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仕事上でストレスを感じていると、冠動脈疾患を発症しやすいのか?

 「仕事上でストレスを感じていると、冠動脈疾患を発症しやすいのでしょうか?」このような患者さんからの質問にどのように回答するか? これまで職場でのストレスが冠動脈疾患の発症リスクを高めるかについては、出版バイアスや因果の逆転等によって異なる結果が発表されてきた。英国ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのKivimäki氏らはメタアナリシスの結果、仕事上のストレスを感じている人では冠動脈疾患の発症率が高くなることを明らかにした。Lancet誌2012年10月27日号の掲載報告。 厚生労働省の2010年度国民生活基礎調査によると、12歳以上の日本人では46.5%が「悩みやストレスがある」と回答している。その割合は男女とも40代が最も高く、その原因として男性30−40代の7割が「自分の仕事」を挙げている。仕事上のストレスが冠動脈疾患発症に関係があることは想像できるが、これを科学的に証明した研究はそれほど多くない。論文発表されていない研究も含めると、証明できなかったものの方が多いくらいである。仕事上のストレスを感じている人では冠動脈疾患の発症率が有意に上昇 メタアナリシスには欧州における13のコホート研究(1985~2006年)が用いられ、これらのコホートには登録時に雇用者であり、かつ冠動脈疾患の既往がない男女が含まれていた。仕事上のストレスは、職業性ストレスの調査票(job-content questionnaire)と、要求度-コントロール調査票(demand-control questionnaire)を用いて測定した。冠動脈疾患は初回の心筋梗塞発症または冠動脈疾患死と定義した。主な結果は下記のとおり。・197,473名中30,214名(15%)が仕事上のストレスを報告した。・149万人・年(平均7.5年)の追跡において2,358名が冠動脈疾患を発症した。・仕事上のストレスがあった人では、冠動脈疾患の発症リスクはストレスがなかった人の1.23倍であった(ハザード比 1.23、95%信頼区間:1.10~1.37)であった(性・年齢調整後)。・初回3年間および初回5年間の発症を除外した場合も、同様に職場ストレスがあった人で、冠動脈疾患の発症率が有意に高かった。 ―初回3年間の発症を除外した場合のハザード比 1.31(95%信頼区間:1.15~1.48) ―初回5年間の発症を除外した場合のハザード比 1.30(95%信頼区間:1.13~1.50)・性別、年齢層、社会経済的階層によって群を分けた場合でも同様の結果が認められた。・仕事上のストレスの絶対リスクは3.4%であった。 著者らは職場ストレスの予防は疾患発症を減少させるかもしれないとしながらも、この戦略は喫煙などの標準的な危険因子の管理に比べるとその効果ははるかに小さいと結論づけている。 昨今は若年者の生活習慣病が増えてきており、このような患者さんでは通院や服薬が不規則なケースが多い。そして半数以上は職場でのストレスを抱えており、これは冠動脈疾患の有意な危険因子である。しかし、高血圧、高LDLコレステロール血症、喫煙など従来の危険因子の方がはるかに危険度は高く、治療によるリスク減少も証明されている。患者さんには現在の治療を続けることの重要性を再認識いただく機会に成りうるのではないだろうか。

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非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植と骨髄移植、2年生存率は同等

 白血病患者などに対する、非血縁ドナーからの末梢血幹細胞移植(PBSCT)と骨髄移植(BMT)について、2年生存率は同等であることが報告された。また、生着不全の割合はPBSCTのほうが、慢性移植片対宿主病の発症率はBMTのほうが、それぞれ有意にリスクは低い可能性も示唆された。米国・H. Lee Moffitt Cancer Center and Research InstituteのClaudio Anasetti氏らが、約550例について行った第3相多施設共同無作為化試験の結果で、NEJM誌2012年10月18日号で発表した。48ヵ所の医療機関を通じ、中央値36ヵ月追跡研究グループは2004年3月~2009年9月にかけて、48の医療機関を通じ66歳未満の急性白血病、脊髄形成異常、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、骨髄線維症の患者、合わせて551例について試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、非血縁ドナーからの、末梢血幹細胞移植(PBSCT)、または骨髄移植(BMT)を行った。生存者の追跡期間中央値は36ヵ月(四分位範囲:30~37)。両群の2年生存率などについて比較した。生着不全はPBSCT群3%でBMT群9%、慢性移植片対宿主病はそれぞれ53%と41%その結果、2年時点の全生存率は、PBSCT群が51%(95%信頼区間:45~57)、BMT群は46%(同:40~52)で、絶対格差は5%ポイント(同:-3~14)と両群間に有意差はみられなかった。生着不全の発生は、PBSCT群が3%(同:1~5)に対し、BMT群は9%(同:6~13)と有意に高率だった(p=0.002)。一方、移植2年後における慢性移植片対宿主病(GVHD)の発症率は、PBSCT群が53%(同:45~61)に対し、BMT群は41%(同:34~48)と有意に低率だった(p=0.01)。 なお、急性GVHDや再発率について、両群間に有意差はみられなかった。

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抗うつ薬だけじゃない!うつ病寛解を目指す「共同ケア」の効果は?

