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アイスホッケージュニアリーグ、ボディチェック容認で試合中の怪我3倍超

カナダのアイスホッケージュニアリーグで、ボディチェック(相手の動きに対し体を使って妨害する)行為を容認した場合、容認していない場合と比べて、試合中の怪我の発生リスクが3倍超に増大することが明らかにされた。カナダRoger Jackson Centre for Health and Wellness ResearchのCarolyn A. Emery氏らが、カナダの二つの州のリーグを対象に前向きコホート試験を行い明らかにしたもので、JAMA誌2010年6月9日号で発表した。アルバータ州の試合中の怪我発生リスク、ケベック州の3.26倍同氏らは、2007~2008年シーズン中、カナダのアルバータ州とケベック州の11~12歳を対象にしたアイスホッケー・リーグ「Pee Wee」の選手、合わせて2,154人について追跡した。アルバータ州は74チーム(1,108人)、ケベック州は76チーム(1,046人)だった。ボディチェックについて、アルバータ州では容認しているが、ケベック州では違反行為となっている。追跡期間中の怪我は、アルバータ州で241件(うち脳震盪は78件、試合や練習の曝露時間合計:8万5,077時間)、一方ケベック州では91件(うち脳震盪は23件、同:8万2,099時間)だった。アルバータ州とケベック州の、試合中の怪我の件数はそれぞれ、209件と70件で、罹患率比は3.26(95%信頼区間:2.31~4.60)だった。脳震盪や重度の怪我発生リスクも、それぞれ3.88倍と3.30倍また、アルバータ州とケベック州の、試合中の脳震盪の件数はそれぞれ、73件と20件で、罹患率比は3.88(同:1.91~7.89)だった。さらに、プレイできない期間が7日超に及ぶ重度の怪我発生に関する、アルバータ州のケベック州に対する罹患率比は、3.30(同:1.77~6.17)、同期間が10日超に及ぶ重度の脳震盪の罹患率比は、3.61(同:1.16~11.23)だった。アルバータ州のリーグでボディチェックを違反とすることで、減らすことのできる試合中の怪我の絶対件数は、1,000プレイ時間中2.84(同:2.18~3.49)件、脳震盪の件数は1.08(同:0.70~1.46)件だった。なお、練習中の怪我の発生リスクについては、両州で有意差はみられなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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米国過去20年で血圧コントロール割合27.3%→50.1%に

米国では、1988~2008年にかけて、血圧がコントロールされている人の割合が、27.3%から50.1%にまで改善したことが明らかになった。特に1999~2000年から2007~2008年にかけては、同割合は18.6ポイント増加していた。米国サウスカロライナ大学のBrent M. Egan氏らが、4万人超の18歳以上について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月26日号で発表した。全米の健康政策「Healthy People 2010」の中で、血圧コントロール率の目標は50%となっていた。血圧コントロールの定義は140/90mmHg未満同氏らは、1988~1994年と1999~2008年のNational Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)データを用い、18歳以上の4万2,856人について、2年ごとの血圧コントロールなどに関するデータを分析した。高血圧の定義は、「平均収縮期血圧140mmHg以上、平均拡張期血圧90mmHg以上」、「降圧薬の服用」のいずれかだった。血圧コントロールの定義は、収縮期血圧140mmHg未満/拡張期血圧90mmHg未満だった。患者の認識の割合、降圧薬服用の割合も増大その結果、高血圧の罹患率は、1988~1994年の23.9%から、1999~2000年には28.5%へと増加していた。ただし2007~2008年は29.0%で、2000年以降の間の有意な変化はなかった。一方、高血圧コントロールについては、1988~1994年の27.3%から、2007~2008年は50.1%へと、大幅に改善した(p=0.006)。同期間の高血圧患者の血圧も、143.0/80.4mmHgから135.2/74.1mmHgへと、有意に低下していた(p=0.02/p

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不安障害の治療、認知行動療法や薬物療法の柔軟な選択で寛解率など有意に改善

不安障害の治療について、認知行動療法や薬物療法、または両者の選択を可能にして柔軟に対応することで、1年後の治療反応率や寛解率は、従来の治療法に比べて有意に改善することがわかった。米国ワシントン大学精神科・行動科学部門のPeter Roy-Byrne氏らが、1,000人超の不安障害の患者を対象に行った無作為化対照試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月19日号で発表した。治療開始6、12、18ヵ月後にBSI-12で評価同研究グループは、2006年6月~2008年4月にかけて、米国4地域17のプライマリ・ケアクリニックで、18~75歳の不安障害の患者、合わせて1,004人を対象に試験を開始し、3~12ヵ月間の治療を行った。研究グループは被験者を2群に分け、一方の群には、認知行動療法(CBT)や薬物療法、またはその両者を柔軟に用いるCALM(Coordinated Anxiety Learning and Management)療法を行った。もう一方の群には、従来通り、かかりつけの医師による薬物やカウンセリング治療、または精神病専門医への紹介などを行った。試験開始6、12、18ヵ月後にそれぞれ、12項目簡易症状評価尺度(BSI-12)を用い、2009年10月時点との比較で盲目による追跡評価を行った。なお被験者の不安障害としては、パニック障害、全般性不安障害、社会不安障害、心的外傷後ストレス障害を含んでいた。CALM療法による治療必要数、治療反応は5.27で寛解は5.50その結果、治療開始6、12、18ヵ月時点でいずれも、CALM群が対照群より、BSI-12スコアが低かった(CALM群と対照群のBSI-12スコア平均値の差:6ヵ月後-2.49、12ヵ月後-2.63、18ヵ月後-1.63)。治療12ヵ月後の治療反応率は、CALM群が63.66(95%信頼区間:58.95~68.37)%に対し、対照群は44.68(39.76~49.59)%だった。同時点での寛解率も、CALM群が51.49(95%信頼区間:46.60~56.38)%に対し、対照群は33.28(28.62~37.93)%だった。治療必要数は、治療反応については5.27(同:4.18~7.13)、寛解は5.50(4.32~7.55)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

4064.

