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4001.

乳幼児の急性細気管支炎、アドレナリン単剤の有効性示すエビデンス

2歳以下の乳幼児の急性細気管支炎に救急部外来で対処する場合、第1日の入院リスクを最も低減する治療法はアドレナリン(エピネフリン)単剤であることが、カナダAlberta大学小児科のLisa Hartling氏らの検討で示された。急性細気管支炎の治療法は世界中で大きなばらつきがみられ、それぞれの事情に基づいて異なる気管支拡張薬やステロイド薬が使用されている。系統的なレビューがいくつか実施されているが、個々の治療選択肢に関する信頼性の高いエビデンスはいまだに確立されていないという。BMJ誌2011年4月9日号(オンライン版2011年4月6日号)掲載の報告。乳幼児の急性細気管支炎の至適治療法に関するメタ解析研究グループは、2歳以下の乳幼児の細気管支炎の急性期管理における気管支拡張薬とステロイド薬の単剤あるいは併用療法の有効性と安全性について系統的にレビューし、メタ解析を行った。データベース(Medline、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Scopus、PubMed、LILACS、IranMedEx)、関連学会プロシーディング、臨床試験登録を検索して、喘鳴を伴う細気管支炎を初めて発症した生後24ヵ月以下の乳幼児を対象に、気管支拡張薬とステロイド薬の単剤あるいは併用療法を、プラセボあるいは他の介入法(別の気管支拡張薬やステロイド薬、標準治療)と比較した無作為化対照比較試験を抽出した。2名のレビューワーが、患者選択基準やバイアスのリスクなどに関して各試験の評価を行った。主要評価項目は、外来患者の入院(第1日、第7日まで)および入院患者の入院期間であった。メタ解析には変量効果モデル(random effects model)を用い、全介入法を同時に比較するためにベイジアン・ネットワーク・モデル(Bayesian network model)による混合治療比較法(mixed treatment comparison)を使用した。1週間までの入院リスクの低減にはアドレナリン+デキサメタゾン併用療法が有用48試験(4,897例)が解析の対象となった。バイアスのリスクは、「低い」が17%(8試験)、「高い」が31%(15試験)、「不明」が52%(25試験)であった。プラセボとの比較において第1日の入院を有意に低減したのはアドレナリン単剤のみであった[920例のプール解析によるリスク比:0.67、95%信頼区間(CI):0.50~0.89、ベースラインの入院リスクが20%の場合に1例の入院を回避するのに要する治療例数(NNT):15、95%CI:10~45]。第7日までの入院の有意な低減効果を認めたのは、バイアスのリスクが低いと判定された1つの大規模試験(400例)で示されたアドレナリン+デキサメタゾン併用療法であった(リスク比:0.65、95%CI:0.44~0.95、ベースラインの入院リスクが26%の場合のNNT:11、95%CI:7~76)。混合治療比較法による解析では、外来患者に対する好ましい治療法としてアドレナリン単剤(第1日の入院を基準とした場合に最良の治療法である確率:45%)およびアドレナリン+ステロイド薬併用療法(同:39%)が示された。有害事象の報告に治療法による差は認めなかった。入院患者の入院期間については、明確な効果を示した介入法は確認されなかった。著者は、「急性細気管支炎の乳幼児に救急部外来で対処する場合、第1日の入院リスクを最も低減する治療法はアドレナリン単剤であり、アドレナリン+デキサメタゾン併用療法は第7日までの入院リスク低減に有用であることを示すエビデンスが得られた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

4002.

青年期のBMI高値は糖尿病、冠動脈心疾患の有意な予測因子

青年期のBMI高値は、中年となった現在の値が標準とみなされる範囲の値であっても、中年期の肥満関連の疾患の予測因子となるなど、これまで明確にされていなかった青年期から成人期のBMI値と若年成人期の肥満関連の疾患との関連が明らかにされた。米国・ブリガム&ウィメンズ病院内分泌学・糖尿病・高血圧部門のAmir Tirosh氏らが、イスラエル軍医療部隊の定期健診センターを通じて得られたデータを前向きに調査した「MELANY試験」の結果による。NEJM誌2011年4月7日号掲載報告より。3万7,674例のBMI値の17歳時からの推移と糖尿病、冠動脈心疾患発症を前向きに追跡MELANY(Metabolic, Lifestyle, and Nutrition Assessment in Young Adults)試験は、イスラエル軍医療部隊の定期健診センターを通じて得られた3万7,674例の外見上は健康な若い男性を対象としたのもので、血管造影で確認された冠動脈心疾患および糖尿病の発症について前向きに追跡された。部隊で最初に健診が行われたのは被験者が17歳時で、身長および体重が測定され、その後定期的に同測定が行われた。冠動脈心疾患発症プロセスは糖尿病発症プロセスよりも緩徐であるとの仮説が支持される平均追跡期間17.4年、約65万人・年追跡において、2型糖尿病発症は1,173例、心血管疾患発症は327例であった。年齢、家族歴、血圧、生活習慣因子、血中バイオマーカーで補正後の多変量モデル解析の結果、青年期のBMI値(被験者の十分位平均値範囲:17.3~27.6)が高いことは、糖尿病の有意な予測因子となり(最高十分位範囲 vs. 最低十分位のハザード比:2.76、95%信頼区間2.11~3.58)、また心血管疾患の有意な予測因子となる(同:5.43、同2.77~10.62)ことが示された。さらに成人期のBMIで補正すると、青年期BMIと糖尿病との関連は完全に断ち切られたが(ハザード比:1.01、95%信頼区間:0.75~1.37)、冠動脈心疾患との関連は継続した(同:6.85、3.30~14.21)。BMI値を多変量モデルにおける連続変数として補正すると、糖尿病と有意な関連は成人期BMI高値のみに認められた(β=1.115、P=0.003、交互作用のP=0.89)。対照的に冠動脈心疾患は、青年期(β=1.355、P=0.004)と成人期(β=1.207、P=0.03)の両時期のBMI高値との独立した関連が認められた(交互作用のP=0.048)。研究グループは、「青年期のBMI高値は、中年となった現在のBMI値が標準とみなされる値であっても、中年期の肥満関連の疾患の予測因子となる」と結論。また、「糖尿病のリスクは主として診断された時期に近いBMI高値と関連するが、冠動脈心疾患のリスクは青年期と成人期の両時期のBMI高値と関連しており、冠動脈心疾患、特にアテローム性動脈硬化の発症プロセスは糖尿病の発症プロセスよりも緩徐であるという仮説を支持するものである」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

4003.