 うつ病に対する共同ケア(collaborative care)の有効性について評価した結果、抑うつおよび不安アウトカムが、通常ケアと比べて改善することが、英国・マンチェスター大学のArcher氏らによるシステマティックレビューの結果より示された。著者は、「抑うつ・不安症状を呈する成人患者の臨床治療に有用であることが示された」と結論している。Cochrane Database Syst Rev2012年10月17日号の報告。英国では、よくあるメンタルヘルスの問題として人口の最大15%が抑うつや不安症状を有すると推定されており、世界的にもこれらの症状の影響や負荷を減らすための効果的な介入が求められている。共同ケアは、慢性疾患マネジメントモデルをベースとする複合的な介入で、メンタルヘルスのマネジメントにおいても有望視されている。 2012年2月までに、MEDLINEやEMBASEなどから関連する無作為化試験を登録しているCochrane Collaboration Depression, Anxiety and Neurosis Group(CCDAN)試験レジスターを検索した。適格試験は、抑うつまたは不安を呈するあらゆる年齢を対象とした共同ケアについての無作為化試験とした。2人の独立したレビュワーがデータ抽出を行い、バイアスリスクの検証とともに、標準化された平均差(SMD)およびリスク比(いずれも95%CIを伴う)を統合算出して検討した。結果の妥当性について感度解析も行った。主な結果は以下のとおり。・無作為化試験79件(関連性のある比較90件を含む)、参加者計2万4,308例を組み込んだ。・試験は、バイアスリスクにより差があった。・主要解析の結果、共同ケアモデルで治療されたうつ病成人患者は、介入が短期、中期、長期を問わず、抑うつ症状のアウトカムについて有意に顕著な改善を示した。短期介入のSMDは-0.34(95%CI:-0.41~-0.27)、RRは1.32(95%CI:1.22~1.43)、中期介入のSMDは-0.28(同:-0.41~-0.15)、RRは1.31(同:1.17~1.48)、長期介入のSMDは-0.35(同:-0.46~-0.24)、RRは1.29(同:1.18~1.41)であった。・しかしながら、これらの有意なベネフィットは、非常に長期にわたる介入においては示されなかった(RR:1.12、95%CI:0.98~1.27)。・不安症状のアウトカムについても同様の結果が示された。短期介入のSMDは-0.30(95%CI:-0.44~-0.17)、RRは1.50(95%CI:1.21~1.87)、中期介入のSMDは-0.33(同:-0.47~-0.19)、RRは1.41(同:1.18~1.69)、長期介入のSMDは-0.20(同:-0.34~-0.06)、RRは1.26(同:1.11~1.42)であった。・不安症状アウトカムについては、非常に長期にわたる介入の比較試験がなかった。・薬物療法、メンタルヘルスQOL、患者満足度を含んだ副次アウトカムでも、ベネフィットがあるとのエビデンスが認められた。しかし、身体的QOLに関するベネフィットについては、エビデンスが乏しかった。関連医療ニュース ・【学会レポート】抗うつ効果の予測と最適な薬剤選択 ・世界初!「WEB版」気分変動アンケート、その後の臨床に有益 ・うつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用

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冠動脈疾患発症予防薬が、心房細動患者の死亡に与えるインパクトは?

 心房細動が脳卒中のリスクであることは有名であるが、冠動脈疾患予防薬が心房細動患者に及ぼす影響については情報が限られていた。このたび、Wandell氏らは、冠動脈疾患予防薬が心房細動患者の全死亡に与える影響について解析した結果を発表した。Eur J Clin Pharmacol誌オンライン版2012年9月19日号掲載の報告。 解析の対象は、スウェーデンのプライマリケアセンター75施設よりデータの提供を受けた45歳以上の心房細動患者12,302例(男性6,660例)であった。Cox回帰分析を用いて、冠動脈疾患予防薬の全死亡に与える影響が、性別(男・女)、年齢別(80歳以上・80歳未満)に解析された。共変量は、年齢、心血管疾患の診断、教育レベルとされた。 主な結果は以下のとおり。・下記カテゴリーにおいて、抗凝固薬使用で低い死亡率が認められた 男性/80歳未満(補正HR 0.43、95 %信頼区間:0.31~0.61) 男性/80歳以上(補正HR 0.47、95 %信頼区間:0.32~0.69) 女性/80歳未満(補正HR 0.46、 95 %信頼区間:0.29~0.74)・下記カテゴリーにおいて、抗血小板薬使用で低い死亡率が認められた。 男性/80歳以上(補正HR 0.51、 95 %信頼区間:0.35~0.74)・下記カテゴリーにおいて、チアジド薬使用で低い死亡率が認められた。 男性/80歳未満(補正HR 0.68、 95 %信頼区間:0.48~0.96) 男性/80歳以上(補正HR 0.67、 95 %信頼区間:0.46~0.98)  女性/80歳以上(補正HR 0.70、 95 %信頼区間:0.52~0.94)・下記カテゴリーにおいて、スタチン使用で低い死亡率が認められた。 男性/80歳未満(補正HR 0.47、 95 %信頼区間:0.32~0.68)  女性/80歳未満(補正HR 0.54、 95 %信頼区間:0.35~0.82)

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世界初!「WEB版」気分変動アンケート、その後の臨床に有益

 WEBベースで行う気分変動調査(Mood Swings Questionnaire:MSQ)など自己診断双極性障害スクリーニングの尺度は、高い認容性を有し、良好なアウトカムに結びつくことが明らかにされた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のParker氏らが、WEB自己スクリーニング尺度の臨床への有用性を検討する公式では初となる試験の結果、報告した。Acta Psychiatr Scand誌オンライン版2012年10月5日号の掲載報告。 WEBベースのMSQを完了し双極性障害の可能性があると判定された人が、そのテストを有用だと判断したか、またその後に優れた臨床経過を有したかどうかを検討した。被験者のベースライン時とフォローアップ3ヵ月時点のデータを解析した。主な結果は以下のとおり。・MSQによるスクリーニングで「陽性」であった665例を対象とした。・MSQに対しては、有益である(informative)、有効である(validating)、または動機づけとなる(motivating)との回答がみられ、満足度は高かった。・被験者が双極性障害との診断を受けたのは、最初のうつ病エピソードから平均12年後であった。・大半が、正確な診断を求めたかどうかにかかわらず自己マネジメント戦略を実行した。・被験者を、スクリーニング後にとった行動の程度により3群に分け解析した。その結果、積極的な行動をとった人、診断確認を行った人は、試験期間中に、抑うつ症状、QOL、全体的な身体機能の改善が認められ、最もよい臨床経過をたどった。関連医療ニュース ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は… ・検証!向精神薬とワルファリンの相互作用 ・特定の抗うつ薬使用で脳内ヘモグロビン濃度が増加!:名古屋大学