薬剤溶出ステントXIENCE V、安全性と有効性においてTAXUSよりも優位であることを確認

米アボット社が行った米国の3,690名の患者を対象に2つの薬剤溶出ステントを比較した大規模無作為化試験の1つであるSPIRIT IV試験の結果が、2010年5月5日に発刊されたNEJM(The New England Journal of Medicine)に掲載された。同社の日本法人が18日に発表した。今回発表された結果において、XIENCE Vエベロリムス溶出冠動脈ステントシステム(販売名:XIENCE V 薬剤溶出ステント)はTAXUS Express2 パクリタキセル溶出冠動脈ステントシステム(販売名:TAXUS エクスプレス2 ステント)よりも、ステント留置後1年経過観察時点において心筋梗塞、血行再建術、心臓死等の主要心事故を引き起こしにくいことが示された。また、SPIRIT IV試験では、XIENCE V留置群とTAXUS留置群との比較において、ステント血栓症発生率を有意に低減することが示されました。これらの結果は2009年9月に行われたTCT(Transcatheter Cardiovascular Therapeutics)でも発表されている。SPIRIT IV試験では、XIENCE V群はTAXUS群と比較すると、1年経過観察時点において、主要評価項目であるTLF(Target Lesion Failure)を38%統計的に有意に低減することが示された(XIENCE V群 4.2%に対しTAXUS群 6.8%、 p値=0.001)。TLFは患者に対する有効性と安全性を評価する複合評価項目として定義されており、心臓死、標的血管起因の心筋梗塞、虚血に基づく標的病変血行再建 (ID-TLR) が含まれる。また、1年経過観察時点での血栓(ステント血栓症)発生率において、XIENCE V群は現在までに報告されているその他の薬剤溶出ステントと比較するとステント血栓症の発生を最も低減することが示された(Academic Research Consortium〔ARC〕定義の Definite/Probable に分類される1年経過観察時点でのステント血栓症発生率は0.29%)。詳細はプレスリリースへhttp://www.abbott.co.jp/press/2010/100518.asp

4065.

女性高齢者への年1回、高用量ビタミンD投与、転倒リスクを増大

70歳以上の女性高齢者に対し、高用量ビタミンDを年1回投与することで、転倒リスクが増大してしまうようだ。また投与後3ヵ月間の転倒リスクは、約30%も増加したという。オーストラリアMelbourne大学臨床・生化学研究所のKerrie M. Sanders氏らが、2,200人超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験で明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月12日号で発表している。ビタミンD投与と転倒リスクについては、これまで発表された試験結果で議論が分かれていた。ビタミンD投与群の転倒リスクは1.15倍、骨折リスクは1.26倍に同研究グループは、2003年6月~2005年6月にかけて、地域に住む70歳以上の女性高齢者、合わせて2,256人について試験を行った。被験者を無作為に2群に分け、一方の群には毎年秋から冬にかけて3~5年間、ビタミンD(コレカルシフェロール50万IU)を年1回投与し、もう一方にはプラセボを投与。2008年まで追跡し、転倒や骨折の回数について調べた。追跡期間中の骨折件数は、ビタミンD群1,131人のうち171件に対し、プラセボ群1,125人のうち135件だった。総転倒件数は、ビタミンD群は837人で2,892回(83.4回/100人・年)、プラセボ群は769人で2,512回(72.7回/100人・年)だった(発生率比:1.15、95%信頼区間:1.02~1.30、p=0.03)。骨折に関するビタミンD群のプラセボ群に対する発生率比は、1.26(同:1.00~1.59、p=0.047)だった。ビタミンD投与後3ヵ月の転倒リスクは約1.3倍ビタミンD群の転倒については、特に投与後3ヵ月間にリスクが増大し、同期間のプラセボ群に対する発生率比は1.31に上ったのに対し、投与後3ヵ月以降の9ヵ月間の同発生率比は1.13だった(均一性検定、p=0.02)。なお、ビタミンD群の25-ヒドロキシコレカルシフェロール血中濃度は、投与1ヵ月後に約120nmol/Lまで上昇し、同3ヵ月後には約90nmol/L、その後も投与後12ヵ月間プラセボ群より高濃度だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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心血管イベント抑制のための費用対効果に優れた戦略は?