子宮摘出歴のある閉経後女性、エストロゲン投与中止後のアウトカム

子宮摘出歴のある閉経後女性で、エストロゲンを服用(5.9年)し、その後服用を中止した人の追跡10.7年時点における冠動脈心疾患や深部静脈血栓症(DVT)、股関節骨折の年間発生リスク増大との関連は、いずれも認められないことが明らかにされた。米国・Fred Hutchinsonがん研究センターのAndrea Z. LaCroix氏らが、被験者1万人超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験で、予定より早期にエストロゲン投与を中止した人についての、その後のアウトカムを追跡した結果による。JAMA誌2011年4月6日号で発表した。エストロゲン投与中止後、約7,600人について3年超追跡LaCroix氏らは、1993~2004年にかけて、1万739人の子宮摘出歴のある、50~79歳の閉経後女性を無作為に2群に分け、一方には結合型ウマエストロゲン0.625mg/日を、もう一方にはプラセボを投与するWHIエストロゲン単独療法試験(Women's Health Initiative Estrogen-Alone Trial)を開始した。追跡期間中、エストロゲン群の脳卒中リスク増加が認められたため、試験開始後平均7.1年の時点で投与は中止となった。エストロゲン服用期間の中央値は、5.9年だった。その後、被験者のうち7,645人について、2009年8月まで試験開始から平均10.7年追跡した。試験期間全体の乳がんリスク、エストロゲン群はプラセボ群の0.77倍結果、エストロゲン投与中止後の冠動脈心疾患の年間発症リスクは、エストロゲン群が0.64%に対し、プラセボ群が0.67%と、両群で有意差はなかった(ハザード比:0.97、95%信頼区間:0.75~1.25)。乳がんの年間発症リスクも、エストロゲン群が0.26%、プラセボ群が0.34%(同:0.75、同:0.51~1.09)と有意差はなく、年間総死亡リスクも各群1.47%、1.48%(同:1.00、同:0.84~1.18)と有意差は認められなかった。服用中止後の脳卒中リスクについても、エストロゲン群0.36%に対しプラセボ群0.41%、DVTリスクも各群0.17%と0.27%、股関節骨折リスクも0.36%と0.28%と、いずれも両群で有意差はみられなかった。試験期間全体では、乳がんリスクはプラセボ群が0.35%に対しエストロゲン群が0.27%と、有意に低率だった(ハザード比:0.77、同:0.62~0.95)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

4004.

主要評価項目がネガティブな企業助成試験はサブグループ解析の報告頻度が高い

企業助成金の拠出を受けた無作為化対照比較試験は、主要評価項目に統計学的な有意差がない場合に、企業助成のない試験に比べサブグループ解析の報告を行う頻度が有意に高いことが、カナダ・マクマスター大学のXin Sun氏らの調査で示された。影響力の強いジャーナルに掲載された論文の60%、心血管領域の論文の61%、外科領域の論文の37%がサブグループ解析の報告を行っているとのデータがあるが、事前に規定されたサブグループ解析や、交互作用に関して正規の検定を行っているものは少ないという。BMJ誌2011年4月2日号(オンライン版2011年3月28日号)掲載の報告。サブグループ解析の報告と企業助成の有無との関連を系統的にレビュー研究グループは、無作為化対照比較試験のサブグループ解析の報告頻度に及ぼす、企業による助成金拠出の影響を評価するために、系統的なレビューを行った。Medlineを検索して、2007年に118のコア・ジャーナル(National Library of Medicineの規定による)誌上に掲載された無作為化対照比較試験のうち、影響力の強いジャーナル(2007年の総引用数が最も多い上位5誌:Annals of Internal Medicine、BMJ、JAMA、Lancet、New England Journal of Medicine)とそれ以外のジャーナルの掲載論文が1対1の割合になるように1,140編(570編ずつ)が無作為に選出された。2名のレビュアーが別個に適格基準を満たす報告を選択し、データを抽出した。明確な判定基準を用いてサブグループ解析の報告を行っている無作為化対照比較試験を同定した。ロジスティック回帰分析を行い、事前に規定された試験の特性とサブグループ解析の報告の有無との関連を評価した。事前に規定されたサブグループ解析や交互作用検定の頻度は有意に低い469編の無作為化対照比較試験(影響力の強いジャーナル掲載論文219編、それ以外のジャーナル掲載論文250編)のうちサブグループ解析の報告を行っていたのは207編(44%)であった。影響力の強いジャーナル掲載論文(調整オッズ比:2.64、95%信頼区間:1.62~4.33、p<0.001)、非外科領域の論文(外科領域論文との比較、同:2.10、1.26~3.50、p=0.005)、サンプルサイズの大きい論文(同:3.38、1.64~6.99、p=0.001)で、サブグループ解析の報告の頻度が高かった。企業の助成金拠出とサブグループ解析報告の関連の強さは、主要評価項目に有意差を認めた場合と認めなかった場合で有意に異なっており(交互作用の検定:p=0.02)、主要評価項目に有意差がない試験では、企業助成がない場合よりも助成がある場合にサブグループ解析の報告が多かった(調整オッズ比:2.29、95%信頼区間:1.30~4.72、p=0.005)。主要評価項目に有意差がある試験には、このようなサブグループ解析の報告頻度の差は認めなかった(同:0.79、0.46~1.36、p=0.91)。企業助成金の拠出を受けた試験は助成のない試験に比べ、事前に仮説を立てて規定されたサブグループ解析の報告頻度が有意に低く(31.3% vs.38.0%、調整オッズ比:0.49、95%信頼区間:0.26~0.94、p=0.032)、サブグループの効果解析の交互作用検定を行う頻度も低かった(41.4% vs. 49.1%、同:0.52、0.28~0.97、p=0.039)。著者は、「企業助成金の拠出を受けた無作為化対照比較試験は、主要評価項目に統計学的な有意差がない場合に、助成のない試験に比べサブグループ解析の報告を行う頻度が有意に高く、事前に規定されたサブグループ解析や交互作用検定を実施する頻度が有意に低かった」とまとめ、「主要評価項目の結果がネガティブであった企業助成試験のサブグループ解析には警戒を要する」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

4005.

中等症~最重症COPD患者の増悪予防に有効なのは?

中等症~最重症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の増悪予防には、LABA(長時間作用性β2刺激薬)のサルメテロール(商品名:セレベント)よりも、長時間作用性抗コリン薬のチオトロピウム(商品名:スピリーバ)のほうが有効であることが、7,300例超を対象とした1年間の無作為化二重盲検ダブルダミー並行群間比較試験の結果示された。COPD治療ガイドラインでは、同患者の症状軽減と増悪リスク低下に対して長時間作用性の吸入気管支拡張薬が推奨されているが、LABAもしくは長時間作用性抗コリン薬のいずれが推奨されるかは明らかではない。ドイツ・Giessen and Marburg大学病院Claus Vogelmeier氏ら「POET-COPD」研究グループは、長時間作用性抗コリン薬がLABAよりも優れているのかどうかを検討するため、25ヵ国725施設共同で本試験を行った。NEJM誌2011年3月24日号掲載より。チオトロピウム群とサルメテロール群に無作為化、初回増悪発生までの期間を主要エンドポイントに試験は、中等症~最重症COPD(40歳以上、喫煙10箱・年以上、GOLD II~IVなど)で前年に増悪の既往がある患者を対象とし、無作為に、チオトロピウム18μg・1日1回投与群もしくはサルメテロール50μg・1日2回投与群に割り付け、中等度~重度の増悪発作に対する治療効果を比較した。主要エンドポイントは、初回増悪発生までの期間とした。被験者は2008年1月から2009年4月の間、計7,376例(チオトロピウム群3,707例、サルメテロール群3,669例)が登録された。基線での両群被験者の特徴は均衡しており、おおよそ75%が男性、平均年齢63歳、現喫煙者48%、COPD歴8年などだった。チオトロピウム群のほうが42日間遅く、17%のリスク低下結果、初回増悪発生までの期間は、チオトロピウム群187日、サルメテロール群145日で、チオトロピウム群の方が42日間遅く、17%のリスク低下が認められた(ハザード比:0.83、95%信頼区間:0.77~0.90、P<0.001)。またチオトロピウム群のほうが、初回重度増悪の初回発生までの期間も延長(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.61~0.85、P<0.001)、中等度または重度増悪の年間発生回数の減少(0.64対0.72、発生率比:0.89、95%信頼区間:0.83~0.96、P=0.002)、重度増悪の年間発生回数の減少(0.09対0.13、発生率比:0.73、95%信頼区間:0.66~0.82、P<0.001)も認められた。なお重篤な有害事象、治療中止となった有害事象の発現率は、総じて両群で同程度だった。死亡例は、チオトロピウム群64例(1.7%)、サルメテロール群78例(2.1%)だった。(武藤まき:医療ライター)

4006.