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歩行補助器具の使用は変形性膝関節症に影響を与えるか

 高齢になると男女ともに歩行補助器具を使用する頻度が高く、使用開始の有意な理由は膝の痛みとバランスの問題であることが、米国・退役軍人医療センターのCarbone LD氏らによる「Health ABCスタディ」の前向きコホート研究から明らかとなった。本検討では、歩行補助器具と膝の痛みスコアあるいは膝関節腔狭小化の進行との間に一貫した関連は認められなかったが、著者はさらなる研究で、変形性膝関節症の進行と歩行補助器具使用との関連について調べる必要があると述べている。Arch Phys Med Rehabil誌オンライン版2012年10月4日号の掲載報告。 歩行補助器具(AWD)の使用発生を予測する因子を特定すること、AWD使用が変形性膝関節症の変化と関連しているかを調べることを目的とした。 Health ABC(Aging and Body Composition)スタディに参加した2,639例の高齢者を対象とし、AWD使用開始について追跡した。対象のうち、いわゆる膝痛がある人(サブセット)は874例だった。 主要評価項目は、追跡3年間における、AWD使用開始、疼痛スコアWOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)の平均値、X線で認められた膝関節腔の狭小化の頻度だった。 主な結果は以下のとおり。・AWD使用開始は、Health ABC全コホートで9%、膝痛サブセットで12%であった。・両グループにおいて使用開始が予想された因子は、年齢が73歳超[全コホートOR:2.07(95%CI:1.43~3.01)、膝痛サブセットOR:1.87(95%CI:1.16~3.03)]、黒人[各々OR:2.95(2.09~4.16)、OR:3.21(2.01~5.11)]、バランス機能が低率[各々OR:3.18(2.21~4.59)、OR:3.77(2.34~6.07)]だった。・平均WOMAC疼痛スコアは、AWD使用群とAWD非使用群いずれにおいても、時間とともにわずかに低下した。・AWD使用群28%、AWD非使用群20%で、少なくとも片膝における脛骨大腿関節の関節腔狭小化の進行がX線上で認められた。・AWD使用群12%、AWD非使用群14%で、少なくとも片膝における膝蓋大腿骨関節の関節腔狭小化の進行がX線上で認められた。・探索的解析において、AWDとWOMAC疼痛スコアあるいは膝関節腔狭小化の進行との間に一貫した関連性は認められなかった。

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子どもの問題行動に対する行動予防モデルSWPBISの影響

 SWPBIS(School-Wide Positive Behavioral Interventions and Supports)は、学校全体の積極的な介入と支援により、子どもの問題行動を予防するモデルである。教員の応対の変化や子どもの行動のニーズを満たすシステムや支援の開発によって、問題行動を減らすことを目的としており、現在アメリカ全域の16,000校を超える学校で実施されている。Bradshaw CP氏らは、SWPBIS有効性試験に基づき、子どもの問題行動と適応に対する介入の影響について報告した。Pediatrics誌 オンライン版2012年10月15日掲載報告。試験は37校の小学校で無作為化群間比較試験として実施された。対象は12,344人の小学生で、そのうち52.9%が男児であった。また、45.1%はアフリカ系アメリカ人で、46.1%は白人であった。約49%が無料または割引価格の食事サービスを提供されており、12.9パーセントは試験開始時に特別支援教育を受けていた。マルチレベル分析は教師の評価によって行われ、評価項目は子どもの問題行動、集中力、社会的および感情的機能、向社会的行動、訓告処分、停学(4学年の間に5回)であった。主な結果は以下のとおり。・SWPBISにより、子どもの問題行動、集中力、社会的および感情的機能、向社会的行動について有意な効果があったことが示された。・SWPBISを行った学校の子どもは、行っていない学校と比較して、訓告処分を受ける割合が33%少なかった。・幼稚園のときに初めてSWPBISを受けた児童において、効果が最も高い傾向があった。・調査結果より、SWPBISのトレーニング後は問題行動が減少し、向社会的活動や感情調節において改善効果があるという仮説が得られた。・SWPBISの仕組みは、小学生における問題の軽減と適応促進につながる有望な手法である。関連医療トピックス ・ロタウイルスの血清型と流行【動画】 ・睡眠時間の増減が子どもの情緒・落ち着きに与える影響

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自家造血幹細胞移植患者の血小板減少症、出血時に行う治療的輸血が有効