心血管疾患予防のため、イギリス政府は40~74歳の全成人を対象としたスクリーニング戦略の実施を推奨している。その戦略と、ルーチンデータを用いて心血管リスクを層別化する(Framinghamリスクスコア、Cambridge diabetesリスクスコア、Finnish diabetesリスクスコアを用いる)戦略とでは、潜在するハイリスク患者を特定・治療することに、どれほどの違いがあるのかが検証された。ケンブリッジ・Addenbrooke's病院メタボリックサイエンス研究部MRC疫学部門のParinya Chamnan氏らによるモデルスタディによる。BMJ誌2010年5月8日号(オンライン版2010年4月23日号)掲載より。政府推奨の全成人対象の戦略と、リスクスコアに基づく戦略の予防効果を比較Chamnan氏らは、イギリス、ノーフォークの40~79歳の住民を対象とする前向き試験EPIC-Norfolk(European Prospective Investigation of Cancer-Norfolk)のデータから、モデルスタディを構築した。被験者は、1993~2007年のデータがあり基線で心血管疾患、糖尿病に罹患していなかった40~74歳の男女16,970例。主要転帰は、新規の心血管疾患1例を予防するのに要したスクリーニングの実施件数、また、予防するための治療介入に要した件数、あるいは予防できた可能性があった新規の心血管疾患に対する件数についても検討された。治療効果による相対リスクの低下は、臨床試験のメタ解析の結果およびNational Institute for Health and Clinical Excellenceのガイドラインから推定した。効果は同一、リスクスコア戦略の方がコストを抑えられる追跡期間中の心血管イベント発生は、18万3,586患者・年超のうち、1,362例だった。新規の心血管イベント抑制に関して、政府が推奨する戦略と簡易リスクスコアを段階的に用いたうえで実施する戦略とに違いはなかった。予防できた件数は、政府戦略で26,789例、リスクスコアを用いた戦略で25,134例だった。リスクスコアを用いた場合、スクリーニングの実施必要者数は、母集団の60%で事足りた。50~74歳でみた場合も、両戦略に相違はなかった。Finnish diabetesリスクスコア調査票、身体測定値による層別化は、効果的ではなかった。Chamnan氏は、「全成人を対象とするスクリーニング戦略も、リスクスコアを用いて行う戦略も、予防効果に相違はなかった。またリスクスコアを用いた方がコスト抑制も期待できる」と結論している。

4067.

糖尿病性腎症への高用量ビタミンB投与、尿細管濾過率低下、血管イベントリスクも増加

高用量ビタミンBを投与した糖尿病性腎症患者群は、非投与群に比べ、3年後の尿細管濾過率の低下幅が増大、血管イベントリスクも増加することが明らかになった。カナダ・西オンタリオ大学腎臓病部門のAndrew A. House氏らが、200人超を対象に行った試験の結果報告したもので、JAMA誌2010年4月28日号で発表した。糖尿病性腎症238人を無作為化、36ヵ月後に放射性核種を用い尿細管濾過率変化を測定同氏らは、2001年5月~2007年7月にかけて、カナダ国内5ヵ所の大学付属メディカルセンターで、合わせて238人の糖尿病性腎症が認められる1型および2型糖尿病患者について、無作為化プラセボ対照二重盲検試験「DIVINe」(Diabetic Intervention with Vitamins to Improve Nephropathy)を行った。研究グループは被験者を2群に分け、一方には葉酸(2.5mg/日)、ビタミンB6(25mg/日)、ビタミンB12(1mg/日)を、もう一方の群にはプラセボを投与した。第1エンドポイントは、試験開始時点と36ヵ月後の放射性核種を用いて測定した尿細管濾過率の変化だった。濾過率減少幅はビタミンB群で大、血管イベントリスクはビタミンB群が2倍追跡期間の平均値は31.9(標準偏差:14.4)ヵ月だった。36ヵ月後の放射性核種による尿細管濾過率の試験開始時点に比べた減少幅は、ビタミンB群では平均16.5(標準偏差:1.7)mL/min/1.73m2で、プラセボ群の平均10.7(標準偏差:1.7)mL/min/1.73m2に比べ有意に大きかった(格差平均:-5.8、95%信頼区間:-10.6~-1.1、p=0.02)。心筋梗塞、脳卒中、血管再生術、総死亡を合わせた統合イベント発生率は、ビタミンB群がプラセボ群の約2倍だった(ハザード比:2.0、95%信頼区間:1.0~4.0、p=0.04)。36ヵ月後の血漿総ホモシステイン値は、ビタミンB群の方が平均2.2(標準偏差:0.4)μmol/Lで、プラセボ群の平均2.6(標準偏差:0.4)μmol/Lより低かった(格差平均:-4.8、95%信頼区間:-6.1~-3.7、p<0.001)。なお透析実施率については、両群で有意差はなかった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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心不全で入院の高齢者、退院後7日以内の再診で再入院リスクが低下

心不全で入院した高齢者に対し、退院後7日以内に外来再診を行うことで、再入院リスクが低下することが報告された。心不全患者の再入院は多いため、退院直後の外来による再診が重要であることは知られているが、その予防効果についての研究結果は再入院のデータが限られるなどしてほとんどわかっていなかった。本試験は、米国デューク大学のAdrian F. Hernandez氏らが、3万人超について行い明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月5日号で発表した。退院後30日の再入院率は21.3%、7日以内再診率は38.3%同研究グループは、2003年1月1日~2006年12月31日にかけて、225ヵ所の病院に心不全で入院し、その後退院した65歳以上、合わせて3万136人について、退院後30日以内の再入院の有無について調査を行った。入院期間の中央値は4日(四分位範囲:2~6日)、退院後30日以内の再入院率は21.3%だった。退院後7日以内の病院ごとの再診率中央値は、38.3%(四分位範囲:32.4~44.5%)だった。再診実施率が最も低い病院群に比べ、高い病院の再入院リスクは0.85~0.91倍試験対象の病院を、退院後7日以内の再診実施率によって4つに分類し、それぞれの退院30日以内の再入院率について比較した。その結果、再診実施率が最も低い四分位範囲(32.4%未満)の病院の再入院率は23.3%だったのに対し、2番目に低い四分位範囲(32.4~37.9%)病院は20.5%(ハザード比:0.85、95%信頼区間:0.78~0.93)、3番目の四分位範囲(38.3~44.5%)は20.5%(ハザード比:0.87、同:0.78~0.96)、最も高い四位範囲(44.5%超)は20.9%(ハザード比:0.91、同:0.83~1.00)だった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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心血管リスクを有する耐糖能異常患者への速効型インスリン分泌促進薬:NAVIGATOR研究