便失禁治療、安定化ヒアルロン酸ナトリウムデキストラノマー粘膜下注入が有効

 便失禁に対する低侵襲性の治療として、安定化ヒアルロン酸ナトリウムデキストラノマー(NASHA Dx)の経肛門的粘膜下注入療法が有効なことが、スウェーデン・ウプサラ大学病院(Akademiska sjukhuset)外科のWilhelm Graf氏らの検討で示された。アメリカでは20~30歳の2.6%から70歳以上の15.3%までの頻度で便失禁がみられると報告されているが、その原因は多岐にわたり完全には解明されていない。治療としては、肛門管への充填剤注入療法を施行する施設が増加しているが、その有効性を証明した対照比較試験はないという。Lancet誌2011年3月19日号掲載の報告。欧米の13施設が参加した無作為化シャム対照試験 研究グループは、便失禁の治療における肛門括約筋粘膜下へのNASHA Dx注射の有効性と安全性を評価する二重盲検無作為化シャム対照試験を実施した。 2006年9月~2008年9月までにアメリカの8施設およびヨーロッパの5施設から、Cleveland clinic Florida便失禁スコア(CCFIS)≧10で、2週間に4回以上の便失禁が認められる18~75歳の患者が登録された。 これらの患者が、経肛門的粘膜下NASHA Dx注入療法を施行する群あるいはシャム対照群に無作為に割り付けられた。治療開始後6ヵ月間、患者と臨床評価を行う医師には割り付け情報が知らされなかったが、注射を行う医師にはマスクされなかった。患者は便失禁エピソードを記録し、2週間当たりの無失禁日の日数を算出した。 主要評価項目は、「ベースラインとの比較における便失禁回数の50%以上の低下」で定義された治療への反応とした。治療3、6ヵ月に臨床評価を行い、NASHA Dx群のみその後もフォローアップが続けられた(9、12ヵ月)。有効率:52% vs. 31%、無失禁日の増加日数:3.1日 vs. 1.7日 選択基準を満たした206例のうち、136例がNASHA Dx群に、70例が対照群に割り付けられた。治療6ヵ月の時点で便失禁回数が50%以上低下した患者の割合は、NASHA Dx群が52%(71/136例)と、対照群の31%(22/70例)に比べ有意に優れていた(オッズ比:2.36、95%信頼区間:1.24~4.47、p=0.0089)。 2週間当たりの無失禁日増加の平均日数は、治療6ヵ月ではNASHA Dx群が3.1日(SD 4.05)と、対照群の1.7日(SD 3.50)に比べ有意に高値を示したが、治療3ヵ月では有意な差はみられなかった[2.6日(SD 3.95) vs. 1.9日(SD 3.46)、p=0.1880]。 6ヵ月間の治療により、NASHA Dx群では128件の治療関連有害事象(直腸痛14%、発熱8%、直腸出血7%、下痢5%、注射部位の出血5%など)が認められ、そのうち重篤な有害事象は2件(直腸膿瘍1例、前立腺膿瘍1例)であった。 著者は、「経肛門的粘膜下NASHA Dx注入療法は便失禁に対する治療として有効である」と結論し、「この低侵襲性の治療法は、今後、患者選択基準、至適な用量と注射部位、長期予後が改善されれば、さらに高い支持を得る可能性がある」と指摘している。

4007.

薬剤溶出性ステントを用いたPCIとCABG、術後QOLはどちらが良好か

多枝血行再建術予定患者に対する、薬剤溶出性ステントを用いたPCIと冠動脈バイパス術(CABG)の、術後QOLを比較検討が、米国・ミズーリ大学カンザスシティー校Saint Luke's Mid America Heart InstituteのDavid J. Cohen氏らにより行われた。これまでの研究ではCABGが、バルーン血管形成術やベアメタルステントを用いたPCIと比較して、狭心症発作を大幅に軽減しQOLを改善することが示されているが、薬剤溶出性ステントを用いたPCIのQOLへの影響は明らかになっていなかった。NEJM誌2011年3月17日号より。1,800例をパクリタキセル溶出ステントを用いたPCIとCABGに無作為化検討は、パクリタキセル溶出ステントを用いたPCIとCABGのアウトカムを比較検討した大規模無作為化試験SYNTAX(Synergy between PCI with Taxus and Cardiac Surgery)のサブスタディとして行われた。SYNTAXでは、再血行再建を含む複合主要エンドポイント発生率ではCABG群の有意な低下が認められたが、不可逆的な転帰のみから成る複合エンドポイント発生率では両群に有意差は認められなかった。このことからCohen氏らは、血行再建術の選択には、狭心症発作の軽減を含むQOLが重要な指標になるとして、被験者の前向きQOLサブスタディを行った。被験者は、3枝病変または左冠動脈主幹部病変患者1,800例。パクリタキセル溶出ステントを用いたPCI群(903例)、もしくはCABG群(897例)に無作為化され、ベースライン時、1ヵ月後、6ヵ月後、12ヵ月後に、SAQ(シアトル狭心症質問票)と包括的QOL評価尺度であるSF-36を用いて健康関連QOLが評価された。主要エンドポイントは、SAQの狭心症発作頻度サブスケールスコア(0~100:スコアが高いほど健康状態は良好とされる)とした。狭心症発作頻度の軽減はCABGが大きいが、ベネフィットは小さいSAQとSF-36それぞれのサブスケールスコアは、両群ともベースライン時より6ヵ月後と12ヵ月後で有意に高かった。SAQの狭心症発作頻度サブスケールスコアは、CABGがPCI群より6ヵ月後と12ヵ月後により大きく増加した(それぞれP=0.04、P=0.03)。しかし群間差は小さく、両時点での治療効果の平均差はいずれも1.7ポイントだった。狭心症発作が起きなった患者の割合は、1ヵ月後と6ヵ月後では両群とも同程度だったが、12ヵ月後ではPCI群よりCABG群の方が高かった(76.3%対71.6%、P=0.05)。SAQとSF-36サブスケールのその他のスコアについては、主に1ヵ月後にPCI群が有意に高いスコアを示すものもみられたが、追跡期間全体を通しては有意差を示すものはなく両群で同程度であった。これらから研究グループは、「3枝病変または左冠動脈主幹部病変患者においては、CABGの方が6ヵ月後と12ヵ月後の狭心症発作の頻度はPCIと比べ大きく軽減したが、ベネフィットは小さかった」と結論づけた。(朝田哲明:医療ライター)

4008.