 自家造血幹細胞移植患者にみられる血小板減少症の治療では、従来の予防的血小板輸血よりも、出血発生時に行う治療的血小板輸血が有効なことが、ドイツ・Klinikum NurembergのHannes Wandt氏らの検討で示された。欧米では、血小板産生能低下に起因する重度の血小板減少症の標準治療は、毎朝の血小板数の測定値に基づくルーチンの予防的血小板輸血とされる。一方、治療的血小板輸血が新たな治療戦略として有望なことを示唆するパイロット試験の結果が知られているという。Lancet誌2012年10月13日号(オンライン版2012年8月7日号)掲載の報告。治療的血小板輸血の有用性を無作為化試験で評価研究グループは、血小板産生能低下による血小板減少症の新たな治療戦略である治療的血小板輸血の、輸血回数や安全性に及ぼす影響を評価する多施設共同非盲検無作為化試験を実施した。ドイツの8つの専門施設から強化化学療法を施行された急性骨髄性白血病患者(16~80歳)および自家造血幹細胞移植を施行された造血器腫瘍患者(16~68歳)が登録された。これらの患者が、出血の発生時に血小板輸血を行う群(治療的血小板輸血群)または毎朝血小板数を測定して≦10×109/Lの場合に予防的に血小板輸血を行う群(予防的血小板輸血群)に無作為に割り付けられた。 介入を行う担当医には治療割り付け情報がマスクされなかった。主要評価項目は血小板輸血の回数とした。平均輸血回数が33.5%低下、急性骨髄性白血病患者で非致死的重度出血が増加2005年2月1日~2010年3月31日までに396例(治療的血小板輸血群199例、予防的血小板輸血197例)が登録され、391例(197例、194例)が解析の対象となった。急性骨髄性白血病患者は190例で、そのうち治療的血小板輸血群が94例(年齢中央値54.0歳、男性49%)、予防的血小板輸血群は96例(54.0歳、48%)であり、自家造血幹細胞移植患者は201例で、そのうち治療的血小板輸血群が103例(55.0歳、60%)、予防的血小板輸血群は98例(56.5歳、63%)だった。患者1人当たりの平均輸血回数は、治療的血小板輸血群が1.63回と、予防的血小板輸血群の2.44回に比べ33.5%有意に低下した(p<0.0001)。そのうち急性骨髄性白血病患者では、治療的血小板輸血群が1.83回と、予防的血小板輸血群の2.68回よりも31.6%有意に低下し(p<0.0001)、自家造血幹細胞移植患者ではそれぞれ1.18回、1.80回と34.2%の抑制効果(p=0.0193)が認められた。自家造血幹細胞移植患者では大出血のリスクは増加しなかったが、急性骨髄性白血病患者では非致死的なgrade 4の出血(ほとんどが中枢神経系出血)のリスクが増大した。非致死的出血は15例にみられた。網膜出血が両群4例ずつのほか、治療的血小板輸血群で膣出血が1例、脳出血が6例に認められた。試験期間中に治療的血小板輸血群で致死的脳出血により2例が、大出血とは無関係の死因で両群5例ずつ、合計12例が死亡した。著者は、「治療的血小板輸血は自家造血幹細胞移植施行後の新たな標準的治療となる可能性があるが、急性骨髄性白血病では予防的血小板輸血を標準とすべきである」と結論し、「新たな治療戦略は、医療スタッフが十分な教育を受けて経験を積み、中枢神経系出血の初回徴候に対し適切なタイミングと方法で対処可能な場合に限り、血液疾患専門施設において使用すべきである」と指摘している。

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認知症患者における「せん妄診断」有用な診断ツールは…

 せん妄は、高齢者入院患者の50%に出現するといわれており、さまざまな悪影響を及ぼすため、対応方法の確立が急がれる。せん妄の診断ツールはいくつか開発されており、数々の報告がなされている。Morandi氏らは認知症患者にみられるせん妄の診断において、それぞれの診断ツールが有用であるかをシステマティックレビューにより解析した。J Am Geriatr Soc誌オンライン版2012年10月5日号の報告。 Pubmed、Emdase、Web of Science より、1960年1月~2012年1月の間に英語で出版された文献について検索を行った。文献には、せん妄のアセスメントツールについて標準的な基準に照らして検証された場合の研究が含まれていた。認知症の有無については、確立されている手段を用いた標準的な基準に基づいて評価されていた。条件を満たした研究結果をもとに、認知症患者におけるせん妄診断ツール研究のシステマティックレビューを行った。主な結果は以下のとおり。・基準を満たした研究は9報。1,569例のうち認知症患者は401例、せん妄を併発した認知症患者は50例であった。6種類のせん妄診断ツールが用いられていた。・CAM(Confusion Assessment Method)を用いた1報では、認知症患者の85%において高い特異性(96~100%)、および適度な感度(77%)が示された。・CAM-ICU(CAM for the Intensive Care Unit)を用いた2報の集中治療室における研究では、認知症患者23例で100%の感度と特異性が認められている。・脳波を用いた1報では、全ての認知症患者で感度67%、特異性91%であった。・各研究において、認知症の重症度やサブタイプによる影響は調査されていなかった。・認知症患者におけるせん妄診断に対し、エビデンスは限定的ではあるものの、診断ツールは有用であると考えられる。サンプル数が少ないため、さらなる研究が必要である。関連医療ニュース ・せん妄はアルツハイマー病悪化の危険因子! ・がん患者のせん妄治療に有効な抗精神病薬は… ・せん妄の早期発見が可能に

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血中プロニューロテンシン値、生活習慣病発症・死亡リスクと関連