経口糖尿病薬の1つ、速効型インスリン分泌促進薬ナテグリニド(商品名:スターシス、ファスティック)について、心血管疾患あるいは心血管リスクを有する耐糖能異常患者の糖尿病発症や心血管イベントを抑制しないとの報告が、NAVIGATOR研究グループによって発表された。同種の研究はこれまで行われておらず、本報告は追跡期間約5年、9,300名余を対象とした2×2二重盲検無作為化臨床試験により明らかにされた。NEJM誌2010年4月22日号(オンライン版2010年3月14日号)掲載より。9,306例をプラセボとの比較で中央値5.0年追跡NAVIGATOR(Nateglinide and Valsartan in Impaired Glucose Tolerance Outcomes Research)研究グループは、耐糖能異常と心血管疾患または心血管リスク因子を有する9,306例を対象に、2×2二重盲検無作為化臨床試験を行った。被験者は全員、生活習慣改善プログラムを受ける一方、ナテグリニド(最大60mgを1日3回)かプラセボ投与を受け、さらにそれぞれバルサルタン(商品名:ディオバン)またはプラセボの併用投与を受け、糖尿病の発症について、中央値5.0年追跡された。生存については中央値6.5年追跡された。解析ではナテグリニドの効果について、糖尿病の発症、中核の心血管転帰(心血管死,非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院の複合)、広範な心血管転帰(中核の複合心血管転帰の各要素、不安定狭心症による入院、動脈血行再建の複合)の3つの共通主要転帰の発生を評価した。糖尿病発症、心血管転帰発生に有意な低下認められず多重検定補正後、ナテグリニド群(4,645例)はプラセボ群(4,661例)と比べて、3つの共通主要転帰の発生を、いずれも有意に低下しなかった。糖尿病の累積発症率は、ナテグリニド群36%、プラセボ群34%(ハザード比:1.07、95%信頼区間:1.00~1.15、P=0.05)、中核の複合心血管転帰の発生率は7.9%、8.3%(同:0.94、:0.82~1.09、P=0.43)、広範な複合心血管転帰の発生率は14.2%、15.2%(同:0.93、0.83~1.03、P=0.16)だった。一方で、ナテグリニド群では低血糖リスクの増加がみられた。(医療ライター:武藤まき)

4070.

砂糖など添加甘味料の摂取が多いと脂質代謝異常リスク増加

砂糖など、カロリーのある甘味料の摂取量が多いと、高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)値が低くなったり、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値が高くなるなど、脂質代謝異常リスクが増加する傾向があるようだ。米国Emory大学のJean A. Welsh氏らが、6000人超の米国の成人を対象に行った調査で明らかにしたもので、JAMA誌2010年4月21日号で発表した。添加甘味料と脂質値についての研究は、これが初めてという。総カロリー摂取量に占める添加甘味料の割合で5群に分類同氏らは、1999~2006年の全米健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey: NHANES)の結果から、18歳以上の6,113人を対象に、添加甘味料の摂取量と脂質プロファイルについて、断面調査を行った。研究グループは被験者を、1日の総カロリー摂取量に占める添加甘味料の割合に応じて、5%未満(対照群)、5~10%未満、10~17.5%未満、17.5~25%未満、25%以上の、5群に分類した。被験者の総摂取カロリーに占める添加甘味料の割合の平均値は、15.8%だった。添加甘味料の割合増加に伴いHDL減少、トリグリセリドやLDLは増加、5群各群の、補正後平均HDL-C値はそれぞれ、58.7、57.5、53.7、51.0、47.7mg/dLと、添加甘味料の割合増加につれて減少傾向がみられた(線形傾向のp

4071.

酒類価格の下限設定や安売り制限が、アルコール飲料による健康被害を低減する

アルコール飲料の最低価格を設定する施策および割引制限は、アルコール飲料の消費を抑制し、健康被害や医療費の低減をもたらすことが、イギリスSheffield大学のRobin C Purshouse氏らによる調査で明らかとなった。近年、多くの国ではアルコール飲料による健康被害が社会に及ぼす影響への関心が高まっており、公衆衛生学的な介入の効果に注目が集まっている。アルコール飲料の価格を設定する施策がアルコールによる健康被害の抑制に有効なことは知られているが、医療費や健康関連QOLに対する効果を飲用の程度別に検討した試験はほとんどないという。Lancet誌2010年4月17日号(オンライン版2010年3月24日号)掲載の報告。アルコール飲料価格が健康や医療経済に及ぼす影響を評価研究グループは、人口の種々のサブグループにおいて、アルコール飲料の価格設定や販売促進に関する施策が、健康や医療経済に及ぼす影響を評価した。アルコール飲料の消費に関するイギリスの家計調査(Expenditure and Food Survey:EFSおよびGeneral Household Survey:GHS)のデータを用い、18の価格施策を評価する疫学的数学モデルを構築した。計量経済分析(256の自己価格および交差価格の弾力性推定値)のデータを用い、アルコール飲料の消費に関する施策の効果を評価した。系統的レビューとメタ解析に基づいて、寄与割合(attributable fraction)から算出されたリスク関数(risk function)を適用し、死亡率および47の疾患の発症率に及ぼす消費変動の影響をモデル化した。パブやバーの酒類値上げは若者に有効人口のすべてのサブグループにおいて、アルコール飲料の一般価格の上昇によって消費量が低下し、医療費が抑制され、健康関連QOLが改善された。アルコール飲料価格の下限を設定する施策により、有害な量のアルコール飲料の飲用者ではこれらの良好な効果が維持されたが、適度な量の飲用者では効果が低下した。スーパーマーケットや酒類安売り店での販売の全面禁止は、消費量、医療費、健康関連QOLの改善に有効であったが、大型安売り店に限定して販売を禁止しても効果はなかった。パブやバーのアルコール飲料を値上げする施策は、特に18~24歳の若年成人の飲酒に対する改善効果が顕著であった。著者は、「最低価格を設定する施策および割引制限は、酒類への支出が多くアルコールによる健康被害が最も大きい人々において、アルコール飲料の消費を抑制し、健康被害や医療費を低減する」と結論している。(菅野守:医学ライター)

4072.

