害(0.2%):注射針又はカテーテルの留置時に神経(神経幹、神経根)に触れることにより一過性異常感覚が発現することがある。また、神経が注射針や薬剤あるいは虚血によって障害を受けると、まれに持続的異常感覚、疼痛、知覚障害、運動障害、硬膜外麻酔及び術後鎮痛では膀胱直腸障害等の神経学的疾患があらわれることがある〔8.2.3参照〕。11.2.その他の副作用1).循環器:(5%以上)血圧低下(37.9%)、(1~5%未満)徐脈、(1%未満)頻脈、心室性不整脈、洞性不整脈、(頻度不明)血圧上昇。2).呼吸器:(1~5%未満)SpO2低下、(1%未満)呼吸困難。3).中枢・末梢神経系:(1%未満)めまい、頭痛、昏迷、振戦、攣縮、異常感覚、運動障害、言語障害、口唇しびれ感、全身しびれ感、譫妄、(頻度不明)不安、下肢知覚異常。4).消化器:(1~5%未満)嘔気、(1%未満)嘔吐。5).過敏症:(頻度不明)蕁麻疹、血管浮腫。6).泌尿器:(1%未満)排尿困難、尿閉。7).その他:(1%未満)発熱、戦慄、低体温、顔面潮紅、結膜充血、耳鳴、ホルネル症候群、(頻度不明)悪寒、硬結性紅斑。
18.1作用機序ロピバカイン塩酸塩は、局所麻酔薬では最初のS(-)‐エナンチオマーで、脂質親和性が比較的低く、アミド型の長時間作用性局所麻酔薬に属する。本薬はS(-)‐エナンチオマーであるため、神経膜ナトリウムチャンネルに対する作用選択性が高く、心筋ナトリウムチャンネルへの作用は弱い。これに対し、同じ長時間作用性のブピバカイン塩酸塩はラセミ体でかつ脂質親和性が高いため、神経膜のナトリウムチャンネルばかりでなく心筋ナトリウムチャンネルへの作用も強く持続的である。また、ブピバカイン塩酸塩は脂質親和性が高いため、運動神経の厚い髄鞘・神経膜、並びに、血液脳関門を透過しやすく、持続的で強い運動神経遮断作用及び中枢作用(痙攣誘発作用)を示すと考えられる。これら作用様式の違いにより、髄鞘が無いか又は薄い痛覚神経に対する本薬の遮断作用はブピバカイン塩酸塩と同程度で、運動神経に対する遮断作用はブピバカイン塩酸塩に比べて弱く、高用量の静脈内投与時の痙攣誘発作用及び不整脈誘発作用はブピバカイン塩酸塩に比べて弱いと考えられる。18.2局所麻酔作用18.2.1硬膜外麻酔作用及び伝達麻酔作用イヌ及びヒツジへの硬膜外投与において、本薬(5及び7.5mg/mL)の硬膜外麻酔作用の持続時間はブピバカイン塩酸塩(5及び7.5mg/mL)と同程度であった。モルモット坐骨神経及び腕神経叢において、本薬(5mg/mL)の伝達麻酔作用の持続時間はブピバカイン塩酸塩(5mg/mL)と同程度であった。18.2.2痛覚神経遮断作用及び運動神経遮断作用ウサギ副交感神経標本において、ロピバカインはC線維(無髄線維;主として痛覚神経)の活動電位に対してブピバカインと同程度の抑制作用を示したが、A線維(有髄線維;主として運動神経)の活動電位に対する抑制作用はブピバカインに比べて弱かった。また、下腹部開腹手術患者にロピバカイン塩酸塩2mg/mL製剤を持続硬膜外投与した結果、安定した痛覚遮断効果が得られたが、投与終了時の運動神経遮断の程度は弱かったことから、術後鎮痛に有用であると考えられた。18.3中枢神経系及び心循環器系への影響18.3.1高用量静脈内投与時の痙攣誘発作用及び不整脈誘発作用静脈内投与試験における本薬の痙攣誘発作用(ラット、イヌ及びヒツジ)及び不整脈誘発作用(イヌ)はブピバカイン塩酸塩よりも弱かった。また、健康成人男子(外国人)に本剤を静脈内持続投与し、ブピバカイン塩酸塩と比較した結果、本剤は中枢神経系及び心循環器系への影響がブピバカイン塩酸塩よりも弱く、忍容性の高いことが認められた。18.3.2硬膜外投与時の血圧低下作用イヌへの硬膜外投与試験において、本薬(10mg/mL)は投与前値に比べて血圧を31%低下させ、ブピバカイン塩酸塩(7.5mg/mL)は25%低下させたが、両群間に統計的に有意な差は認められなかった。一方、患者を対象とした硬膜外麻酔試験において、本剤(5又は7.5mg/mL)は基準値に比べて血圧を約20%低下させ、その作用は同濃度のブピバカイン塩酸塩と同程度であった。
17.1有効性及び安全性に関する試験〈硬膜外麻酔〉17.1.1国内第III相試験7.5mg/mL製剤(投与量:20mL、穿刺部位:L3-4、対象:下腹部及び下肢手術)を用いた臨床試験において、Th10における痛覚神経遮断の作用持続時間は251.1±88.2分であった。副作用は30.2%(19/63例)に認められ、主な副作用は血圧低下27.0%(17/63例)であった。10mg/mL製剤(投与量:20mL、穿刺部位:L3-4、対象:下腹部及び下肢手術)を用いた臨床試験において、Th10における痛覚神経遮断の作用持続時間は277.6±111.3分であった。副作用は26.5%(9/34例)に認められ、主な副作用は血圧低下11.8%(4/34例)であった。ブピバカイン塩酸塩5mg/mL製剤と比較した本剤7.5mg/mL製剤及び10mg/mL製剤のPin‐prick法による痛覚遮断域及びBromageScaleによる運動神経遮断の程度の推移を添付文書の図3及び図4に示した。図3痛覚遮断域の推移(平均±標準誤差)<<図省略>>図4運動神経遮断の推移(平均±標準誤差)<<図省略>>〈伝達麻酔〉17.1.2国内第III相試験7.5mg/mL製剤40mLを腋窩部腕神経叢に投与した臨床試験において、本剤の単回投与のみあるいは鎮静剤の併用により手術が可能であった症例の割合は、85.3%(29/34例)であった。また、橈骨、正中、尺骨、筋皮、内側前腕皮及び内側上腕皮の各神経領域で痛覚遮断効果を有する症例の割合は、投与30分後で71.9~97.1%、投与3時間後で88.5~100.0%、投与9時間後で58.6~84.8%、橈骨、正中、尺骨、筋皮の各神経領域において部分運動神経遮断を有する症例の割合は、投与30分後で93.5~100.0%、投与3、6、9時間後でそれぞれ92.6~100.0%、88.9~96.3%、81.5~92.6%であった。副作用は14.3%(5/35例)に認められ、主な副作用はめまい5.7%(2/35例)であった。