 血中プロニューロテンシンが、生活習慣病に関するバイオマーカーとして期待できるのか、スウェーデン・ランド大学のOlle Melander氏らが検討した結果、空腹時血中プロニューロテンシン値が、糖尿病、心血管疾患、乳がんの発症、および全死亡率、心血管死亡率と有意に関連することが示されたと報告した。主に中枢神経系や消化管で発現する13-アミノ酸ペプチドのニューロテンシンは、実験的試験で満腹感や乳がん細胞の増殖を制御することが知られるが、乳がんや心血管代謝疾患の発症における役割、有用性についてはほとんどわかっていなかった。JAMA誌2012年10月10日号掲載報告より。血中プロニューロテンシン値と初回イベント・死亡発生との関連を評価 ニューロテンシンはvitroおよびin vivoでは不安定であることから、Melander氏らは、安定性117アミノ酸フラグメント(プレプロニューロテンシン/ニューロメディン前駆体ホルモンN末端由来)の空腹時血中濃度と、糖尿病、心血管疾患、乳がんの発症および死亡との関連を調べた。 1991~1994年に行われたベースライン検査で空腹時プロニューロテンシン値を測定した、住民ベースの試験「Malmo Diet and Cancer Study」の参加者4,632例を対象とした。 多変量Cox比例ハザードモデルにて、2009年1月までの長期追跡期間中の、ベースラインのプロニューロテンシン値と初回イベントまたは死亡との関連を調べた。被験者の追跡期間は、疾患により異なり中央値は13.2~15.7年にわたった。糖尿病、心血管疾患、心血管系の死亡発生と関連、女性では乳がんも 全体として、プロニューロテンシン値は、糖尿病(142件)[ハザード比(HR):1.28、95%信頼区間(CI):1.09~1.50、p=0.003]、心血管疾患(519件)(同1.17、1.07~1.27、p<0.001)、心血管系の死亡(174件)(同1.29、1.12~1.49、p=0.001)の発生リスクと関連がみられた。また、心血管疾患リスクにおいてはプロニューロテンシンと性との交互作用が有意であった(p<0.001)。 女性だけでみると、プロニューロテンシン値は、糖尿病(74件)(同1.41、1.12~1.77、p=0.003)心血管疾患(224件)(同1.33、1.17~1.51、p<0.001)、乳がん(123件)(同1.44、1.21~1.71、p<0.001)、全死亡率(285件)(同1.13、1.01~1.27、p=0.03)、心血管系の死亡率(75件)(同1.50、1.20~1.87、p<0.001)の発生と関連していた。

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アルツハイマー病の興奮、抗精神病薬をどう使う?

 アルツハイマー病患者にしばしばみられる精神症状や興奮、攻撃性に苦慮することは少なくない。このような症状に対し抗精神病薬が使用されることもあるが、使用中止による症状再発の危険性は確立されていない。Devanand氏らは、アルツハイマー病患者の精神障害や興奮に対する抗精神病薬の使用を中止した際の再発リスクを検証した。N Engl J Med誌2012年10月18日号の報告。 精神障害や興奮、攻撃性により抗精神病薬リスペリドンを16週間投与されたアルツハイマー病患者を対象としたオープンラベル試験。リスペリドンによる治療に反応した患者を二重盲検により以下3群に割り付けた。第1群はリスペリドンを32週間継続投与、第2群はリスペリドン投与を16週間行った後、プラセボを16週間投与、第3群はプラセボを32週間投与。主要評価項目は精神障害および興奮の再発までの期間とした。主な結果は以下のとおり。・180例の患者がリスペリドンの投与を受けた(平均用量:0.97㎎/日)。・精神障害や興奮の重症度は減少したが、錐体外路症状の軽度な増加が認められた。112例の患者が治療反応基準を満たし、そのうち110例に無作為化が行われた。・無作為化後、最初の16週では、プラセボ投与群はリスペリドン投与群と比較し、再発率が高かった(60% [第3群:24例/40例] vs 33% [第1、2群:23例/70例];p=0.004、プラセボ群のハザード比:1.94、 95%CI:1.09 ~3.45;p=0.02)。・次の16週間では、プラセボに切り替えた群はリスペリドン継続投与群と比較して、再発率が高かった(48% [第2群:13例/27例] vs 15% [第1群:2例/13例];p=0.02、ハザード比:4.88、95% CI:1.08~21.98;p=0.02)。・少ない患者数での比較ではあるが、無作為化後の各群における有害事象および死亡率について、とくにはじめの16週において有意な差は認められなかった。・精神障害や興奮のためリスペリドンを4~8ヵ月投与されたアルツハイマー病患者では、リスペリドン中止と症状再発リスクとの関連が認められた。関連医療ニュース ・せん妄はアルツハイマー病悪化の危険因子! ・認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は? ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?!

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〔CLEAR! ジャーナル四天王(27)〕 Consectiveに患者を研究に組み入れる

プライマリケア医の重症疾患を予測する直感を、16歳未満の小児の患者を対象に、重症感染症による入院をアウトカムとして検討した前向き研究である。 この研究の特徴は、一つはプライマリケア医が行ったという点、もう一つは前向きの連続症例で行われている点だろう。原文での記載は以下のごとくである。‘3981 children and young people aged 0-16 years who had consecutively presented with an acute illness for a maximum of five days to primary care settings in Flanders, Belgium’ この「consecutively」という単語が肝である。 何気ない一語であるが、これは研究期間中、対象となる患者をすべてもれなく研究に組み入れたことを示している。なぜこの連続に組み入れることが重要なのか。それは選択バイアスを避けた代表性のあるデータをとるためである。ある曜日はスタッフが十分でないので対象から外した、忙しい時間帯の患者は外した、ということであれば、データの代表性が損なわれる。この研究はそうした操作をせず、期間中に来た患者はすべて研究対象にしたことを明確に述べている。 プライマリケア医が、自分自身のクリニックで、すべての患者を対象にして行う研究というのは、プライマリケア医しかできない研究である。ぜひ私もそうした研究を行いたいものである。

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外傷性出血患者へのトラネキサム酸投与、重症度を問わず死亡リスクを減少