薬剤性溶出ステント挿入PCI後のクロピドグレル高用量投与の検討:GRAVITAS

安定冠動脈疾患などで薬剤性溶出ステントを挿入後、血小板反応性が高い患者に対し、クロピドグレル(商品名:プラビックス)を標準の2倍量投与しても、6ヵ月間の心血管イベントリスクは減少せず、標準量投与と同等であることが示された。米国・Scripps ClinicのMatthew J. Price氏らによる多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験「Gauging Responsiveness With A VerifyNow assay―Impact on Thrombosis and Safety」(GRAVITAS)の結果による。JAMA誌2011年3月16日号で発表された。これまでの研究により、クロピドグレル服用者で血小板反応性が高い人は、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の心血管疾患イベントリスクが増大する可能性が示されている。しかしこうした患者への治療方針は確立されておらず、高用量投与とすることで効果が示されるかが検討された。PRU230以上患者を標準量群と高用量群に無作為化し、6ヵ月間のイベント発生率を評価GRAVITASは、2008年7月~2010年4月にかけて、北米83ヵ所の医療施設を通じ、2,214人を被験者として行われた。被験者は、薬剤性溶出ステント挿入PCI後、12~24時間内の血小板反応性がP2Y12反応単位(PRU)230以上だった。平均年齢は64歳、うち男性は65%だった。被験者は無作為に、高用量クロピドグレル群(初期負荷投与600mg、その後150mg/日)と、標準量クロピドグレル群(75mg/日)に割り付けられ、それぞれ6ヵ月間投与された。主要エンドポイントは、心血管疾患死、非致死的心筋梗塞、またはステント内血栓症の6ヵ月間の発生率とされた。6ヵ月心血管疾患イベントのリスク、出血リスクともに同等結果、6ヵ月時点での主要エンドポイント発生率は、高用量群で2.3%(1,109人中25人)、標準量群も2.3%(1,105人中25人)と同等であった(ハザード比:1.01、95%信頼区間:0.58~1.76、p=0.97)。また中等度から重度の出血イベントの発生について、高用量群15人(1.4%)、標準量群25人(2.3%)で、同リスクの有意な増大は認められなかった(ハザード比:0.59、95%信頼区間:0.31~1.11、p=0.10)。なお、術後30日時点で高い血小板反応性(PRU 230以上)が認められた人の割合は、標準量群62%に対し高用量群は40%で、高用量群で絶対値で22ポイント(95%信頼区間:18~26)の有意な低下が認められた(p<0.001)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

4009.

50歳以上の乳がんリスク、喫煙者で有意に増大、間接喫煙者でも増大示唆

閉経後女性における喫煙と侵襲性乳がんリスクとの関連について、直接喫煙者では有意なリスク増大が認められ、間接喫煙者でも増大が示唆されることが、米国・ウエスト・バージニア大学Mary Babb RandolphがんセンターのJuhua Luo氏らによる前向きコホート試験「Women's Health Initiative Observational Study」の結果、明らかにされた。BMJ誌2011年3月5日号(オンライン版2011年3月1日号)掲載より。乳がんリスク、非喫煙者と比べ元喫煙者1.09倍、現喫煙者1.16倍試験には、米国内40ヵ所のクリニックセンターから、1993~1998年の間に50~79歳の女性7万9,990例の被験者が登録した。主要評価項目は、自己報告による能動的または受動的喫煙状況、病理学的に診断された侵襲性乳がんとした。平均10.3年の追跡期間で、侵襲性乳がんと診断されたのは3,520例だった。非喫煙者と比べ、乳がんリスクは、元喫煙者は9%高く(ハザード比:1.09、95%信頼区間:1.02~1.17)、現喫煙者は16%高かった(同:1.16、1.00~1.34)。子どもの時から間接喫煙に曝露された最大曝露群、非間接喫煙群の1.32倍喫煙本数が多く、喫煙歴も長い能動的喫煙者、また喫煙開始年齢が10代であった人における乳がんリスクが有意に高かった。乳がんリスクが最も高かったのは、50歳以上の喫煙者で、生涯非喫煙者と比べ1.35倍(同:1.35、1.03~1.77)、生涯非喫煙者で非間接喫煙者と比べると1.45倍(同:1.45、1.06~1.98)だった。禁煙後も20年間、乳がんリスクは増大した。非喫煙者では、潜在的交絡因子補正後、間接喫煙曝露が最も多かった人(子どもの時に10年以上、成人後家庭内で20年以上、成人後職場で10年以上)の乳がんリスクは、間接喫煙曝露がなかった人に比べて32%超過(ハザード比:1.32、95%信頼区間:1.04~1.67)が認められた。しかし、その他の低曝露群との有意な関連は認められなかった。間接喫煙の累積に対するレスポンスも不明であった。

4010.

ARBカンデサルタン、急性脳卒中への有用性:SCAST試験

血圧の上昇を伴う脳卒中患者における、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタン(商品名:ブロプレス)の有用性について、ノルウェー・オスロ大学のElse Charlotte Sandset氏らが実施したSCAST試験の結果が報告された。血圧の上昇は、急性脳卒中の一般的な原因であり、不良な予後のリスクを増大させる要因である。ARBは梗塞サイズや神経学的機能に良好な効果を及ぼすことが基礎研究で示され、高血圧を伴う急性脳卒中患者を対象としたACCESS試験では、カンデサルタンの発症後1週間投与により予後の改善が得られることが示唆されていた。Lancet誌2011年2月26日号(オンライン版2011年2月11日号)掲載の報告。1週間漸増投与の有用性を評価SCAST試験の研究グループは、血圧上昇を伴う急性脳卒中患者に対するカンデサルタンを用いた慎重な降圧治療の有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化試験を実施した。北ヨーロッパ9ヵ国146施設から、18歳以上、症状発現後30時間以内、収縮期血圧≧140mmHgの急性脳卒中(虚血性あるいは出血性)患者が登録された。これらの患者が、カンデサルタン群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられ、7日間の治療を受けた。第1日に4mgを、第2日に8mgを投与し、第3~7日には16mgが投与された。患者と担当医には治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は、血管に関する複合エンドポイント(6ヵ月以内の血管死、心筋梗塞、脳卒中)および機能アウトカム(6ヵ月の時点において修正Rankinスケールで評価)とし、intention-to-treat解析を行った。主要評価項目に大きな差は認められず2,029例が登録され、カンデサルタン群に1,017例、プラセボ群には1,012例が割り付けられた。そのうち6ヵ月後に評価が可能であったのは2,004例(99%、カンデサルタン群:1,000例、プラセボ群:1,004例)であった。7日間の治療期間中の平均血圧は、カンデサルタン群[147/82mmHg(SD 23/14)]がプラセボ群[152/84mmHg(SD 22/14)]よりも有意に低下した(p<0.0001)。6ヵ月後のフォローアップの時点における複合エンドポイントの発生率は、カンデサルタン群が12%(120/1,000例)、プラセボ群は11%(111/1,004例)であり、両群間に差を認めなかった(調整ハザード比:1.09、95%信頼区間:0.84~1.41、p=0.52)。機能アウトカムの解析では、不良な予後のリスクはカンデサルタン群のほうが高い可能性が示唆された(調整オッズ比:1.17、95%信頼区間:1.00~1.38、p=0.048)。事前に規定された有用性に関する副次的評価項目(全死亡、血管死、虚血性脳卒中、出血性脳卒中、心筋梗塞、脳卒中の進行、症候性低血圧、腎不全など)や、治療7日目のScandinavian Stroke Scaleスコアおよび6ヵ月後のBarthel indexで評価した予後はいずれも両群で同等であり、事前に規定されたサブグループのうちカンデサルタンの有用性に関するエビデンスが得られた特定の群は一つもなかった。6ヵ月のフォローアップ期間中に、症候性低血圧がカンデサルタン群の9例(1%)、プラセボ群の5例(<1%)に認められ、腎不全がそれぞれ18例(2%)、13例(1%)にみられた。この結果から、血圧の上昇を伴う急性脳卒中患者においては、ARBであるカンデサルタンを用いて慎重に行った降圧治療は有用であることを示すことはできなかった。