職場介入と運動療法の統合的治療、慢性腰痛患者の職場復帰に有効

上司を交えた職場への介入と段階的な運動療法から成る統合的治療プログラムは、慢性腰痛患者の機能障害を軽減し職場復帰に有効なことが、オランダVU大学医療センターのLudeke C Lambeek氏らの検討で示された。慢性腰痛は、臨床的な問題であるとともに心理社会的かつ仕事関連の問題でもある。慢性腰痛の臨床ガイドラインは労働不能(work disability)に焦点を当てているが、通常の腰痛治療はその予防を目的としたものではない。職場の要素をも考慮した介入が、亜急性の腰痛が原因と診断された患者の職場復帰に有効なことが示されているが、慢性腰痛に対する効果を検討した試験はなかったという。BMJ誌2010年4月3日号(オンライン版2010年3月16日号)掲載の報告。通常治療と統合的治療を比較する地域住民ベースの無作為化対照比較試験研究グループは、慢性腰痛患者に対する直接的介入と職場への介入を併用した統合的治療プログラムの効果を評価する地域住民ベースの無作為化対照比較試験を行った。12のプライマリ・ケア施設および5つの2次医療施設から、腰痛のため12週以上患者リストに載っている18~65歳の患者134例が登録され、通常治療群(68例)あるいは統合的治療群(66例)に無作為に割り付けられた。統合的治療とは、上司を交えた参加型人間工学(participatory ergonomics)に基づく職場介入および認知行動学に基づく段階的運動プログラムから成るもの。主要評価項目は、十分に継続可能な職場復帰までの、腰痛による休業期間であり、副次評価項目は疼痛および身体機能の程度とした。職場復帰までの期間が、1年間のフォローアップ期間中に120日も短縮継続可能な職場復帰までの期間(中央値)は、統合治療群が88日と、通常治療群の208日に比べ有意に短縮された(p<0.003)。Kaplan-Meier法による解析では、職場復帰までの期間は統合的治療が有意に優れた(ハザード比:1.9、p=0.004)。12ヵ月後のRoland機能障害質問票による評価では、統合的治療群で身体機能が有意に改善された(p=0.01)。視覚アナログスケールによる疼痛の評価では、両群間に差を認めなかった。著者は、「患者と職場環境に直接介入する統合的治療プログラムは、腰痛による機能障害を私生活および労働生活の双方において実質的に低減した。労働活動への早期復帰は、疼痛には有効でも有害でもなかった」と結論し、「本試験の知見は、疼痛と労働不能とは、別個の治療目標であることを示している」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

4073.

整形外科手術後の創閉鎖、ステープルは縫合糸より感染リスクが高い

整形外科手術後の創閉鎖にステープルを用いると、縫合糸に比べ感染リスクが3倍以上にもなり、特に大腿骨頸部手術時は4倍以上に達することが、イギリスNorfolk and Norwich大学病院のToby O Smith氏らによるメタ解析で示された。加速的リハビリテーションの進歩や入院日数短縮に向け外科医への圧力が増すに伴い、皮膚閉鎖法はその重要性を増しているという。整形外科医は手術創の閉鎖に金属ステープルとナイロン縫合糸を主に使用しているが、下肢関節形成術、再建術、外傷固定などを施行後の創閉鎖の方法としていずれが優れるかについては相反する知見が存在する。BMJ誌2010年4月3日号(オンライン版2010年3月16日号)掲載の報告。創閉鎖後の表在性感染のリスクを評価するメタ解析研究グループは、整形外科手術後の創閉鎖にステープルあるいは縫合糸を用いた場合の臨床予後を比較するメタ解析を実施した。Medline、CINAHL、AMED、Embase、Scopus、Cochrane Libraryなどのデータベースを検索し、審査を受けていない論文や1950~2009年までのすべての言語で書かれた論文も調査し、引用文献にも当たった。2名の研究者が別個に論文の適格性を評価した。各論文の試験方法の質やデータの抽出にも2名の研究者が別個に当たった。解析用の最終データは合議で決めた。主要評価項目は、閉鎖後の創部の表在性感染とした。感染防止には縫合糸を使用すべき、ステープルの使用は再検討を6つの論文に参加した683例(縫合糸332例、ステープル351例)が解析の対象となった。術後の創部の表在性感染の発症リスクは、ステープルが縫合糸の3倍以上であった(ハザード比:3.83、95%信頼区間:1.38~10.68、p=0.01)。大腿骨頸部手術に限定してサブグループ解析を行ったところ、ステープルの創部感染リスクは縫合糸の4倍以上に達した(ハザード比:4.79、95%信頼区間:1.24~18.47、p=0.002)炎症、創分泌物、創離開、壊死、アレルギー反応の発症については両群間に有意な差を認めなかった。対象となった試験には、症例数が少ない、統計パワーが不十分、割り付け法が非盲検などの限界があり、試験法の質が許容範囲にあったのは1試験のみであった。著者は、「整形外科手術後の創閉鎖にステープルを用いると、縫合糸に比べ創部の感染リスクが有意に増大し、特に大腿骨頸部手術を受けた患者でリスクが著明に高かった」と結論し、「試験法に限界がある論文に基づくエビデンスではあるものの、大腿骨頸部や膝の手術創の閉鎖にステープルは推奨できない。創閉鎖へのステープル使用については再検討を勧めるが、この問題の解決には信頼性の高い無作為化試験の実施が必須である」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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無作為化試験の報告論文の質は改善されたか?