 外傷性出血患者の死亡および血栓イベントに関するトラネキサム酸(商品名:トランサミンほか)投与の効果について検討した、国際多施設共同無作為化試験「CRASH-2」データ解析の結果、トラネキサム酸投与は重症度を問わず幅広い患者に、安全に投与可能であることが明らかにされた。英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのIan Roberts氏らによる報告で、BMJ誌2012年10月6日号(オンライン版2012年9月11日号)で発表した。ベースライン死亡リスク別にみたトラネキサム酸使用との関連を評価 CRASH-2試験は、トラネキサム酸投与により回避できた可能性がある早期死亡の割合を推定することを目的とする。研究グループは、同試験データを用いて事前特定した層別解析を行った。 被験者は、UK Trauma and Audit Research Networkに登録された1万3,273例で、外傷受傷後3時間以内に、トラネキサム酸(1gを10分超で、続いて1gを8時間超で)またはプラセボにより処置された。被験者はベースラインで死亡リスクにより階層化(<6%、6~20%、21~50%、>50%)された。 主要評価項目は、ベースライン死亡リスク別にみたトラネキサム酸使用との関連についての、オッズ比と95%信頼区間(CI)で、外傷4週以内の院内死亡、出血による死亡、致死的または非致死的血栓イベントとの関連について評価した。 有効性の不均一性(p<0.001)の強いエビデンスがない限り、全体オッズ比は全階層において最も確実なオッズ比を導くものとして利用された。死亡リスク<6%群17%、6~20%群36%、21~50%群30%、>50%群17%が死亡回避可 結果、トラネキサム酸群は、全死因死亡および出血による死亡が有意に減少した。 ベースライン死亡リスク階層群のいずれにおいても、トラネキサム酸群の死亡が低かった。 全死因死亡(相互作用p=0.96)、および出血死亡(p=0.98)とも、ベースライン死亡リスク階層群によるトラネキサム酸の効果について不均一性のエビデンスはなかった。 トラネキサム酸の治療を受けた患者では、致死的または非致死的血栓イベントのオッズ比が有意に減少した(オッズ比:0.69、95%CI:0.53~0.89、p=0.005)。また動脈血栓イベントも有意に減少した(同:0.58、0.40~0.83、p=0.003)。しかし、静脈血栓イベントの減少は有意ではなかった(同:0.83、0.59~1.17、p=0.295)、 トラネキサム酸の血栓イベントについて、不均一性のエビデンスはなかった(p=0.74)。 トラネキサム酸の効果が全リスク階層で同等である場合、受傷後3時間以内でトラネキサム酸投与を受けたことによる死亡回避の割合は、死亡リスク<6%群で17%、同6~20%群で36%、同21~50%群で30%、同>50%群で17%であった。

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未就学児の子をもつ父母の育児ストレスと幸福度の要因は?

ノルウェーのSkreden氏らによって、未就学の子を持つ父母の育児ストレスと幸福度を比較し、育児ストレスの要因と、それらを心理的苦痛や不安と区別する検討が実施された。Scand J Public Health誌オンライン版2012年10月5日号の報告。対象は1~7歳の子を持つ256人の母親と204人の父親で、育児ストレスの評価にはスウェーデンの親子のストレス調査票(SPSQ)を用いた。幸福度は精神健康調査票28項目版(GHQ-28)、心理的苦痛や不安は状態不安尺度(STAI-X1)により評価した。その結果、父親は著しい社会的孤立が報告されたものの、母親に比べて役割の制限や無力感、状態不安は少なかった。また、SPSQ、GHQ-28、およびSTAI-X1によって、育児の役割と直接関連するストレスに苦しむ両親と、幸福度が減少した両親とを対比するスクリーニングが可能となると結論付けた。主な結果は以下のとおり。・父親では母親に比べて、著しい社会的孤立が報告された(p<0.001)が、他のすべての指標において、母親において父親より高いストレス値と低い幸福度が示された。・不安と心理的苦痛は、父親と母親の両方で育児ストレスの強い予測因子であった。・母親の育児ストレスの予測因子は、次の子の誕生と子どもの低年齢であった。・高学歴は父親の役割制限を増大させ、母親の健康問題を起こすと予測された。・SPSQ、GHQ-28、およびSTAI-X1の主成分分析(PCA)はすべてのエンドポイントに正の相関があることを示した。関連医療トピックス ・ロタウイルスワクチンの予防効果と安全性 ・ロタウイルスワクチンの定期接種、入院および死亡を低下 ・幼児の異物誤嚥、母親の知識は十分か?

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アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは?

 双極性障害は再発性の躁症状やうつ症状、混合エピソードなど複雑な症状を有する。双極性障害患者の急性期または長期治療においては、症状やエピソードの再発を抑制することが重要である。しかし、単剤での薬物治療のアウトカムは不十分である。そのため、単剤療法で効果が認められない患者や効果不十分な患者に対しては、気分安定薬と抗精神病薬を組み合わせて治療することも少なくない。併用による治療のメリットは大きいものの、副作用発現率上昇に対しては注意を払う必要がある。イタリアのAndrea de Bartolomeis氏らは双極性障害患者に対する急性期および長期の治療において、アリピプラゾールと気分安定薬の併用が有用であるかどうかに関する専門家の意見をまとめた。Expert Opin Pharmacother誌オンライン版2012年9月4日号の報告。主な結果は以下のとおり。・双極Ⅰ型障害患者に対する急性期および長期の治療において、アリピプラゾールと気分安定薬の併用は効果的かつ相対的に良好な忍容性を示す。・多剤での併用療法と比較し、代謝系副作用のリスクが低いことが示された。しかし、長期治療においては錐体外路系副作用のリスクを増大させる可能性がある。・アリピプラゾールとバルプロ酸の併用は、とくに不安や薬物乱用、強迫性障害を合併している双極性障害患者や混合うつ病性障害患者に有用である。関連医療ニュース ・難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 ・うつ病患者の5/1が双極性障害!“躁症状”見つけ方 ・抗精神病薬アリピプラゾール併用による相互作用は?