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吸入コルチコステロイド連日投与、小児の軽症持続型喘息に有効:TREXA試験

小児の軽症持続型喘息の治療では、増悪の抑制効果は吸入コルチコステロイド(ICS)の連日投与が優れることが、米国・アリゾナ大学のFernando D Martinez氏らが実施したTREXA試験で示された。軽症持続型喘息の小児における症状のコントロールや増悪の抑制に望ましい治療法として、低用量ICS連用が推奨されているが、コントロール良好でも増悪する例が存在し、無症状の期間が長期に持続すれば服薬の遵守が極めて困難となる。1)コントロール良好例におけるICS連用の中止は増悪のリスクを増大させるか、2)レスキュー治療としてのICS/アルブテロール(別名サルブタモール:β2アドレナリン受容体刺激薬)併用とアルブテロール単独の増悪抑制効果が、ICS連用の有無で異なるかという課題は未解決だという。Lancet誌2011年2月19日号(オンライン版2011年2月15日号)掲載の報告。4つの治療群を比較する2×2ファクトリアル・デザインのプラセボ対照無作為化試験TREXA試験の研究グループは、小児の軽症持続型喘息に対するレスキュー治療としてのICS(ジプロピオン酸ベクロメタゾン)の有用性を評価する2×2ファクトリアル・デザインの二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行った。2007年1月~2009年5月までにアメリカの5施設から5~18歳の軽症持続型喘息の症例が登録され、4週間の導入期間の後、以下の4つの治療群に無作為に割り付けられ、44週間の治療が行われた。1)併用群:ベクロメタゾン1日2回+ベクロメタゾン/アルブテロールによるレスキュー治療、2)ベクロメタゾン連用群:ベクロメタゾン1日2回+プラセボ/アルブテロールによるレスキュー治療、3)レスキューベクロメタゾン群:プラセボ1日2回+ベクロメタゾン/アルブテロールによるレスキュー治療、4)プラセボ群:プラセボ1日2回+プラセボ/アルブテロールによるレスキュー治療。ベクロメタゾン治療は1パフ(40μg)を朝夕2回吸入し、レスキュー治療は症状が軽減するまでアルブテロール(180μg)2パフ当たりベクロメタゾン2パフとした。主要評価項目は経口ステロイド薬を要する初回増悪までの期間、副次的評価項目はICSの副作用である成長障害の指標としての線形成長とし、intention-to-treat解析を行った。増悪率、治療失敗率は連用群が最も低い843例が登録され、事前に規定された判定基準に従って導入期間中に555例が除外された。残りの288例のうち、71例が併用群に、72例がベクロメタゾン連用群に、71例がレスキューベクロメタゾン群に、74例がプラセボ群に無作為に割り付けられた。増悪率は、プラセボ群の49%(95%信頼区間:37~61)に比し、ベクロメタゾン連用群が28%(同:18~40、p=0.03)、併用群が31%(同:21~43、p=0.07)、レスキュー群は35%(同:24~47、p=0.07)といずれも低下しており、連用群では有意差を認めた。治療失敗率は、プラセボ群の23%(95%信頼区間:14~43)に比べ、併用群は5.6%(同:1.6~14、p=0.012)、連用群は2.8%(同:0~10、p=0.009)、レスキュー群が8.5%(同:2~15、p=0.024)であり、いずれも有意に良好であった。線形成長の平均値は、ベクロメタゾンを連用した併用群と連用群はプラセボ群に比べて1.1cm(SD 0.3)有意に低下した(p<0.0001)が、連用していないレスキュー群は0.3cm(SD 0.2)の低下でありプラセボ群と同等であった(p=0.26)。重篤な有害事象は2例(連用群の1例でウイルス性髄膜炎、併用群の1例で気管支炎)にのみ認められた。著者は、「軽症持続型喘息の小児にはアルブテロール単独によるレスキュー治療は行うべきではなく、増悪の予防に最も効果的な治療はICS連日投与である」と結論し、「レスキューとしてのICSをアルブテロールと併用する治療は、アルブテロール単独によるレスキュー治療に比べ増悪率が低い点で有効性が高く、コントロール良好な患児に対するステップダウン治療として有効な可能性がある。それゆえ、ICS連用は回避可能であり、それによる成長障害などの副作用も避けられると考えられる」と考察している。(菅野守:医学ライター)

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自動血圧測定でプライマリ・ケアにおける白衣高血圧が減少

プライマリ・ケアにおける収縮期高血圧患者の血圧測定法として、現行の手動診察室血圧測定よりも、自動測定装置を用いた診察室測定の方が質や正確度が優れ、白衣高血圧が減少することが、カナダ・トロント大学のMartin G Myers氏らの検討で示された。日常診療で医療従事者が手動で行う血圧測定の正確度への関心が高まるに従い、自動測定装置による家庭や外来での血圧測定に対する信頼が増しているという。診察室での自動測定装置を用いた血圧測定を、患者が静かな部屋で落ち着いた状態で独りで行うことで、手動測定の欠点の多くが解消することが示唆されている。BMJ誌2011年2月12日(オンライン版2011年2月7日号)掲載の報告。診察室における手動と自動血圧測定を比較するクラスター無作為化試験研究グループは、手動による診察室血圧測定と、自動測定装置を用いた診察室血圧測定のgold standardとしての質と正確度を評価するクラスター無作為化対照比較試験を実施した。対象は、カナダ東部地域5都市の67施設において88名のプライマリ・ケア医の治療を受けている重篤な併存疾患のない収縮期高血圧患者555例。これらの患者が、診察室で手動で行う血圧測定を受ける群(対照群)あるいは診察室で自動測定装置による複数回の血圧測定を行う群(介入群)に無作為に割り付けられた。登録前に、全例において24時間自由行動下血圧測定を行い、覚醒時の平均血圧を算出した。登録前の最後のルーチンの手動診察室血圧値をカルテで確認し、両群の登録後の診察室血圧の測定値と比較し、さらに覚醒時血圧との比較を行った。主要評価項目は、(覚醒時血圧−自動診察室血圧)と(覚醒時血圧−手動診察室血圧)の収縮期血圧(SBP)の差とした。主要評価項目:−2.3 vs. −6.5mmHg(p=0.006)、自動測定の方が覚醒時SBPとの差が小さい31施設(252例)が対照群に、36施設(303例)が介入群に無作為に割り付けられ、それぞれ249例、299例が解析の対象となった。対照群では、登録前のルーチンの手動診察室血圧[149.9(SD 10.7)/81.8(SD 8.5)mmHg]が、登録後にはSBPが8.5mmHg、拡張期血圧(DBP)は1.6mmHg低下し[141.4(SD 14.6)/80.2(SD 9.5)mmHg]、いずれも有意差を認めた(p<0.001/p=0.01)。これに対し、介入群では登録の前後でSBPが13.9mmHg[149.5(SD 10.8)→135.6(SD 17.3)mmHg]、DBPが3.7mmHg[81.4(SD 8.3)→77.7(SD 10.9)mmHg]低下しており(p<0.001/p=0.02)、いずれも低下の程度が対照群に比べて大きかった。登録後の初回受診時における介入群の覚醒時自由行動下血圧と自動診察室血圧の差の平均値は、SBPが−2.3mmHg(95%信頼区間:−0.31~−4.3)、DBPは−3.3mmHg(同:−2.2~−4.4)、対照群における覚醒時血圧と手動診察室血圧の差はSBPが−6.5mmHg(同:−4.3~−8.6)、DBPは−4.3mmHg(同:−2.9~−5.8)であり、いずれも介入群の方が覚醒時血圧との差が小さく、SBPには有意差が認められた(p=0.006)。登録後の自動診察室血圧(SBP/DBP)と覚醒時血圧との群内相関(r=0.34/r=0.56)は、登録前の手動診察室血圧と覚醒時血圧の相関(r=0.10/r=0.40)よりも強く、その差はSBPが0.24(95%信頼区間:0.12~0.36)、DBPは0.16(同:0.07~0.25)であった(p<0.001/p<0.001)。自動診察室DBPと覚醒時血圧の群間相関(r=0.56)は、手動診察室DBPと覚醒時血圧の群間相関(r=0.30)よりも強く、その平均差は0.26(95%信頼区間:0.09~0.41)であった(p<0.001)。測定値の末尾数字を0に丸める選好によるバイアスは、実質的に自動診察室測定の方が小さかった。著者は、「プライマリ・ケアにおける収縮期高血圧患者の診察室血圧測定では、自動測定の導入により、現行の手動測定に比べ白衣高血圧が有意に減少した。自動測定の質および正確度を覚醒時自由行動下血圧との比較で評価したところ、手動測定よりも有意に優れていた」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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センチネルリンパ節転移の浸潤性乳がん、非腋窩郭清でも全生存は同等