英国オックスフォード大学医学統計センターのSally Hopewell氏らは、2001年に出された試験論文の執筆勧告「Consolidated Standards of Reporting Trials(CONSORT)Statement」以後、PubMedで検索される論文の質(無作為化試験の特性および手法)が改善されたかを、2000年と2006年とで比較を行った。結果、重要な方法論の面で改善がみられはしたが、論文の質自体は容認できるレベル以下だったという。BMJ誌2010年3月27日号(オンライン版2010年3月23日号)掲載より。2000年と2006年の発表論文を比較Hopewell氏らは、2000年12月と2006年12月にPubMed検索された主要無作為化試験論文(試験デザインが平行群、交差、クラスタ、要因解析、分割解析など)を対象とした。対象論文を、発表年および試験デザインで階層化し、総合項目(試験デザイン、発表学術誌のタイプ、専門領域、介入タイプ、データ収集サイト数、無作為化群の数、サンプルサイズ)、および方法論的項目(試験タイトルに無作為化が使用されているか、主要評価項目が明確か、サンプルサイズ算出、無作為化の手法、割付法の隠蔽度合い、盲検かどうか、盲検の手法)を主要評価項目とし比較検討された。結果、大部分は、専門誌発表[2000年群:482/519件(93%)vs. 2006年群:555/616件(90%)]の、2群比較[同:379/519(73%) vs. 468/616(76%)]、平行群比較[同:383/519 (74%)vs. 477/616(78%)]の研究論文だった。しかし、2000年、2006年ともに、平行群比較の試験被験者中央値は、80例だった。また、医薬品試験の論文の占める割合は、2000年393/519件(76%)から2006年は356/616(58%)に減っていた。一方で、手術試験論文の割合は増えていた(10% vs. 21%)。なお残る不透明性方法論的側面で改善が認められたのは、主要評価項目の詳細記述(リスク比:1.18、95%信頼区間:1.04~1.33)、サンプルサイズ算出(同:1.66、1.40~1.95)、無作為化の手法(同:1.62、1.32~1.97)、割付法の隠蔽度合い(同:1.40、1.11~1.76)だった。しかし、盲検化については改善したことが認められなかった(同:0.91、0.75~1.10)。以上からHopewell氏は、方法論的な面で改善がみられた部分もあったが、質に関しては改善されているとは言えないと結論。「試験が、どのように設計され、実行されたかの透明性が確保されていなければ、その試験の実効性および有効性を評価することは難しい」とまとめている。

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世界の都市力と比較した東京の医療状況とは?

プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は6日、米国 Partnership for New York Cityと共同で、年次レポート「Cities of Opportunity - 世界の都市力比較」を発表した。同レポートでは、世界の産業・金融・文化の中心となる主要21都市について、都市を活性化する主要素(都市力)を、2009年に収集したデータをもとに10の領域・58の指数を用いて分析し、それぞれランキングを公表している。分析の結果、東京は、10の分析領域のうちTransportation and infrastructure (交通・インフラ)が21都市中トップとなり、またHealth, safety and security (健康・安全・治安)、Intellectual capital(知的資本)およびTechnology IQ and innovation (テクノロジー知能指数・技術革新)の3領域において、いずれもトップ3に入る高位置を占めている。Health, safety and security(健康・安全・治安)においては、東京はストックホルムに次いで2位。構成指数のうち、新生児の生存率は21都市中トップ、病院の数や犯罪発生率、政治的・社会的環境面においても上位3位以内に入っている。詳細はプレスリリースへhttp://www.pwcjp.com/news/20100406.html

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関節リウマチにおける抗TNF製剤3剤の直接比較サーベイ

関節リウマチにおける抗TNF製剤、アダリムマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ3剤の治療反応性、寛解率、およびアドヒアランスのhead to head比較サーベイが報告された。「Arthritis & Rheumatism」誌(2010年1月号)掲載より。本研究は、デンマーク全域における生物学的製剤使用患者のレジストリー、DANBIO(患者登録期間:2000年10月~2007年12月)から、生物学的製剤新規使用患者2,326名を対象とした。投与された生物学的製剤の割合は、アダリムマブ29%、エタネルセプト22%、インフリキシマブ49%であった。患者背景において、性別、年齢、IgM-RF Positive、罹病期間に差はみられなかった。一方、MTXの併用率と用量、プレドニゾロンの併用率と用量は特に差が認められた。MTXの併用率は、アダリムマブ70%、エタネルセプト61%、インフリキシマブ87%であった。MTXの併用量は、アダリムマブ20(12.5-25)mg/週、エタネルセプト15 (12.5-20)mg/週、インフリキシマブ15 (10-20) mg/週であった。プレドニゾロンの併用率は、アダリムマブ40%、エタネルセプト43%、インフリキシマブ50%であった。プレドニゾロンの併用量は、アダリムマブ7.5(5-10)mg/日、エタネルセプト7.5(5-10)mg/日、インフリキシマブ7.5(5-10)mg/日であった。主な結果は以下の通り。 26週後の治療効果達成確率 Odds ratios(95%信頼区間)・アダリムマブvs.インフリキシマブ:ACR70%反応率2.05(1.52-2.76)、ACR50%反応率1.92(1.51-2.44)、Good EULAR反応率2.10(1.66-2.66)、Good/moderate EULAR反応率2.76(2.04-3.74)、DAS寛解1.78(1.37-2.31)、CDAI(Clinical Disease Activity Index)寛解1.83(1.32-2.55)・エタネルセプトvs.インフリキシマブ:ACR70%反応率1.78(1.28-2.50)、ACR50%反応率1.50(1.14-1.96)、Good EULAR反応率1.41(1.09-1.84)、Good/moderate EULAR反応率1.99(1.45-2.72)、DAS寛解1.31(0.97-1.77)、CDAI寛解1.16(0.78-1.72)・アダリムマブvs. エタネルセプト:ACR70%反応率1.15(0.82-1.60)、ACR50%反応率1.28(0.97-1.69)、Good EULAR反応率1.49(1.13-1.96)、Good/moderate EULAR反応率1.39(0.97-2.00)、DAS寛解1.36(1.00-1.84)、CDAI寛解1.58(1.07-2.34) 全投与中止例 Hazard ratios(95%信頼区間)インフリキシマブvs. アダリムマブ: 1.35(1.15-1.58)、インフリキシマブvs. エタネルセプト: 1.98(1.63-2.40)、アダリムマブvs.エタネルセプト:1.47(1.20-1.80)結論としてHetland氏は、「インフリキシマブは最も低い治療反応率、寛解率、アドヒアランスを示し、アダリムマブは最も高い治療反応率と寛解率を示した。また、エタネルセプトは最も長い投与継続率を示した」とまとめている。(ケアネット 呉 晨)