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「片頭痛の慢性化」と「うつ」の関係

 頭痛は精神的なストレスと密接に関係しており、うつ病と頭痛の関係についてさまざまな報告がなされている。アルバート・アインシュタイン医科大学(米国ニューヨーク州ブロンクス)のAshina氏らは、片頭痛の慢性化とうつ病との関係を検討した。J Headache Pain誌オンライン版2012年9月25日号の報告。 2004年のAmerican Migraine Prevalence and Prevention(AMPP)研究で激しい頭痛を有していた患者24,000例をフォローアップし、2005年~2006年に片頭痛エピソードがみられた患者が翌年慢性片頭痛を発症するかを、ランダム効果ロジスティック回帰分析を用い検討した。うつ病は、こころとからだの質問票(PHQ-9スコア)15以上と自己申告診断の2つの方法で評価した。分析は、社会人口統計、BMI、頭痛の強さ・頻度・重症度、皮膚異痛症、急性薬物乱用、抗うつ剤の使用や不安など、複数の共変量にて調整した。主な結果は以下のとおり。・2005年に片頭痛エピソードがみられた患者6,657例のうち、翌年160例(2.4%)が慢性片頭痛を発症した。また、2006年に片頭痛エピソードがみられた患者6,852例のうち、翌年144例(2.2%)が慢性片頭痛を発症した。・完全調整後の結果によると、うつ病は慢性片頭痛発症の有意な予測因子であることが示された(OR 1.65、95%CI:1.12~2.45)。・うつ病でない人や軽度うつ病患者と比較した慢性片頭痛発症の相対リスクは、中等度患者(OR 1.77、95%CI:1.25~2.52)、重度患者(OR 2.35、95%CI:1.53~3.62)、非常に重度な患者(OR 2.53、95%CI:1.52~4.21)であった。・片頭痛エピソードを有する患者において、うつ病は慢性片頭痛発症リスク増加との関連が認められた(社会人口統計学的変数や頭痛の特性で調整後)。関連医療ニュース ・検証!「痛み」と「うつ」関係は? ・うつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用 ・うつ病の予測因子は青年期の「腹痛」?

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ロタウイルスワクチン承認後、胃腸炎関連の救急コールサービスが減少

 ロタウイルスワクチン承認前後の地域救急コールサービスの変化を調べた結果、承認後は胃腸炎関連コールが減少し、そのピークが従来のロタウイルスシーズンよりも前倒しとなり、ノロウイルスとの関連を示すものに変化していたことが報告された。米国・ヴァンダービルト医科大学のWilliams DJ氏らがテネシー州で調べた結果で、「現在の地域の胃腸炎の病原体はノロウイルスであることが強調されるところとなった」と述べている。Pediatrics誌オンライン版2012年9月10日号の報告。 テネシー州の広域電話トリアージ・サービスにおける胃腸炎関連コールについて、ロタウイルスワクチン接種導入の影響を評価した。2004年5月1日~2010年4月30日の間、Vanderbilt Telephone Triage Programによる全コールサービスおよび胃腸炎関連コールサービスを受けた5歳未満児について調べた。 時系列ポアソン回帰モデルを用いて、ワクチン承認前(2004年5月~2007年4月)と承認後(2007年5月~2010年4月)の胃腸炎関連コールの週間比率を比較した。また独立モデルで、ロタウイルスシーズン(2~4月)と非ロタウイルスシーズン(5~1月)についても比較した 主な結果は以下のとおり。・全コール件数は15万6,362件、胃腸炎関連コールは1万9,731件であった。・胃腸炎関連コールの年間比率は、ロタウイルスワクチン承認後8%(95%信頼区間:3~12%)減少した。承認後3年間のロタウイルスシーズン期間中に31%から23%へと低下した。・非ロタウイルスシーズンには、低下は起きていなかった。・ワクチン承認後、ロタウイルス活性の低下と、胃腸炎関連のコール比率低下との関連が認められた。・ワクチン承認後の胃腸炎関連コール比率のピークは、ワクチン承認以前よりも早い段階に起きていた。またロタウイルスとの強い関連は認められず、代わってノロウイルス流行とかなり相関関係があることが示された。

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多発性硬化症に対する新規経口薬BG-12、年間再発リスクを低下

 再発寛解型多発性硬化症に対し、新規開発中の経口薬BG-12(フマル酸ジメチル)は、プラセボと比較して長期の年間再発リスクを低下し、神経放射線学的転帰が有意に改善したことが示された。BG-12に関する第3相無作為化プラセボ対照試験「Comparator and an Oral Fumarate in Relapsing-Remitting Multiple Sclerosis:CONFIRM」の結果、報告されたもので、米国・クリーブランドクリニックのRobert J. Fox氏らが、NEJM誌2012年9月20日号で発表した。再発寛解型多発性硬化症は、一般に非経口薬(インターフェロンやグラチラマー酢酸塩)で治療されている。1,400例超を4群に分け2年間追跡、年間再発率を比較試験は28ヵ国、200ヵ所の医療機関で、再発寛解型多発性硬化症の患者1,417例を登録して行われた。研究グループは被験者を4群に分け、1群にはBG-12 240mgを1日2回投与、別の群には同1日3回投与、さらに別の群にはグラチラマー酢酸塩20mgを1日1回皮下注射、もう一群にはプラセボをそれぞれ投与した。被験者の平均年齢は、36~37歳、女性被験者の割合が約7割だった。主要エンドポイントは、2年時点の年間再発率だった。試験は、グラチラマー酢酸塩に対するBG-12の優位性や非劣性を検証するようにはデザインされなかった。240mgを1日2回投与で再発の相対リスクは44%減、3回投与で51%減その結果、2年時点の年間再発率は、BG-12 1日2回投与群が0.22、同1日3回投与群が0.20、グラチラマー酢酸塩群が0.29、プラセボ群が0.40であり、試験薬および実薬群はいずれもプラセボより有意に低下した。相対リスク減少率はそれぞれ、44%(p<0.001)、51%(p<0.001)、29%(p=0.01)だった。MRI診断では、BG-12 1日2回群、同1日3回群、グラチラマー酢酸塩群ともに、プラセボと比較してT2強調画像による高信号部の新たな出現または増大(3群ともp<0.001)が有意に少なかった。T1強調画像による低信号部の新たな病変(各群p<0.001、p<0.001、p=0.002)の数も有意に減少した。有害事象としてプラセボ群に比べ高率に認められたのは、顔面紅潮、BG-12群での胃腸症状などだった。一方、BG-12群での悪性新生物や日和見感染は認められなかった。