センチネルリンパ節転移が認められる浸潤性乳がんに対し、ランペクトミー後に腋窩郭清を実施しなくても、実施した場合に比べて全生存に関して非劣性であることが示された。米国Saint John’sヘルスセンターJohn Wayneがん研究所のArmando E. Giuliano氏らが、約900人について行った無作為化試験の結果から明らかにしたもので、JAMA誌2011年2月9日号で発表した。T1~T2の浸潤性乳がん患者を2群に分け、約6年追跡同研究グループは1999年5月~2004年12月にかけて、115ヵ所の医療機関を通じ、891人の乳がん患者を集め、第3相非劣性試験「ACOSOG(American College of Surgeons Oncology Group)Z0011」を実施した。被験者は女性で、T1~T2に分類される浸潤性乳がんで、触知可能なアデノパシーはなかった。またセンチネルリンパ節転移について、凍結切片、捺印細胞診またはヘマトキシリン・エオジン染色の永久標本により特定が行われ、1~2ヵ所が認められていた。被験者は全員、ランペクトミーと乳房全体への接線照射法を受けた。研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方の群には腋窩郭清を実施し(腋窩郭清群)、もう一方の群には実施しなかった(非腋窩郭清群)。腋窩郭清群には、10ヵ所以上のリンパ精検が行われた。全身投与療法の有無は、各主治医の裁量に一任された。主要エンドポイントは全生存とし、非腋窩郭清群の腋窩郭清群に対する非劣性マージンは、ハザード比1.3以下を示した場合とした。副次エンドポイントは、無病生存期間とした。なお本試験は、死亡500例後最終解析時の被験者登録数を1,900例とし開始されたが、予想されたよりも死亡率が低く早期に打ち切りとなった。5年生存率、5年無病生存期間ともに、両群で同等追跡期間の中央値は6.3年(最終追跡2010年3月4日)だった。無作為化追跡されたのは、腋窩郭清群445人、非腋窩郭清群446人だった。両群とも臨床所見や腫瘍の状態は同等だったが、切除したリンパ節数の中央値は、腋窩郭清群が17に対し、非腋窩郭清群は2だった。5年生存率は、腋窩郭清群が91.8%(95%信頼区間:89.1~94.5)に対し、非腋窩郭清群は92.5%(同:90.0~95.1)と、両群に有意差は認められなかった。また5年無病生存期間も、腋窩郭清群が82.2%(95%信頼区間:78.3~86.3)に対し、非腋窩郭清群は83.9%(同:80.2~87.9)と、両群で有意差は認められなかった。非腋窩郭清群の腋窩郭清群に対する全生存のハザード比は、補正前が0.79(90%信頼区間:0.56~1.11)、補正後が0.87(同:0.62~1.23)であり、非腋窩郭清群の非劣性が証明された。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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米国の営利ホスピス、低ケアニーズの患者の割合が高く、利用期間はより長期

米国のホスピス利用者について、営利ホスピスと非営利ホスピスとを比較したところ、営利ホスピスでは、ケアニーズのスキルが低い患者の割合が高く、また利用期間がより長期であることが明らかになった。米国ハーバード大学医学部付属ベス・イスラエル・ディーコネス医療センター総合医療・プライマリ・ケア部門のMelissa W. Wachterman氏らが、約4,700人のホスピス利用者について調べ明らかにした。調査は、米国の公的高齢者向け医療保険メディケアが、ホスピスに対して定額日払い制の償還をしており、その“特別手当”が集中的ケアの必要がより少ない患者を選んだり、より長期の利用を生み出している可能性を調べるため、また営利、非営利ホスピスにより“特別手当”に関して違いがみられるかを調べるために行われた。JAMA誌2011年2月2日号で発表された。営利ホスピス145ヵ所、非営利ホスピス524ヵ所の利用終了者を調査研究グループは、2007年の全米のホスピスに関する調査「National Home and Hospice Care Survey」の結果を元に、ホスピスを利用し、そのサービスを終了した4,705人について調査を行った。主要評価項目は、利用者の診断名、営利・非営利種別にみたサービス提供の場所(自宅、ナーシングホーム、病院、ホスピス、その他)、利用期間、ホスピスの看護師などによる1日当たりの訪問回数とした。分析の対象となった営利ホスピスは145ヵ所で利用者数は1,087人、非営利ホスピスは524ヵ所で利用者数は3,618人だった。がん患者の割合は営利が34%、非営利が48%利用者の診断名についてみると、がんの診断を受けていたのは、非営利ホスピスが48.4%(95%信頼区間:45.0~51.8)だったのに対し、営利ホスピスは34.1%(同:29.9~38.6)と低率だった(補正後p