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急性胸痛でICU治療、入室時の仰臥位収縮期血圧が高いほど1年死亡リスクは低い

急性胸痛により集中治療室(ICU)で治療を受けた患者のうち、入室時の仰臥位収縮期血圧が高い人ほど、1年後の死亡リスクは低下するようだ。スウェーデンLinkoping大学医学健康科学部門のUlf Stenestrand氏らが、約12万人の患者について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年3月24/31日合併号で発表した。ICU入室時仰臥位収縮期血圧を四分位範囲に分類Stenestrand氏らは、1997~2007年にかけて、急性胸痛によりICUで治療を受けた11万9,151人について、入室時の仰臥位収縮期血圧を調べた。研究グループは被験者を同血圧の測定値によって、「Q1:128mmHg未満」「Q2:128~144mmHg」「Q3:145~162mmHg」「Q4:163mmHg以上」の四分位範囲に分類し、1年後死亡率との関係について分析した。追跡期間の平均値は、2.47年(標準偏差:1.5年、範囲:1~10年)だった。「163mmHg以上」群の1年死亡リスクは、「128~144mmHg」群の0.76倍補正は、年齢、性別、喫煙、拡張期血圧値、入・退院時の降圧薬の服用、退院時の高脂血症薬と抗血小板薬の服用について行った。その結果、入室時の仰臥位収縮期血圧「Q4:163mmHg以上」が、1年死亡リスクが最も低く、「Q2:128~144mmHg」群に対するハザード比は0.76(95%信頼区間:0.72~0.80)だった。Q2群に対するハザード比は、「Q1:128mmHg未満」群では1.46(同:1.39~1.52)、「Q3:145~162mmHg」群は0.83(同:0.79~0.87)だった。Q2群と比べた1年死亡絶対リスクは、Q4群が21.7%、Q3群が15.2%それぞれ低かった一方、Q1群は40.3%高かった。Q4群と比較したQ2群の予後悪化の独立因子は、BMI、前歴にあり、狭心症、急性心筋梗塞に患者を限定した場合も、Q2群と比べたQ4群の1年死亡絶対リスクのハザード比は、0.75(同:0.71~0.80)と低かった。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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ステージⅢ大腸がん、75歳以上高齢者への術後補助化学療法実施率は5割程度

外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん患者で、75歳以上の高齢者のうち、術後補助化学療法を受けている割合は5割と、75歳未満の約9割に比べ、有意に低率であることが明らかになった。75歳以上患者への術後補助化学療法のレジメンは、毒性の弱いものが使用される傾向が強く、有害事象の発生率も低かった。米国RAND CorporationのKatherine L. Kahn氏らが、約700人の外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん患者について行った観察研究の結果、報告したもので、JAMA誌2010年3月17日号で発表した。オキサリプラチンを含むレジメン、75歳以上は14%のみ同研究グループは、2003~2005年にかけて、外科的切除術を受けたステージⅢ大腸がん、合わせて675人について調査を行った。その結果、75歳以上の人で術後補助化学療法を受けていたのは、202人中101人(50%)と、75歳未満の87%に比べ、有意に低率だった(実施率の差:37%、95%信頼区間:30~45%)。術後補助化学療法を受けた人のうち、レジメンにオキサリプラチン(商品名:エルプラット)を含んでいたのは、75歳以上では14人(14%)と、75歳未満の178人(44%)に比べ、有意に低率だった(実施率の差:30%、同:21~38%)。治療開始後150日時点での中止は65歳以上が4割術後補助化学療法の継続についてみてみると、治療開始後150日時点で治療を中止していたのは、65歳未満が25%に対し、65歳以上では40%に上った。有害事象については、患者全体の162人(24%)に、最低1回の遅延性臨床的有害事象が認められた。術後補助化学療法を受けている人の同発生率は28%と、受けていない人の13%に比べ、2倍超だった。術後補助化学療法を受けている人のうち、遅延性臨床的有害事象の補正後発生数1人当たり平均は、18~54歳が0.35、55~64歳が0.52、65~74歳が0.45だったのに対し、75歳以上は0.28と、低い傾向がみられた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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学歴差による死亡格差が年々広がっている、原因は?