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多剤耐性結核、PA-824を含む3剤併用レジメンが有望

 薬剤感受性の多剤耐性結核の新規治療法として、PA-824+モキシフロキサシン+ピラジナミド併用療法は適切なレジメンであり、今後、開発を進める価値があることが、南アフリカ共和国Stellenbosch大学のAndreas H Diacon氏らの検討で示された。薬剤抵抗性の結核による世界的な疾病負担を軽減するには、投与期間が短く耐性になりにくい新規薬剤の開発が求められる。近年、種々の新規抗結核薬の臨床評価が進められ、なかでもbedaquiline(ジアリルキノリン、TMC207)とPA-824(nitroimidazo-oxazine)は用量依存性の早期殺菌活性(early bactericidal activity; EBA)が確認され有望視されている。Lancet誌2012年9月15日号(オンライン版2012年7月23日号)掲載の報告。6つのレジメンのEBAを無作為化試験で評価研究グループは、肺結核に対する新規多剤併用レジメン14日間投与法の将来的な開発の適合性を評価するために、EBAに関するプロスペクティブな無作為化試験を行った。2010年10月7日~2011年8月19日までに、南アフリカ・ケープタウン市の病院に入院した薬剤感受性の単純性肺結核患者(18~65歳)を対象とした。これらの患者が、bedaquiline単独、bedaquiline+ピラジナミド、PA-824+ピラジナミド、bedaquiline+PA-824、PA-824+モキシフロキサシン+ピラジナミドあるいは陽性対照としての標準的抗結核治療(イソニアジド+リファンピシン+ピラジナミド+エタンブトール)を施行する群に無作為に割り付けられた。治療開始前の2日間、夜間の喀痰を採取し、開始後は毎日、薬剤投与までに喀痰を採取した。喀痰の液体培養中のM tuberculosisのコロニー形成単位(CFU)および陽性化までの時間(TTP)を測定した。主要評価項目は14日EBAとし、喀痰1mL中のlog10CFUの毎日の変化率を評価した。3剤併用レジメンのEBAが最良、標準治療に匹敵85例が登録され、標準治療群に10例、各治療レジメン群には15例ずつが割り付けられた。平均14日EBAは、PA-824+モキシフロキサシン+ピラジナミド群(13例、0.233[SD 0.128])が最も優れ、bedaquiline単独群(14例、0.061[SD 0.068])やbedaquiline+ピラジナミド群(15例、0.131[0.102])、bedaquiline+PA-824群(14例、0.114[0.050])との間に有意差を認めたが、PA-824+ピラジナミド群(14例、0.154[0.040])とは有意な差はなく、標準治療(10例、0.140[SD 0.094])との同等性が確認された。いずれのレジメンも忍容性は良好で、安全性が確かめられた。PA-824+モキシフロキサシン+ピラジナミド群の1例が、プロトコールで事前に規定された判定基準に基づき、補正QT間隔の過度の延長で治療中止となった。著者は、「PA-824+モキシフロキサシン+ピラジナミド併用療法は少なくとも標準治療と同等の有効性を示し、薬剤感受性の多剤耐性結核菌の治療として適切なレジメンである可能性が示唆される」と結論し、「多剤併用療法のEBA試験は、新たな抗結核治療レジメンの開発に要する時間の短縮化に寄与する可能性がある」と指摘している。

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早漏治療にはSSRI、トラマドールが有効?!

 早漏の原因として、ノルアドレナリンやセロトニンなどの自律神経のバランス異常があると考えられている。これらノルアドレナリンやセロトニンの調整にはSSRIやSNRIなどの抗うつ薬が有する薬理作用が有効であるとも考えられる。中国のTao Wu氏らは、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込み阻害作用を有するがん疼痛治療剤トラマドールの早漏治療に対する有効性および安全性に関してメタアナリシスを行い検討した。Urology誌2012年9月号(オンライン版2012年7月26日号)の報告 Cochrane Library、MEDLINE、EMBASE、Science Citation Index Expandedを用いメタアナリシス、ランダム化および非ランダム化前向き試験を含む文献の検索を行った。エンドポイントは膣内射精潜時(分単位)、有害事象、患者報告によるアウトカム評価。膣内射精までの平均延長時間の差(mean difference)と有害事象を測定するためのオッズ比を算出した。オッズ比はランダム効果モデルまたは固定効果モデルを用いてプールし、異質性に関しても検証した。分析にはコクランのReview Manager (RevMan) 5.1ソフトを用いた。主な結果は以下のとおり。・適格基準を満たす報告は7報あった。・抽出データのメタアナリシスでは、トラマドールはプラセボと比較し膣内射精潜時を3分延長したが(mean difference:2.77分、95%CI:1.12~4.47、p=0.001)、有害事象発現率は有意に多かった(オッズ比:2.89、95%CI:1.88~4.43、p

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