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米国高齢リウマチ患者、DMARDs服用率は63%

米国の公的高齢者向け医療保険メディケアのマネジドケア・プラン加入者で、抗リウマチ薬DMARDsを服用しているのは、リウマチの診断を受けた人の63%であることが明らかにされた。服用率は、性別や人種、社会経済的状況、加入する保険プランによって異なることも明らかにされた。これまでに発表されたDMARDs服用率に関するデータは、社会経済状況が低い層や、単一の保険プラン加入者のみに関するもので、服用率は30~52%程度と報告されていた。米国スタンフォード大学のGabriela Schmajuk氏らは、リウマチ患者全体の実態を把握すべく、2005年に導入され、米国医療保険プランのほとんどが加入し、治療やサービスの質評価の指標として活用する「Healthcare Effectiveness Data and Information Set(HEDIS)」のデータを用いて分析を行い、JAMA誌2011年2月2日号で発表した。DMARDs服用率は年々増加の傾向、85歳以上は65~69歳より30ポイント低い研究グループは、65歳以上のメディケア・マネジドケアプラン加入者で、2005~2008年に関節リウマチの診断を2回以上受けた、9万3,143人について調査を行った。被験者の平均年齢は74歳で、うち75%が女性、82%が白人だった。DMARDs服用率は、2005年の59%から、2008年には67%に増加していた(傾向p<0.001)。全体(2005~2008年)では、DMARDs服用率は63%だった。服用率は年齢により差がみられ、高齢になるほど服用率は減少した。85歳以上では、65~69歳の人に比べ、補正後-30ポイント(95%信頼区間:-29~-32)だった(p<0.001)。男性は3ポイント、低所得者は6ポイント低いまた、男性は女性よりも服用率が-3ポイント(同:-5~-2、p<0.001)、黒人は白人よりも-4ポイント(同:-6~-2、p<0.001)、低所得者は非低所得者よりも-6ポイント(同:-8~-5、p<0.001)、郵便番号を基準にした社会経済状況(5段階に分類)が低層の人は高層の人よりも-4ポイント(同:-6~2、p<0.001)、また加入保険プランが営利の入は非営利の人よりも-4ポイント(同:-7~0、p<0.001)それぞれ低かった。地理的傾向では、太平洋沿岸地域と比べて大西洋中部沿岸地域が-7ポイント(同:-13~-2、p<0.001)、大西洋南部沿岸地域が-11ポイント(同:-20~-3、p<0.001)と低かった。被験者が加入する保険プラン(245プラン)別に分析した結果では、服用率が16~87%と大きなばらつきが認められた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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急性中耳炎児へのアモキシシリン-クラブラン酸治療は有効か―その1

2歳未満の急性中耳炎について、即時に抗菌薬治療を行うべきか、それとも経過観察をすべきか、国によって勧告は異なっている。米国ピッツバーク大学小児科部門のAlejandro Hoberman氏らは、無作為化プラセボ対照試験の結果、生後6~23ヵ月の2歳未満の急性中耳炎に対する抗菌薬アモキシシリン-クラブラン酸(商品名:オーグメンチン)の10日間投与は、症状消失期間の短縮など短期的ベネフィットをもたらすと報告した。NEJM誌2011年1月13日号掲載より。7日間の症状スコア、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低い試験は、発症48時間以内で両親によるAOM-SOS(Acute Otitis Media Severity of Symptoms)スコア評価が3以上、中耳滲出液が認められ、中等度、鼓膜隆起、耳痛を伴う腫脹があるなど厳密な診断基準で急性中耳炎と診断された生後6~23ヵ月児291例を無作為に、10日間アモキシシリン-クラブラン酸を投与される群(144例)もしくはプラセボ投与群(147例)に割り付け、症状についての反応と臨床的失敗率を評価した。結果、初期症状の消失は、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の小児については、投与2日で35%に、4日までに61%、7日までに80%に認められた。一方プラセボ投与群では、初期症状の消失は2日で28%、4日で54%、7日で74%に認められるという結果であった(全体の比較のP=0.14)。症状の持続的な消失も同様の傾向が認められた。アモキシシリン-クラブラン酸投与群の小児については、投与2日で20%に、4日までに41%、7日までに67%に認められる一方、プラセボ投与群では、同14%、36%、53%であった(全体の比較のP=0.04)。治療7日間の症状スコアの平均値は、プラセボ群よりもアモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低かった(P=0.02)。厳密な基準で診断された患児への短期的ベネフィットは大きい臨床的な失敗(耳鏡検査で急性感染症の徴候の持続していることを確認)率も、プラセボ群と比べてアモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が低かった。具体的には、4~5日もしくはそれ以前の受診時の失敗率は4%対23%(P<0.001)、10~12日もしくはそれ以前の受診時の失敗率は16%対51%(P<0.001)であった。有害事象については、乳様突起炎がプラセボ群で1例認められた。また、アモキシシリン-クラブラン酸投与群の方が、下痢、おむつ皮膚炎が多くみられた。鼻咽頭の非感受性肺炎球菌Streptococcus pneumoniaeの保菌率については、両群とも有意な変化は認められなかった。これら結果を受けてHoberman氏は、「重症度に関係なく、アモキシシリン-クラブラン酸の10日間投与は、相当な短期的ベネフィットをもたらす」と結論。その上で、「このベネフィットについては、有害事象だけでなく耐性菌出現のことも重視し、治療は厳密な基準で診断された患児に限定して行うことが強調される」とまとめている。(武藤まき:医療ライター)

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軽症慢性収縮性心不全へのエプレレノン追加投与、死亡・入院リスクを約4割低減

軽症の慢性収縮性心不全患者に対し、エプレレノン(本邦では「セララ錠」として高血圧症のみ適応)を従来の治療に加え投与すると、心血管系疾患死または心不全による入院リスクが4割近く低減することが、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「EMPHASIS-HF」試験グループにより示された。これまで、重症の慢性収縮性心不全や心筋梗塞後の心不全患者への追加投与については、同リスクが低減することは明らかになっていた。NEJM誌2011年1月6日号(オンライン版2010年11月14日号)掲載より。NYHA心機能分類II、駆出率35%以下の2,737例を無作為化し追跡EMPHASIS-HF(Eplerenone in Mild Patients Hospitalization and Survival Study in Heart Failure)試験は、NYHA心機能分類クラスIIで、駆出率35%以下の2,737例を対象に行われた。被験者を無作為に二群に分け、従来の推奨治療に加えて、一方にはエプレレノン(1日最大50mg)を、もう一方にはプラセボを投与した。主要転帰は、心血管系疾患死と心不全による入院の複合イベントとした。被験者の平均年齢は、エプレレノンが68.7歳、プラセボ群が68.6歳、女性はそれぞれ22.7%と21.9%、左室駆出率はそれぞれ平均26.2%と26.1%だった。主要転帰はエプレレノン群で0.63倍、死亡は0.76倍本試験は、あらかじめ設定した基準に達したため当初予定よりも早期に終了となり、追跡期間中央値21ヵ月の時点で試験中止となった。同期間中、主要転帰の発生率は、プラセボ群が25.9%に対し、エプレレノン群が18.3%だった(ハザード比:0.63、95%信頼区間:0.54~0.74、p<0.001)。死亡は、プラセボ群の15.5%に対し、エプレレノン群は12.5%だった(ハザード比:0.76、同:0.62~0.93、p=0.008)。また心血管系疾患死も、プラセボ群が13.5%に対し、エプレレノン群が10.8%だった(ハザード比:0.76、同:0.61~0.94、p=0.01)。心不全または原因を問わない入院の割合も、エプレレノン群で有意に低率だった。安全性に関して、血清カリウム値が5.5mmol/Lを超えていたのは、エプレレノン群が11.8%、プラセボ群は7.2%であった(p<0.001)。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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足でお酒が飲めるというデンマークの都市伝説は……