平等・非平等主義社会を問わず欧米各国で、受けた教育レベルの違いによる死亡率の差が拡大しているとの報告がされている。平等主義を掲げる福祉国家モデルとされるノルウェーではどうなのか。格差の現状と、これまでの調査ではほとんど行われていない長期動向調査が、ノルウェー国立衛生研究所疫学部門のBjorn Heine Strand氏らにより行われた。1960~2000年にかけての同国中高年を対象とした原因別死亡率を追跡する前向き研究で、学歴差による死亡率の差、またその差をもたらしている主な原因について調査が行われた。BMJ誌2010年3月13日号(オンライン版2010年2月23日号)掲載より。40年間でどの学歴群も死亡率は低下したが……研究グループは、1960年、1970年、1980年、1990年時点で45~64歳だった4コホートを、それぞれ10年間にわたって追跡した。追跡期間中、死亡者数は35万9,547例、3,290万4,589人・年分のデータが得られた。主要評価項目は、「全死因死亡」「肺・気管・気管支がんに起因する死亡」「その他のがん」「心血管疾患」「自殺」「外因」「慢性下気道疾患」「その他の原因による死亡」とした。受けた教育のレベル(低・中・高学歴)の違いによる死亡率の差を、絶対指数・相対指数で求め検討した。結果、死亡率は1960~2000年にかけて、いずれの学歴群でも低下していた。また同40年間で、成人に占める低学歴群の人は激減していた。しかし、低学歴群の死亡率は相変わらず他の学歴群よりも高く、また同期間で高学歴群の死亡率がより低下したため、学歴の違いによる死亡率の差は広がっていた。絶対指数でみた低学歴群の死亡率と高学歴群の死亡率差(傾斜指数)は、40年間で男性は2倍に(105%増)、女性は3分の1の増加(32%増)していた。相対指数でみると、死亡率差は、男性は1.33から2.24(P=0.01)に、女性は1.52から2.19(P=0.05)へと広がっていた。男性は心血管系と呼吸器系、女性は呼吸器系が格差の要因男性における格差拡大は、主に「心血管疾患」「肺がん」「慢性下気道疾患」が原因だった。女性の格差拡大の原因は、主に「肺がん」「慢性下気道疾患」にあった。また女性では男性と異なり、心血管系に起因する死亡率の格差は縮まっていた。一方で、喫煙が関連していると思われる慢性下気道疾患が格差拡大に寄与していた。研究グループは、「平等主義を掲げる福祉国家ノルウェーだが、学歴差による死亡格差は、1960年~2000年の40年間で大幅に拡大していた」と結論。「我々の調査は、次の主張に対するエビデンスを示したと言える。すなわち、平等主義を掲げた社会政策だけでは死亡格差をなくすことはできないこと、教育レベルの違いによると思われる生活習慣の違いが問題であるということだ」と報告をまとめている。

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受診ごとのSBP変動の増大、最大SBP高値が脳卒中の強い予測因子に

収縮期血圧(SBP)の受診ごとの変動および最大SBPは、平均SBPとは独立に、脳卒中の強力な予後予測因子であることが、イギリスOxford大学John Radcliffe病院臨床神経内科のPeter M Rothwell氏らによる検討で明らかとなった。血管イベントの原因として一定期間の血圧の平均値が重視され、広く高血圧の診断や治療の指針となっているが、血圧の上昇が脳卒中などの血管疾患を引き起こすメカニズムは完全には解明されていないという。平均血圧が重要なことは明確だが、受診ごとの血圧変動や最大血圧が血管イベントの発症に部分的に関与している可能性があり(特に高齢者)、著者らはすでに脳卒中の高リスク集団では受診ごとの血圧変動幅が大きいことを示している。Lancet誌2010年3月13日号掲載の報告。UK-TIA、ASCOT-BPLA、ESPS-1、Dutch TIA試験のデータを解析研究グループは、血圧の受診ごとの変動、最大血圧、未治療のエピソード的高血圧、治療中の患者の残存的な血圧変動が予後に及ぼす影響について検討した。UK-TIAアスピリン試験とその妥当性を検証した3つのコホート試験(ASCOT-BPLA、ESPS-1、Dutch TIA)に参加した一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴を有する患者、およびASCOT-BPLA(Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial Blood Pressure Lowering Arm)試験に参加した既治療の高血圧患者を対象に、脳卒中のリスクと受診ごとの血圧変動、最大血圧との関連について解析を行った。ASCOT-BPLA試験では24時間自由行動下血圧測定(ABPM)の検討も行われた。治療中の高血圧患者ではSBPの受診ごとの変動幅の増大が重要なリスク因子個々のTIAコホートでは、SBPの受診ごとの変動は脳卒中の強力な予測因子であり(UK-TIAの7回の受診におけるSBPの標準偏差の最大10分位ハザード比:6.22、p<0.0001)、平均SBPとは独立の因子であったが、測定の正確性とは依存性の関係がみられた(10回の受診の最大十分位ハザード比:12.08、p<0.0001)。最大SBPも脳卒中の強い予測因子であった(7回受診の最大10分位ハザード比:15.01、p<0.0001)。ASCOT-BPLAでは、治療中の高血圧患者における受診ごとのSBPの残存的な個体内変動も、脳卒中や冠動脈イベントの重要な予測因子であり(脳卒中の最大10分位ハザード比:3.25、p<0.0001)、受診時およびABPMの平均SBPとは独立の因子であった。ABPMの変動は弱い予測因子であったが、いずれのコホートでも血圧変動に関する測定項目はどれも、若年者や平均SBP低値(<中央値)の患者において脳卒中を予測した。著者は、「SBPの受診ごとの変動および最大SBPは脳卒中の強力な予測因子であり、平均SBPとは独立の因子である。治療中の高血圧患者における受診ごとのSBPの残存的な変動の増大は血管イベントの高いリスク因子である」と結論し、「今後は、血圧の受診ごとの変動に関連する予後情報をルーチンの日常診療で簡便に使用可能にする方法を確立する必要がある」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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