デンマークには、「ウォッカに足を沈めることで酔っぱらうことができる」という都市伝説があるという。デンマーク・Hillerod病院循環器・内分泌科のChristian Stevns Hansen氏らは、その伝説を検証するオープンラベルの実証試験「Peace On Earth」を行った。結果、伝説は伝説でしかなかったが、あくまでウォッカに沈めた場合に限った話で、もっと強いお酒やジュースとお酒とを飲んだ場合はわからないため、新たな楽しみ(たとえば眼球飲酒)も浮かび上がったと結論している。本論は、BMJ誌年末恒例のクリスマス特集論文の1本で、2010年12月18日号(オンライン版2010年12月14日号)に掲載された。ウォッカ3本に3時間、足を漬けてみたが酩酊状態にはならずPeace On Earth(Percutaneous Ethanol Absorption Could Evoke Ongoing Nationwide Euphoria And Random Tender Hugs)は、平均年齢32歳(範囲:31~35歳)の、慢性皮膚疾患や肝疾患を有しておらず、アルコールや向精神薬に非依存の3人の病院職員を対象に行われた。主要エンドポイントは、血漿エタノール濃度[検出限界:2.2mmol/L(10mg/100mL)]で、700mLのウォッカ3本で満たされた皿洗い容器に、足を3時間浸漬している間、30分ごとに測定をした。副次エンドポイントは、自己評価による酩酊状態(自信過剰になる、衝動的言動がみられる、突発的に抱きつきたくなる)で、0~10スコアで記録された。結果、実験(足を浸漬している)の間に、血漿エタノール値が検出限界を超えることはなかった。試験開始時よりも自信過剰で、衝動的言動がみられたが、それらはset upによるものと思われ、酩酊状態の有意な変化は認められなかった。Hansen氏は、「アルコールの経皮摂取は、足をウォッカに漬けることでは不可能だった」と結論。「しかし依然として、胃腸管壁以外でのアルコール摂取に関する疑問は残ったままで研究結果が待たれる」とまとめている。

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高齢急性骨髄性白血病に対する強化寛解導入化学療法の予後を予測するスコア法

高齢の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する強化寛解導入療法による完全寛解(CR)の可能性および早期死亡(ED)のリスクの予測に有用なスコア法が、ドイツ・ミュンスター大学血液腫瘍科のUtz Krug氏らGerman Acute Myeloid Leukaemia Cooperative Group and the Study Alliance Leukemia Investigatorsによって開発された。60歳以上のAMLのうちAML以外は健康な状態(すなわち強化寛解導入療法が施行可能な病態)の患者の約半数は強化化学療法によってCRが達成されるが、若年の患者に比べEDのリスクが高いという。Lancet誌2010年12月11日号(オンライン版2010年12月4日号)掲載の報告。AMLCG1999およびAML1996のデータを別個に解析研究グループは、60歳以上のAML患者において標準的な臨床因子および検査値とCR、EDの関連を検証し、強化化学療法のリスクを評価するウェブベースのアプリケーションを開発するための検討を行った。German Acute Myeloid Leukaemia Cooperative Group 1999 study(AMLCG1999)に登録された60歳以上の、AML以外は健常な患者1,406例について、細胞遺伝学的および分子的リスクプロフィール情報の有無別のリスクスコア法を開発するために、多変量回帰分析を用いた解析を行った。これらの患者は、以下の二つのレジメンのいずれかによる強化寛解導入療法を2コース施行された。(1)tioguanine+標準用量シタラビン(商品名:キロサイド)+ダウノルビシン(同:ダウノマイシン)併用療法→高用量シタラビン+ミトキサントロン(商品名:ノバントロン)併用療法、(2)高用量シタラビン+ミトキサントロン併用療法。AMLCG1999に基づくリスク予測の妥当性は、Acute Myeloid Leukaemia 1996 study(AML1996)で、シタラビン+ダウノルビシン併用療法を2コース施行された60歳以上のAML患者801例において別個に検証された。治療法の決定が困難な場合の医師支援に有用CRあるいはEDと有意な相関を示す因子として、体温、年齢、骨髄異形成症候群(MDS)を経ずに発症した白血病(de-novo leukaemia)か抗がん剤治療あるいは先行する血液疾患に起因する二次性の白血病か、ヘモグロビン、血小板数、フィブリノーゲン、血清乳酸脱水素酵素濃度が確認された。CRの確率は、細胞遺伝学的および分子的リスクがある場合(スコア1)は12~91%、ない場合(スコア2)は21~80%であった。EDリスクの予測値はスコア1の場合は6~69%、スコア2の場合は7~63%であった。リスクスコアの予測能は個々の患者コホートにおいて確定された(CRスコア1:10~91%、CRスコア2:16~80%、EDスコア1:6~69%、EDスコア2:7~61%)。著者は、「AMLスコアは、AML以外は健常な高齢患者に対して強化寛解導入療法を施行した場合のCRおよびEDの確率の予測に使用可能である」と結論し、「これらの情報は、治療法の決定が困難な場合の医師の支援に有用と考えられる」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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週6回の血液透析、週3回と比べて良好な転帰と関連

週6回の血液透析は、週3回の同実施と比べて、転帰が良好であることが、北米のFrequent Hemodialysis Network(FHN)の試験グループが行った多施設共同前向き無作為化試験の結果、示された。透析が必要な患者は米国では約40万人おり、90%が血液透析を一般に週3回受けているという。試験グループは、透析技術開発から40年以上が経つが、技術改善や新薬開発にもかかわらず死亡率は高く(約18~20%/年)、生命を維持することはできるが健康が回復することはまれで、合併症が多く、身体的機能や健康関連QOLが低いままなこと、また至適な実施回数について明らかにはなっていないことを受けて、血液透析の頻度と転帰について検討した。NEJM誌2010年12月9日号(オンライン版2010年11月20日号)掲載より。多施設共同で245例を12ヵ月間、週6回群と週3回群に無作為化試験は、北米にある65の透析施設(うち11は大学付属)で、被験者245例を12ヵ月間にわたり、週6回血液透析を受ける群(頻回透析群、125例)か週3回血液透析を受ける群(従来透析群、120例)に無作為に割り付け行われた。主要転帰は、死亡または左室体積の変化(MRI評価によるベースラインから12ヵ月までの変化)と、死亡または身体的健康ヘルススコア(RAND-36項目健康調査による)の変化の、二つの複合転帰が設定された。副次転帰には、認知機能、自己申告によるうつ症状、栄養・ミネラル代謝・貧血に関する検査マーカー、血圧、バスキュラーアクセスに関する入院および介入の割合などが含まれた。二つの主要複合転帰に有意なベネフィット認められる頻回透析群の透析治療は平均週5.2回で、1週間の標準Kt/Vurea量(尿素クリアランス×透析時間を尿素分布容積で標準化)は、頻回透析群が3.54±0.56、従来透析群が2.49±0.27で、頻回透析群が有意に高かった(P<0.001)。二つの主要複合転帰に関して、いずれも頻回透析群の有意なベネフィットが認められた。死亡または左室体積増加のハザード比は0.61(95%信頼区間:0.46~0.82、P<0.001)、死亡または身体的健康ヘルススコア低下の同値は0.70(同:0.53~0.92、P=0.007)だった。また頻回透析群の方が、バスキュラーアクセスに関する介入頻度が高い傾向が認められた(ハザード比:1.71、95%信頼区間:1.08~2.73)。頻回透析群は、高血圧、高リン血症のコントロール改善との関連も認められた。しかし認知機能、自己申告によるうつ症状、血清アルブミン濃度、赤血球造血刺激因子製剤使用との関連については、頻回透析の有意な影響は認められなかった。試験グループは、「頻回透析は、死亡または左室体積の変化、死亡または身体的健康ヘルススコアの変化という二つの主要複合転帰については良好な結果と関連していた。ただし、バスキュラーアクセス関連の介入頻度も高めていた」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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